ジョルジュ・サンド George Sand

19世紀フランス女性作家 George Sandを巡って /日本ジョルジュ・サンド学会の研究活動/その他

ファッション男装

2006年05月29日 | その他 Autres
Le smoking brule

Le Festival de Cannes, festival fashion. Cannes, depuis quelques annees, est inscrit au calendrier de la mode au meme titre que les collections de pret-a-porter. Glamour du tapis rouge oblige, le moindre etre humain gravissant les celebrissimes marches du bunker se voit change, quel que soit son physique, en top (ou bottom ?) model. Face a la surabondance de robes-meringues mal ajustees, qui plus est surmontees de choucroutes approximatives, il est toujours bon de faire un effort de distinction. Le melange des genres, qui malmene les sempiternels codes de la seduction, est l'allie de l'elgante en overdose de glamour femme-femme. Longtemps reserve aux personnes du sexe qui devaient dissimuler leur feminite pour acceder au pouvoir (relire Marivaux, Goldoni, louer le DVD de Mulan ou repenser a George Sand), le vetement masculin est un bon sesame. Celle qui le porte montre qu'elle ne confond pas, en tout cas, Hedi Slimane avec une jeune gardienne de chevres allemande.
C'est Saint Laurent qui eut l'idee, a la fin des annees 60, d'adapter le smoking a la morphologie feminine : en 1966, une New-Yorkaise se vit refuser l'acces d'un restaurant dans cette tenue jugee trop choquante. La societe a-t-elle fait des progres ? L'homme semble toujours avoir un peu de mal a accepter qu'on lui emprunte les attributs du pouvoir. Et il a toujours peur que la femme en costume d'homme, dont il suspecte l'orientation sexuelle, tente de lui voler sa copine apres lui avoir ravi la vedette. C'est le coup de chaud suprime du smoking : en violant les regles du ¨ sexy ¨, il affole hommes et femmes. La perfection au masculin-feminin.



GEORGE SAND ET LES ARTS

2006年05月28日 | 出版
Chateau d'Arsで開催された国際シンポジウムの成果、¨GEORGE SAND ET LES ARTS¨が刊行されました。クレルモン・フェラン大学の担当著者に問い合わせてくださったアメリカのサンド学会Annabelle REA 会長によると、海外の購買者も20ユーロ(郵送料フリー)で買い求めることができるとのことです。

Annabelle REA 会長からのもうひとつの情報です。Le Monde の¨ Dossiers et Documents ¨は、サンドに関する1952 年から 1995年の関連記事の総集編(Jean Gaulmier、Francoise Saganの記事, サンドの葬儀の際のVictor Hugoの弔辞なども含む)を掲載しているそうですので、お知らせします。


2006春季サンド研究学会

2006年05月26日 | 学会活動 Activites
先週おこなわれた日本ジョルジュ・サンド学会の総会および研究会に関する報告です。当日は、会員のほか、サンドの作品の翻訳者でおられる小倉和子氏、石井啓子氏、それに思いがけず学会員以外の方々がご参加くださいまして、会場の教室は満杯の状態。パワーポイントを使用した最先端の研究発表には、多くの質疑応答があり、大盛況のうちに会を終えることができました。

La Journee d'etudes sandiennes 2006
日本ジョルジュ・サンド学会/2006春季/総会・研究会
日時:5月20日(土)  10:00 -12:10
場所:慶応義塾大学三田キャンパス・西校舎545
Universite Keio Batiment Ouest Salle 545
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総会  10:00 -11:20  
    書記  野母  Chikako Nomo
10:00 -10:25 自己紹介と活動報告 
    司会  高岡  Naoko Takaoka
 ー日本ジョルジュ・サンド学会の活動報告・連絡
  ・会計報告       高岡 Naoko Takaoka
  ・アクト出版に関する報告・科研内定について        
              西尾 Haruko Nishio
ー 簡単な自己紹介
 10:25 -10:45  日本サンド学会の運営について 
 司会 平井 Chikako Hirai
ー 現在および今後の学会運営について 西尾 Haruko Nishio

研究発表会 10:45-11:55
10:45 -11:20 (各発表20分+質疑応答15分)
 新實五穂発表「女性サン=シモン主義者の服装にみる象徴性-
 1830年代のフランスにおける女性解放の思想ー」
<Saint-Simonisme et George Sand> Iho Niimi       
             司会 西尾 Haruko Nishio
11:20-11:55
 坂本千代発表「La Mare au Diableの和訳について」 
 <Sur la traduction de ¨La Mare au Diable¨>Chiyo Sakamoto 
              司会 渡辺 Kyoko Watanabe

12:15~ 14;00  懇親会 「中国飯店』にて
Dejeuner amical

天候の悪いなかをご足労くださいました皆さま、お疲れさまでした。
     


INA

2006年05月15日 | 映画・テレビ・演劇ほか
INA(仏国立視聴覚研究所)がテレビ番組10 万本のアーカイブ・ オンライン提供を始めたそうです。
http://www.ina.fr/archivespourtous/index.php

サンド関係では、Les beaux messieurs de Bois dore, La petite Fadetteの6本が収録されています。
http://www.ina.fr/archivespourtous/index.php?vue=corpusp#


スリズィCERISY LA SALLE国際学会・3

2006年05月08日 | G.サンド研究
小説のジャンルに関しては、サンドの最高傑作のひとつに挙げられる『コンスエロConsuelo 』を連載小説の側面から捉え、サンドの概念に従えば、作家は「風が奏でる年老いたハープ」のような楽器にすぎず、作家は「一種の通過」であり「主体の不在と自己の忘却を運命づけられている」と分析する、サンド文学における、作家を含む広義な意味での芸術家の役割論を紹介した発表が印象に残った。

一方では、童話に関する発表も比較的多く、プロップWladimir Proppの方法論やベッテルハイムBruno Bettelheimの形態精神分析学を、「集合的記憶から個人の記憶への移行」や相互補完的でもある「二つの記憶の干渉」といったサンドの童話にみられる創作技法に結びつけ、これをサンドの「エクリチュールの戦略」であると論じる発表や『祖母のコント』にみられる、童話の発話を支える母性的なミューズとしての「声」の触媒の役割に注目した発表などがあった。

社会と作家との関わりという視点から、サンドは社会の変革を目指しこれを小説化しようとしたが、ドイツの理想主義哲学者シェリングやシュレーゲルの影響を受け、フランス社会に必要な「多神教とキリスト教とを混淆した新たな神話」を構築しようとしたとする発表、文学創造に大きな影響を及ぼした産業革命の時代に書かれた『フランス一周の修行仲間』について、伝統と創作の狭間にある作家の社会的位置と創作技法を論じた考察など多彩であった。

すべての発表について紹介することはできないが、このほか、ケルト文化の伝統に詳かであった民俗学者ともいえるサンドの知られざる一面やミッシェル・レヴィMichel Levy 出版社のサンド全集の刊行に際し、『人間喜劇Comedie humaine』とは異なる合理的な全集の出版を企図したサンドを照射した発表、音楽をテーマとした「ジョルジュ・サンドと音楽の想像界」「モーツアルトとベートーベンの間で-ジョルジュ・サンドの小説における文体」、書簡、旅、呼称の問題を主題とした発表など、「エクリチュール」という中心的テーマに収斂される、実に多種多様な個別テーマが扱われていたことを付け加えておこう。

            Copyright@Sohie 2005



スリズィCERISY LA SALLE国際学会・2

2006年05月06日 | G.サンド研究
次に、各発表の概要について、筆者が学会参加の際に取ったメモ書きと各発表者のレジュメを参考に以下にまとめてみたい。

【発表の概要】

初期作品に検証される「エクリチュールの二元性」に着目した発表のほか、「『イズィドラIsidora』における誘惑とエクリチュール」は、この作品が男性作家の美学的規範に沿って書かれている点で十九世紀の娼婦文学の一環をなしているとしながら、「誘惑者のテクスト」『イズィドラ』は伝統的な文学創造のメタファーを根底から覆すサンドの現代性を表象する小説であると論じた。また、作品中の地理的表記には集合的な想像力を継承する神話が刻印されているが、こうしたいわば「想像上の現実」を再構築する典型的なサンドの「空間のポエティック」を強調した発表のほか、1850年代以降、劇作家として認められ始めたサンドの「劇作のポエティック」は、作者固有の独創性に富んでいるだけでなく、幻想とフィクションの問題に連結する倫理と美学についての深い考察を礎にしていることを指摘し、創作における演劇と小説との相関性に言及した発表、劇作に関しては、このほか、デュマ・ペールの「あらすじに重点を置く十九世紀の伝統的な劇作法」に対し、「登場人物を中心に作品を構築する」サンドの斬新な劇作詩法に着目した発表もあった。

他方、小説『レリヤ』(33年版・39年版)と「ピグマリオン神話」との比較と分析を通し、小説理論の構造においてバルザックやスタンダールとは論を異にするサンドを、「レアリスト詩学」あるいは「レアリスム文学」のテキストに対する「意義申し立てをおこなった最初の十九世紀女性作者」として捉えた発表、あるいはA.モンタンドンの「社会詩学論sociopo?tique」とバクーチンのラブレーとドストエフスキーのテクストにおける「民衆の祭と笑い」に関する理論に立脚し、語りと意味論をも射程に入れつつ、サンドの「文学空間の旅人」あるいは「都会の散歩者」としての側面と女性作者に固有の「想像と表象のエクリチュール」とを社会的相互作用という観点から照らし出した発表など、ポエティックのテーマについての発表には印象深いものがみられた。

序文については、サンドはほとんどの作品に序文をつけているが、作品そのものの内容についての直接的な記述はみられないとし、サンドの序文の特殊性は、「創作の過程の文脈化」にあり、そこには常に「小説を発明し」(ゾラの言葉)、創造する自己があること、またジェームズ、ドストエフスキー、 プルーストにとってサンドの作品は「驚異とロマネスクの威光への入門書」であったことを序文のディスクールを例に提示した「序文の舞台-ジョルジュ・サンドとインスピレーション」、このほか、当初は他の作品の序文にしようと考えていた断章が、結果的には小説となった作品について、政治的・宗教的題材を扱うことを禁止する出版社との連載小説に関する契約がゆえに、「小説の目的に関する小論文」ともいえる極めて文学的な作品となった小説の存在を明らかにした「『ラ・フィユルLa Filleul』極めて文学的な小説」などが注目された。

画像はCerisy城の全景です。
Mille remerciements a Madame Kyoko Murata pour cette maginifique photo!

         Copyright@Sohie 2005



スリズイCERISY LA SALLE国際学会・1

2006年05月06日 | G.サンド研究

以前のブログでお約束していたスリズィ城でおこなわれたサンド・コロックに関する情報を、二回に分けてアップします。生誕二百年を記念してフランス国内で開催された最も大規模な国際学会であり、現代サンド研究の先端を代表する国際コロックだったといえるでしょう。

スリズィ・ラ・サル CERISY LA SALLE国際学会

文学者を始め、哲学者、数学者、写真家、建築家など様々な学問分野における著名人の国際学会を開催することでよく知られるフランスのスリズイ・ラ・サルCerisy La Salleで、大がかりなサンド学会が開催されたことは、サンド研究史上、画期的なことであった。2004年7月初旬、モン・サン・ミッシェルに程近いノルマンディ地方に位置するスリズイの古城には世界各地から七、八十名近いサンド研究者が参集した。テーマは「エクリチュール:実践と想像力」であった。日本サンド学会からは筆者を含む三名が参加し、最先端のジョルジュ・サンド研究の息吹に触れることができた。
主催者側が発表した、スリズィ・ジョルジュ・サンド国際学会の概要は以下の通りである。

期日:2004年7月1日~8日
テーマ:「サンドのエクリチュール:実践と想像力」
主催者: ブリジット・ディアズBrigitte Diaz
     イザベル・ナジンスキーIsabelle Naginski

【シンポジウムの概要】
 ジョルジュ・サンドはその百編におよぶ膨大な作品を残したことから、しばしばバルザックのように「十九世紀の最も多産な作家」という言葉に収斂されてしまいがちな作家である。この国際シンポジウムでは、このようなサンドのイメージの影となって疎かにされがちな「サンド文学における創作論」を主要テーマとした。テーマの分類と内容は次の通りである。

(1) 作品の成立過程の問題ー自筆原稿を考察する
一部の批評が好んでサンドにつけるレッテル「最も実り豊かな作家のひとりである」というカリカチュア化された作家像ではなく、「仕事をする作家」としてサンドを捉える。創作のために情報収集した資料や作品の創造過程について、また、Leliaや Spiridionのように、同名の題名でありながら異なる二編をもつ作品や、あるいは演劇化された作品を取り上げ、作品の他の形への移行の問題を照射する。 
 
(2) エクリチュールの実験室
作品創造に携わる作家の生涯を通して、サンドはどのようなエクリチュールを目指し、その作品はどのような変遷過程を経て小説として練り上げられ完成をみたのか。サント・ブーヴ、フロベール、バルザック、シャンフルリなどとの往復書簡にその足跡を辿ることができるであろう。小説の推敲、小説創造の過程、出版と読者の反応をも射程に入れた考察を試みる。

(3) 序文のディスクール
サンドは、39本の序文、および後に付け加えた前書きや覚え書き、そしてサンド全集のために付した注目すべき三つの特別な序文を残している。文学の理論化を頑なに拒否しつつ、しかし、そこには自分の作品をどのように読者に読んでもらいたいか、いわば、作家が読者に読んでもらいたい作品の読み方が提示されてるがゆえに、これらの序文を戦略的テクストとして捉えることが可能だ。このほか同時代人の読者に向けて書かれた数多くの序文に準ずるディスクールも見逃すことはできない。

(4) 小説のジャンルの問題
サンドは様々な文学のジャンルに挑戦した。小説はもちろんのこと(私的な小説、叙情的な小説、田園小説、レアリスム小説など)、コント(短編、童話)、中編小説、書簡、日記、自伝、演劇など、詩を除く様々な文学ジャンルにおける創作を試みた。ユゴー、ヴィニー、ゴーチエにも検証される、このような超域的なジャンルの横断あるいは間ジャンル性について考察する。

(5) 文体の問題
当時の批評はサンドには「美しい文体」が欠けていると批判した。サンド自身は、まつり縫い
oulet(縁かがり)をすると同じくらい容易に小説を書けると言ったが、それでは、サンドは「文体をもたない作家」なのだろうか。こうした固定観念とは裏腹に、サンドは言葉についてあるいは語法に関して深い洞察を巡らしている。文体について恒常的に自ら問いかけをおこなうサンドを蘇らせる。

(6) 作家を考える
サンドは、十九紀という「革命された世紀」(二度の革命を経験したという意味で使用される)において、自らの作家の位置、社会的あるいは女性作家としてのステイタスについてどのように考えていたのだろうか。当時の文学空間において、サンドの作家としての場所はどこにあったのか。現前の作家の社会的位置について、恐らくサンドが自ら望み、再構築しようとしたであろうサンドの作家としての位置について考察を試みる。


*写真はスリズィの古城を正面から撮影したものです。

Copyright@Sohie 2005