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この島で生まれた息子はなんと中学生。ほぼ育児日記です。

中国旅行(8) 圧倒された風景+気になった普通の人々の姿

2020-06-07 | 旅行


北京~フフホトの移動は、
夜行列車を使いました。

北京~フフホト、
地図で見ると近く感じるのですが、
それは錯覚。
だいたい大阪~北九州くらいです。
(線路は大きく蛇行しているため
実際にはもっと距離があるはずだけど)
ムーンライト九州(懐かしい!)のことを考えれば、
夜行でちょうど良い距離というのは
理解できる。

その道中に見聞きしたことを、
わずかな記憶を頼りに記しておきます。


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北京を出てしばらくすると
…どれくらいかは不明…
車窓から、上部を切られたような
独特のフォルムをした山々が、
見渡す限り、延々と続く光景が見えました。


・・・伝わりにくい稚拙な図でスミマセン。

とにかく、大小様々な山の上部が
みんなスパン!と切られたように
フラットになっているんです。

これは珍しい。
何か、景勝地に違いない!

と勢い込んで訊ねてみると、

「ここは観光地ではありません。
普通の山です。
山の上に畑があります。
畑を広くすると、山が削れてゆきます。
そして、ああなります。」

という意外過ぎるお答え。

よく見ると、山の中腹あたりの細道を、
ロバを引いた人が
えっちらおっちら登って行くのが見えます。

(樹木の生えた山ではなく、
いわゆるハゲ山なので、全部丸見え。
ロバの足下から転がり落ちる
石ころまで丸見え。)

(実際に労働するロバを見たのも、
これが初めてだったなぁ…)

この壮大な風景、
自然のなせる技ではないんだ!

しかも、これ、
重機を使っている訳でもなく、
今も昔も、人力ひとつ、
せいぜいロバを使って、
お百姓さんが、こつこつと
ただ畑を作り続けただけだという。

それだけで
こんな大規模に削れるなんて
とても信じられない。

だって、
「だんご山」レベルの小山だけではなく、
けっこう大きな山もある。
それらが、全部、台形のハゲ山なのです。
それが霞の向こうまで連なっているのよ?


言葉の問題で理解し損ねたかと思い、
再度確かめたけど、
やはりそういうことでした。

塵も積もれば山となる、の逆バージョン。

それにしても、なぜ、畑を
山の頂上にだけ作るんだろう?
段々畑のようなものや、山の裾野には
畑らしきものは見当たらなかったのです。

崩れやすい土壌だったり
水の確保の問題だったりするのかな?
豊かとは言えない土地、
水に苦労する土地ならではの
風景だったのかな…

その疑問は解けず終いだったのですが、
それにしても、とにかく大規模過ぎる!!
それが住人にとっては
「なんでもないこと」カテゴリーに入っている。

すごいよ、中国…


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続いて、山並みの間から
遠くに大きな湖が見えました。
かなりの大きさです。

琵琶湖くらいかな?
いや、もっと大きいかもね!
なんて湖だろう?
と友人とワイワイやっていると、
中国人の彼女が教えてくれました。

「あれは、ただの人口湖です。
水の確保のために作られました。
でも、ここは寒いので、冬は凍ります。
凍ったら、軍が飛行機でやってきて
湖と川を爆撃して、氷を割ります。」


・・・・もうね、規模が違いすぎて。
圧倒されっぱなしでした。


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車内風景で印象的だったのは、
おじさん達が揃って
腰にぶら下げている水筒です。
こういうの。
(今思うと、この流行を
20年くらい先取りしていたかのよう・笑)

 
透明なので、
中にマリモのようなお茶っ葉
浮かんでいるのが見えます。

↓こういうお茶っ葉の同類。
なんだけど、「お花」要素を無くした、
もっと庶民的な感じのもの。

で、駅構内や車内では、 
昔の給食でお茶を配るのに使ったような
大きなヤカンにお湯を入れて
配り歩く係の人が、時々回ってくるんです。
おじさん達は、各々の水筒に
お湯を継ぎ足してもらっていました。

あれ、いいなぁ。すごく便利じゃない?
と羨ましく見ていたんですが、
買い損ねたな…。


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あと一つ、夜行列車で
忘れられない思い出が。

それは、帰り道、
つまり、北京へ向かう列車での出来事でした。

夜中、うとうとしている時に、
突然、車掌さん?警察??が回ってきて
「パスポートを見せろ」と叩き起こされました。
周りの人達は、それぞれ何かを渡しています。
我々のパスポートも、
あっけなく持って行かれました。

怖かった。本当に。
訳も分からずパスポートを
没収されたんですから。

でも、同行の中国人彼女は、
大丈夫です。外国人だから。
大丈夫じゃないのは、
北京に住んでいない中国人です。」
と、いたって平静。

え?
こういう場合、
一番立場が弱いのは外国人では??

と思ったのですが、
実際、彼女の言うとおり、
ほどなくして何の問題も無く
パスポートは戻ってきました。

そして、
臨時停車したと思われる駅で、
何人もの人が降りていました。
いや、実際には
「降ろされた」あるいは「蹴り出された」
が適当でしょう。

外を見ると、周辺は漆黒の闇
街もなく、駅舎もなく、
素っ気ないプラットホームがポツンとあるだけ。

夜中、あんな場所に降ろされたら、
恐怖だろうな・・・。

彼女の説明では、
国慶節に備えて、
北京の街を美しくするため、
地方からの出稼ぎ労働者の流入が
阻止されている、ということでした。

そのため、こういう夜行列車で検問があり、
北京在住が証明されない中国人は
北京に入れないようになっている。
彼らは、そういう労働者なのだ、と。

だから、外国人は問題がないし、
自分も北京在住が証明できるから大丈夫、
ということでした。

そうなんだ…
中之島や天王寺公園から
ホームレスを追い出そうと頑張る
大阪市みたいな感じ…?

旅行をしていて、
外国人がフリーパスで
片や自国民に制限をかける場面に
遭遇したのは初めてで、
こういうこともあるのか、と
ただ驚くばかりでした。


・・・小説で、
理不尽に扱われる貧しい人々の
描写を読んだとき、
このおじさん達のことが思い出されました。

あの人達、あの後、どうしただろう。

小説の中の人々のように
「没法子」(メイファーヅ)(仕方ない)
と肩を落として諦め、
寒い夜をただ我慢することで
やり過ごすしかなかったかな・・・。


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