酒飲み掃除日記

掃除用具のレビューや飲んだお酒の感想とかをつれづれなるままに書いてます。

「美味しんぼ 日本酒の実力」の変なところ(7)

2006年10月07日 | 酒類関連本

これまで、グダグダと「美味しんぼ 日本酒の実力」の
変なところをあげつらってきましたが、
最後に何故この回に変な部分が多いか考察してみたいと思います。

 

・統計資料の不適切な使用

本醸造酒が純米酒より粗悪に造られていると訴えるくだりで、
一般的な純米吟醸酒より遙かに丁寧に造られた酒(おそらく純米大吟醸酒)を
純米酒の代表として一般的な本醸造酒と比べたり、
シェアが低い酒造会社が三増酒を止めても
全体としては少ししかアルコール添加量が少ししか減らないという
当たり前のことを理由に、密かに米粉糖化液を使用している酒があると書いたり、
統計資料を不適切に使用している部分があります。


・元ネタが古い

過去のこととなった桶買いを持ち出して大手酒造会社を叩いたり
「普通酒といえば三増酒」など、当時としても古い資料を参考にしているようです。
また、醸造用アルコールなど用語にも古いものが混ざっています。


・船瀬俊介氏の意見の挿入方法

先にも述べたように美味しんぼの酒類関連の話には、
「買ってはいけない」や「ほんものの酒を」を書かれた
船瀬俊介氏の意見が大きな影響を与えています。
日経BPのコラムでも美味しんぼと似たような主張を書かれているのでご参照ください。
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/column/d/

船瀬氏の意見の大きな特徴は二点あります。

「大手メーカーや政府が嫌い」
日本酒では大手メーカーを貶し地酒の蔵元を誉め、
ビールではキリンを貶しサッポロを誉め、
ウイスキーではサントリーを貶しニッカを誉めています。
また、国の政策に逆らうようなことをした人を誉めたたえています。

「純米酒以外を認めない」
「ほんものの酒を」の頃は三増酒の非を説き
本醸造酒などはそれほど責めていませんでしたが、
近年の著作などでは純米酒以外を認めていません。

大手メーカーや政府への言いがかりに近いバッシングはともかく、
純米酒しか認めないという意見には一理あります。
しかし、この意見を船瀬俊介氏自身を漫画に登場させて述べさせていないので
変なことになります。
山岡と海原雄山という架空の人物に船瀬氏の意見を代弁させている内は良いのですが、
劇中の実在の人物の意見に船瀬氏の意見を混ぜてしまっているため、
アル添酒を責めた人がアル添酒を勧めるとかいう変な話になってしまっています。


以上のことが、「美味しんぼ 日本酒の実力」を変にしている原因だと思います。
防ごうと思えば防げる単純なミスや故意にやったとしか思えないミスが多々あります。
影響力がある漫画なのですから、注意してもらいたいものです。



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