酒飲み掃除日記

掃除用具のレビューや飲んだお酒の感想とかをつれづれなるままに書いてます。

「美味しんぼ 日本酒の実力」の変なところ(4)

2006年09月21日 | 酒類関連本

P94
山岡
「その級別制度が廃止になると、
今度は酒造会社が勝手に級別を作り始めた。」
「それが、この"特撰"とか"上撰"とかいうものなんです。」
(中略)
「問題は、それぞれどんな基準でつけているのか、
判然としないことだ。」

二木会長
「冗談じゃない!それじゃ混乱するばかりだ!」

二木父
「以前の級別制も、酒税のことを主に考えたいい加減なものだったのに、
今度のこの表示は、もっといい加減で何が何だかわからないよ!」

二木まり子
「あきれるわね、お酒の業界の人って、
どうしてこんなデタラメなことばかりできるのよ!」

雁屋節が冴えている名場面ですが、
実は「特撰」「上撰」「佳撰」はいい加減につけられているわけではありません。
参考小売価格を基準につけられています。
「特撰・上撰・佳撰とはなにか?」
http://www7a.biglobe.ne.jp/~souou/josen.html
平成18年現在だと、佳撰なら一升瓶で1643円、
上撰なら一升瓶で1887円が標準的な価格となっています。
少し調べれば解る事なのですから、ちゃんと取材してもらいたいものです。

P95-96
雄山
「一番の問題は、純米酒と純米吟醸酒は、
両方合わせても全出荷量の5.7パーセントしかないことだ。」
「残りの94.3パーセントの酒は、アルコールや糖類を添加したまがいものの酒だ。」
「美食倶楽部では、アルコールや糖類を添加した酒はいっさい認めない。」
「いい酒を選ぶのは、大変な苦労だ。」
「こんな滑稽で不幸な話があるだろうか?
たとえばフランスでワインを選ぶときに
まず”純ブドウワイン”を選ぶところから始めなければならず、
しかも、その純ブドウワインの比率が、
すべてのワインの中のわずか5.7パーセントしかない、
などという事態になったら、フランス人は革命を起こすだろう。」

補糖や補酸をしていないフランスのワインを探すのは案外面倒ですが
そのためにフランス人が革命を起こしたとは聞いたことがありません。

それに、東京の海原雄山が足を運ぶような酒店に
地方の蔵元から送られてくる商品のほとんどは特定名称酒でしょう。
特定名称酒の1/4は純米酒か純米吟醸酒なのに探すのが面倒というのは
ただの物臭な人にしか見えません。

P101
山岡
「先生は国税庁の醸造試験所で研究生活を送られた後、
民間のさまざまな醸造関係の会社で活躍された
日本酒最高の権威だ。」

P47で「大蔵省は、酒の質には無関心です。」と書いたのに
醸造試験場の存在は知っているようです。
また、「日本人は、権威とされる人の言うことには、
無条件にありがたがって従うおかしなところがある。」
と書いておいて人を権威と紹介するのは、いかがなものでしょうか。



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2006-09-23 11:55:46
勉強になります。
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Unknown (相央暇人)
2006-09-25 20:42:34
Unknownさん



コメントありがとうございます。

自分の書いた文章に反響があると嬉しいです。
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