昨日は午後から新宿→高田馬場→池袋のコンボ。
久々にカードブーストEXを剥いてみたのですが、
出たのは《神の杯》でした。
あとミカドのダラバーはミトナ星系が残り1桁まで行っているので、
興味のある方は埋めてみると良いかも知れません。
――
そんな訳で作業が一段落したので、
ショートショートの更新行きたいと思います。
悪のハッカー組織「リバースデビル」が勃興する中での、
とあるストリートギャングのヘッドの没落をテーマとした内容となっています。
例によって筆者のオリジナル設定であって、
公式設定とは異なることを予めご理解いただけたらと思います。
◎過去作品
○連載もの
・クエスト・フォー・ザ・ムーン(全7話)
その1
その2
その3
その4
その5
その6
その7(エピローグ)
・ロボトミー・ソルジャー(全4話)
その1
その2
その3
その4
・メリー・クリスマス・フロム・アルカナ(全2話)
その1
その2
・リターン・フロム・ザ・ドラゴンズ・ヘッド(全7話)
その1
その2
その3
その4
その5
その6
その7
・タイガース・ダウンフォール(連載中)
その1
○その他エピソード
・バトルトーナメント:あなたが決める禁止カード(連載再開未定)
その1
その2
・切札戦士 ジョーカー13(ワン・スリー) 第14話
・エージェント・イン・スイムスーツ
・イーリスの物語
<<<タイガース・ダウンフォール その2>>>
作:Nissa(;-;)IKU
(前回までのあらすじ:新小岩港の一帯を拠点とするストリートギャング団「ブラックタイガー」は、「リバースデビル」を名乗る武装集団の襲撃を受けた。構成員の大半は殺され、生き残ったのはヘッドである「ジョン・タイガー」とその「手駒」の、合わせて数人程度であった。)
(全てを失ったジョンの前に、ホログラム越しに謎の男が現れる。果たして彼の目的は一体何なのだろうか――。)
「――同年4月、新四ツ谷で高校生4人を拉致、新小岩港でチェーンソーで首を切断し殺害。5月、南葛飾の中学校を襲撃、生徒・教員合わせて254人を殺害。同月、新日暮里で――」キリンを思わせる一つ目の怪物の被り物を被った男が、淡々とリストを読み上げる。
一通り読み終えたところで、「キリン」は小さくため息をついた。そしてホログラムの奥から、倉庫に座り込まされている若い男に視線を戻した。「この半年間でジョン・タイガー君のために1000人以上が殺された訳か、大したもんだね」
「――で、望みは何だ?キリン野郎」「ジョン・タイガー」と呼ばれた男は、正座のままホログラム越しの「キリン」を睨み返した。「俺様をわざわざ活かしておいたんだろ?公開処刑の生中継でもやるつもりか?」
直後、彼の背後から銃声が鳴り響いた。銃弾は彼の脇腹をかすめ、地面に弾痕で「コロス」と書き上げた。振り返ると背後の壁や天井からも兵士達が銃口を向けていた。その数は少なく見積もっても20は下らない。わざと外したのだ――彼は直観した。
「余計なことはするな」2つ目のホログラムが現れ、先程の仮面の女を映し出した。その表情からは彼への嫌悪の様子がにじみ出ていた。「プログラム通りの精密射撃だ、いざとなれば貴様をここでミネストローネに変えるなど、訳もないんだ」
「落ち着きたまえ、彼はここで自暴自棄になるほど軽率な男ではないことは調査済みだ」「キリン」がホログラム越しに女を制し、そして再びジョンに向き直った。「さて、話を進めようか。なに、決して悪い話じゃない――」
――
ストリートギャング団を率いて地域一帯を支配し、その名の通り「虎」と恐れられた男、ジョン・タイガー。その彼が何故ここまで没落したのか。それを語るには、暫く彼の過去を解き明かす必要がある。
西成田――都心から北東に遠く離れたその一帯は、かつて新興住宅地の一つとして期待され、開発が進められていた。だが予算不足による都市開発の遅れや、それに伴う鉄道運賃の高騰が、地域への転入を拒むこととなった。
やがて都心での居場所を失ったホームレスや犯罪者がたむろするようになり、治安は急激に悪化。そして空港の移転を契機に、数少ない公共交通機関であった鉄道が廃止されると、一帯からの転出に歯止めをかけることは最早不可能であった。
半年後、遂に自治体は西成田に関する全ての開発計画を断念。後にはスラムと化した建物の群れと、そこを根城にする多数のホームレスや犯罪者達だけが残されたのである。ジョンが生まれたのもこの頃であると言われている。
強盗と殺人が横行するスラムにおいて、赤子の命の価値など蛆虫にも満たない。それでも彼の育ての親であった男は、まだ這って歩くことすら出来ない赤子の為に、必死で戦い、守り、殺し続けていたのである。
息子が物心付き、「ジョン・タイガー」を名乗るようになると、男は彼にこの世界での生き延び方を教えるようになった。嘘の見破り方、むかつく相手の黙らせ方、刀剣や銃の使い方、殺人の為の格闘術――それが彼の将来に大きな影響を与えたのは言うまでもない。
何故男がそこまでして彼を守り、育てていたのか。組織のヒットマンとして売り込む為だという者もいるが、今となっては知る由もない。既に死んだ――まさにそのジョンに殺されたからである。丁度ジョンが10歳の誕生日を迎えた時のことであった。
きっかけはほんの他愛のない、些細な諍いであった。だがジョンが興奮の余り手にとった拳銃がたまたま暴発し、男のまさに眉間を貫いたのである。偶然とはいえ育ての親を殺してしまったことが、彼の心に小さからぬ傷跡を残すこととなった。
――
父親を申し訳程度に埋葬したジョンの元に、とある組織のスカウトマンが現れた。「ワイルド・ウエスト」――近郊エリアでの配給サービスを行う非営利組織を自称してはいるが、実態は近隣都市での略奪を目的とした強盗団である。
身寄りの無い少年少女も多く所属していたこの組織に参入したジョンは、すぐに頭角を現した。亡き父の教えに従い、彼は襲撃先で淡々と略奪と殺人をこなしていった。その姿に頭目はある種の畏敬を感じた程であった。
このまま頭目の後継者争いに勝ち上がり、組織を支配するという選択肢もあった。だがその機会が訪れることは無かった――当時の政府がワイルド・ウエストを反政府テロ組織と認定し、武力行使を行ったのである。
とある日の未明に、自衛隊の武装車両が地域一帯を一斉に包囲し、同時に爆撃機が集中的に空爆を開始した。地下化の進んでいない一帯におけるこの戦法の効果は絶大で、不意を突かれ、逃げ場を無くした住人達は次々と銃殺、あるいは焼殺されていった。
折しもジョンが略奪隊の一員として帰還しようという時であった。派手な装飾の付いた武装トレーラーの一団は殲滅部隊にとっては格好の的であった。
勿論略奪隊がそう簡単に屈する筈も無く、必死で抵抗を行った。激しい銃撃戦により、自衛隊側にも少なからぬ被害が発生した。だが1発の狙撃弾が頭目の頭をミネストローネに変えたことで状況は一転、略奪隊側は総崩れとなった。
一瞬の機転がジョンの命を救った。彼は略奪隊のトレーラーの1台からトラクターを切り離し、混乱の隙を突いてこの場の離脱を図ったのである。
背後から追撃される中、前方からは後続の包囲部隊が迫る。だがジョンはトラクターの身軽さを活かして戦闘車両の間をすり抜け、兵士の数人を射殺ないし轢殺しながら包囲網を脱出。都心への道を進んでいったのである。
――
ジョンは濃縮カフェインの錠剤を3錠程口にしながら、不眠不休でトラクターを走らせ続けた。その途中、追手の目をくらますため、輸送会社のトレーラーで仮眠中のドライバーを射殺し、そのトラクターを奪って湾岸方向へと進路を変えた。
既に日が昇り始めていた。車載ラジオは朝方の包囲戦の速報として、略奪隊の頭目及び構成員のほぼ全員の殺害と数名の逃亡者についての情報を淡々と報道しつづけていた。
<<<その2おわり その3につづく>>>
――
◎宣伝
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久々にカードブーストEXを剥いてみたのですが、
出たのは《神の杯》でした。
あとミカドのダラバーはミトナ星系が残り1桁まで行っているので、
興味のある方は埋めてみると良いかも知れません。
――
そんな訳で作業が一段落したので、
ショートショートの更新行きたいと思います。
悪のハッカー組織「リバースデビル」が勃興する中での、
とあるストリートギャングのヘッドの没落をテーマとした内容となっています。
例によって筆者のオリジナル設定であって、
公式設定とは異なることを予めご理解いただけたらと思います。
◎過去作品
○連載もの
・クエスト・フォー・ザ・ムーン(全7話)
その1
その2
その3
その4
その5
その6
その7(エピローグ)
・ロボトミー・ソルジャー(全4話)
その1
その2
その3
その4
・メリー・クリスマス・フロム・アルカナ(全2話)
その1
その2
・リターン・フロム・ザ・ドラゴンズ・ヘッド(全7話)
その1
その2
その3
その4
その5
その6
その7
・タイガース・ダウンフォール(連載中)
その1
○その他エピソード
・バトルトーナメント:あなたが決める禁止カード(連載再開未定)
その1
その2
・切札戦士 ジョーカー13(ワン・スリー) 第14話
・エージェント・イン・スイムスーツ
・イーリスの物語
<<<タイガース・ダウンフォール その2>>>
作:Nissa(;-;)IKU
(前回までのあらすじ:新小岩港の一帯を拠点とするストリートギャング団「ブラックタイガー」は、「リバースデビル」を名乗る武装集団の襲撃を受けた。構成員の大半は殺され、生き残ったのはヘッドである「ジョン・タイガー」とその「手駒」の、合わせて数人程度であった。)
(全てを失ったジョンの前に、ホログラム越しに謎の男が現れる。果たして彼の目的は一体何なのだろうか――。)
「――同年4月、新四ツ谷で高校生4人を拉致、新小岩港でチェーンソーで首を切断し殺害。5月、南葛飾の中学校を襲撃、生徒・教員合わせて254人を殺害。同月、新日暮里で――」キリンを思わせる一つ目の怪物の被り物を被った男が、淡々とリストを読み上げる。
一通り読み終えたところで、「キリン」は小さくため息をついた。そしてホログラムの奥から、倉庫に座り込まされている若い男に視線を戻した。「この半年間でジョン・タイガー君のために1000人以上が殺された訳か、大したもんだね」
「――で、望みは何だ?キリン野郎」「ジョン・タイガー」と呼ばれた男は、正座のままホログラム越しの「キリン」を睨み返した。「俺様をわざわざ活かしておいたんだろ?公開処刑の生中継でもやるつもりか?」
直後、彼の背後から銃声が鳴り響いた。銃弾は彼の脇腹をかすめ、地面に弾痕で「コロス」と書き上げた。振り返ると背後の壁や天井からも兵士達が銃口を向けていた。その数は少なく見積もっても20は下らない。わざと外したのだ――彼は直観した。
「余計なことはするな」2つ目のホログラムが現れ、先程の仮面の女を映し出した。その表情からは彼への嫌悪の様子がにじみ出ていた。「プログラム通りの精密射撃だ、いざとなれば貴様をここでミネストローネに変えるなど、訳もないんだ」
「落ち着きたまえ、彼はここで自暴自棄になるほど軽率な男ではないことは調査済みだ」「キリン」がホログラム越しに女を制し、そして再びジョンに向き直った。「さて、話を進めようか。なに、決して悪い話じゃない――」
――
ストリートギャング団を率いて地域一帯を支配し、その名の通り「虎」と恐れられた男、ジョン・タイガー。その彼が何故ここまで没落したのか。それを語るには、暫く彼の過去を解き明かす必要がある。
西成田――都心から北東に遠く離れたその一帯は、かつて新興住宅地の一つとして期待され、開発が進められていた。だが予算不足による都市開発の遅れや、それに伴う鉄道運賃の高騰が、地域への転入を拒むこととなった。
やがて都心での居場所を失ったホームレスや犯罪者がたむろするようになり、治安は急激に悪化。そして空港の移転を契機に、数少ない公共交通機関であった鉄道が廃止されると、一帯からの転出に歯止めをかけることは最早不可能であった。
半年後、遂に自治体は西成田に関する全ての開発計画を断念。後にはスラムと化した建物の群れと、そこを根城にする多数のホームレスや犯罪者達だけが残されたのである。ジョンが生まれたのもこの頃であると言われている。
強盗と殺人が横行するスラムにおいて、赤子の命の価値など蛆虫にも満たない。それでも彼の育ての親であった男は、まだ這って歩くことすら出来ない赤子の為に、必死で戦い、守り、殺し続けていたのである。
息子が物心付き、「ジョン・タイガー」を名乗るようになると、男は彼にこの世界での生き延び方を教えるようになった。嘘の見破り方、むかつく相手の黙らせ方、刀剣や銃の使い方、殺人の為の格闘術――それが彼の将来に大きな影響を与えたのは言うまでもない。
何故男がそこまでして彼を守り、育てていたのか。組織のヒットマンとして売り込む為だという者もいるが、今となっては知る由もない。既に死んだ――まさにそのジョンに殺されたからである。丁度ジョンが10歳の誕生日を迎えた時のことであった。
きっかけはほんの他愛のない、些細な諍いであった。だがジョンが興奮の余り手にとった拳銃がたまたま暴発し、男のまさに眉間を貫いたのである。偶然とはいえ育ての親を殺してしまったことが、彼の心に小さからぬ傷跡を残すこととなった。
――
父親を申し訳程度に埋葬したジョンの元に、とある組織のスカウトマンが現れた。「ワイルド・ウエスト」――近郊エリアでの配給サービスを行う非営利組織を自称してはいるが、実態は近隣都市での略奪を目的とした強盗団である。
身寄りの無い少年少女も多く所属していたこの組織に参入したジョンは、すぐに頭角を現した。亡き父の教えに従い、彼は襲撃先で淡々と略奪と殺人をこなしていった。その姿に頭目はある種の畏敬を感じた程であった。
このまま頭目の後継者争いに勝ち上がり、組織を支配するという選択肢もあった。だがその機会が訪れることは無かった――当時の政府がワイルド・ウエストを反政府テロ組織と認定し、武力行使を行ったのである。
とある日の未明に、自衛隊の武装車両が地域一帯を一斉に包囲し、同時に爆撃機が集中的に空爆を開始した。地下化の進んでいない一帯におけるこの戦法の効果は絶大で、不意を突かれ、逃げ場を無くした住人達は次々と銃殺、あるいは焼殺されていった。
折しもジョンが略奪隊の一員として帰還しようという時であった。派手な装飾の付いた武装トレーラーの一団は殲滅部隊にとっては格好の的であった。
勿論略奪隊がそう簡単に屈する筈も無く、必死で抵抗を行った。激しい銃撃戦により、自衛隊側にも少なからぬ被害が発生した。だが1発の狙撃弾が頭目の頭をミネストローネに変えたことで状況は一転、略奪隊側は総崩れとなった。
一瞬の機転がジョンの命を救った。彼は略奪隊のトレーラーの1台からトラクターを切り離し、混乱の隙を突いてこの場の離脱を図ったのである。
背後から追撃される中、前方からは後続の包囲部隊が迫る。だがジョンはトラクターの身軽さを活かして戦闘車両の間をすり抜け、兵士の数人を射殺ないし轢殺しながら包囲網を脱出。都心への道を進んでいったのである。
――
ジョンは濃縮カフェインの錠剤を3錠程口にしながら、不眠不休でトラクターを走らせ続けた。その途中、追手の目をくらますため、輸送会社のトレーラーで仮眠中のドライバーを射殺し、そのトラクターを奪って湾岸方向へと進路を変えた。
既に日が昇り始めていた。車載ラジオは朝方の包囲戦の速報として、略奪隊の頭目及び構成員のほぼ全員の殺害と数名の逃亡者についての情報を淡々と報道しつづけていた。
<<<その2おわり その3につづく>>>
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