酒飲み掃除日記

掃除用具のレビューや飲んだお酒の感想とかをつれづれなるままに書いてます。

大手メーカーの日本酒(10)白鶴 まる 純米(白鶴酒造)

2006年09月30日 | 日本酒・清酒

2006年の秋、大手酒造会社がこぞって低価格帯の純米酒を発売しました。
新しい主流になるのでしょうか?それとも一過性で終わってしまうのでしょうか?


白鶴 まる 純米(白鶴酒造) 200ml
http://www.hakutsuru.co.jp/products/seisyu/maru-junmai.html

すっきりとした辛口のお酒。
冷やして飲むと、ほのかに酸味とコクを感じる。
強くはないが、すっきりとした香りもある。
ぬる燗にすると、コクが強くなり、香りも少し高くなる。
コストパフォーマンスが高い商品だ。


「美味しんぼ 日本酒の実力」の変なところ(4)

2006年09月21日 | 酒類関連本

P94
山岡
「その級別制度が廃止になると、
今度は酒造会社が勝手に級別を作り始めた。」
「それが、この"特撰"とか"上撰"とかいうものなんです。」
(中略)
「問題は、それぞれどんな基準でつけているのか、
判然としないことだ。」

二木会長
「冗談じゃない!それじゃ混乱するばかりだ!」

二木父
「以前の級別制も、酒税のことを主に考えたいい加減なものだったのに、
今度のこの表示は、もっといい加減で何が何だかわからないよ!」

二木まり子
「あきれるわね、お酒の業界の人って、
どうしてこんなデタラメなことばかりできるのよ!」

雁屋節が冴えている名場面ですが、
実は「特撰」「上撰」「佳撰」はいい加減につけられているわけではありません。
参考小売価格を基準につけられています。
「特撰・上撰・佳撰とはなにか?」
http://www7a.biglobe.ne.jp/~souou/josen.html
平成18年現在だと、佳撰なら一升瓶で1643円、
上撰なら一升瓶で1887円が標準的な価格となっています。
少し調べれば解る事なのですから、ちゃんと取材してもらいたいものです。

P95-96
雄山
「一番の問題は、純米酒と純米吟醸酒は、
両方合わせても全出荷量の5.7パーセントしかないことだ。」
「残りの94.3パーセントの酒は、アルコールや糖類を添加したまがいものの酒だ。」
「美食倶楽部では、アルコールや糖類を添加した酒はいっさい認めない。」
「いい酒を選ぶのは、大変な苦労だ。」
「こんな滑稽で不幸な話があるだろうか?
たとえばフランスでワインを選ぶときに
まず”純ブドウワイン”を選ぶところから始めなければならず、
しかも、その純ブドウワインの比率が、
すべてのワインの中のわずか5.7パーセントしかない、
などという事態になったら、フランス人は革命を起こすだろう。」

補糖や補酸をしていないフランスのワインを探すのは案外面倒ですが
そのためにフランス人が革命を起こしたとは聞いたことがありません。

それに、東京の海原雄山が足を運ぶような酒店に
地方の蔵元から送られてくる商品のほとんどは特定名称酒でしょう。
特定名称酒の1/4は純米酒か純米吟醸酒なのに探すのが面倒というのは
ただの物臭な人にしか見えません。

P101
山岡
「先生は国税庁の醸造試験所で研究生活を送られた後、
民間のさまざまな醸造関係の会社で活躍された
日本酒最高の権威だ。」

P47で「大蔵省は、酒の質には無関心です。」と書いたのに
醸造試験場の存在は知っているようです。
また、「日本人は、権威とされる人の言うことには、
無条件にありがたがって従うおかしなところがある。」
と書いておいて人を権威と紹介するのは、いかがなものでしょうか。


「美味しんぼ 日本酒の実力」の変なところ(3)

2006年09月02日 | 酒類関連本

P60
二木(父)
「旨味が足りないですな、味が固くてキリキリする感じだ。」
近城
「すっきりしているようには感じるけど、それは「ロ」の純米酒に比べて
味が薄いせいだってことがわかるよ。」
銀高
「純米酒のようなふっくらした感じがしません。痩せた味だ。」

確かに、すっきりとしすぎて味が固い本醸造酒はありますが、
全ての本醸造酒がそうでしょうか?
一口に本醸造酒と言っても、私がこれまでに飲んだものだけでも
端麗なもの濃醇なもの甘いもの辛いものなど色々ありました。
決して、「旨味が足りない」「味が固くてキリキリする」「味が薄い」
「ふっくらとした感じがしない」「痩せた味がする」ものだけではありませんでした。
また、逆に純米酒でも味が固くて薄いものにあったこともあります。
蔵元によって酒質は違いますし、同じ蔵元でも商品毎に違う場合もあります。
どこの蔵元のどの製品をモデルにしたかは解りませんが、
製品一つだけで本醸造酒の全てを語るというのは暴論ではないでしょうか。

P62
山岡
「たとえば、これはある酒蔵の例ですが、精米済みの白米1トンから
アルコール度数17パーセントの純米酒が2100リットルできるそうです。
含まれてるアルコールは約350リットルということになります。」

国税庁の「平成16酒造年度における清酒の製造状況等について」によると
純米吟醸酒は13,672トンの白米から28,368キロリットル造られて、
その平均アルコール度数は17.8度です。
白米1トンあたりに直すとアルコール度数17.8度の酒が約2075リットル造られ、
それに含まれるアルコールは約369リットルです。
つまり、ある酒蔵の例というのは、純米吟醸酒の平均よりも
量が少なくアルコール度数も低いとても特殊な純米酒ということです。
平成7年当時と純米酒の基準が大きく変わり、単純に比較的ないのですが、
純米酒は24,341トンの白米から51,931キロリットル造られ、
平均アルコール度数は18.3度です。
これも白米1トンあたりに直すとアルコール度数が18.3度の酒が約2133リットル造られ、
それに含まれるアルコールは約389リットルということになります。
このように特殊なものを純米酒の代表として語っていいのでしょうか。

P62-64
栗田
「この純米酒を、本醸造酒にするとしましょう。」
「その純米酒に添加していいことになっている120リットルのアルコールを加えると、
アルコール度数が高くなりすぎるから、水で割って全体を元通りの17パーセントの
アルコール度数になるように調整すると、
できるお酒の量は2806リットルになります。」
「つまり、純米酒を本醸造酒にすると、33.6パーセント生産量が増えるわけです。」
山岡
「同じ量の米からでも本醸造酒用に造る酒は、
純米酒よりたくさんできる造り方をするし、
本醸造酒のアルコール度数は15パーセントから16パーセントが一般的だ。」
「となると、本醸造酒の実体は今の単純な計算が示すものより、
もっと本物の酒から遠いものになる。」
二木(祖父)
「糖類こそ混ぜないが、アルコールと水で薄めた
本物とはほど遠い酒を"本醸造酒"などと呼ぶとはな・・・・・・・」

このくだりには二つ問題があります。
まず、第一は
>水で割って全体を元通りの17パーセントの
>アルコール度数になるように調整すると

>本醸造酒のアルコール度数は15パーセントから16パーセントが一般的だ。
>となると、本醸造酒の実体は今の単純な計算が示すものより、
>もっと本物の酒から遠いものになる。

>糖類こそ混ぜないが、アルコールと水で薄めた
>本物とはほど遠い酒を"本醸造酒"などと呼ぶとはな・・・・・・・
という部分です。
この説明は、純米酒は加水していないのに
本醸造酒は加水しているようにミスリードしているように見えます。
純米酒のアルコール度数も15-16パーセントが一般的で
加水した酒の方が原酒よりも多く販売されています。

次に
>同じ量の米からでも本醸造酒用に造る酒は、
>純米酒よりたくさんできる造り方をするし、
という部分です。
これも「平成16酒造年度における清酒の製造状況等について」からですが、
白米1トンから
純米吟醸酒は、約370リットル、
純米酒は、約389リットル、
吟醸酒は、約450リットル
 添加されたアルコールを除くと約345リットル、
本醸造酒は、約481リットル
 添加されたアルコールを除くと約366リットル、
のアルコールを造っています。
つまり、本醸造酒だからといって沢山できる造り方をしてるようではないようです。

P72
山岡
「日本人は、権威とされる人の言うことには、
無条件にありがたがって従うおかしなところがある。」

美味しんぼという漫画の自己批判でしょうか?

こんな風に書いた後で、人を「日本酒最高の権威」と紹介するのはどうかと思いますが。