ジョルジュ・サンド George Sand

19世紀フランス女性作家 George Sandを巡って /日本ジョルジュ・サンド学会の研究活動/その他

サンド研究発表会

2007年05月20日 | G.サンド研究
日本ジョルジュ・サンド学会開催の2007年度春の研究会journee d'etudes(明治大学-5月19日)は、サンド、バルザック、女性学研究、美術、美学専門の方々の参加を得て、和やかな雰囲気の中、活発な議論が交わされ、無事に終了しました。遠方よりお越しになられた皆様方、お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。
「日本のジョルジュ・サンド研究は、非常にダイナミックだ。今後の活躍を期待している」と世界各地のサンド研究や国内のフランス文学研究に携わっておられる方々から、よく励ましの言葉を頂戴いたします。このようにうれしい評価をいただけるのは、ひとえに研究会が国内外の博士号や修士号を取得された方、取得中の方、サンド学や女性学に関する書物を著された方、サンドに関する研究論文を発表され続けている方、様々な形でサンド研究や会に貢献してくださっている方など、業績、人物ともに素晴らしく優秀なメンバーにより構成されているからに違いありません(私自身はその末席を穢しているにすぎませんが)。
今回は、地道な研究発表会を重ねることに意味があること、またその重要性が再確認された研究会だったと思います。
秋の学会は、10月末の関西大学(吹田市)です。次回の研究会を楽しみにいたしましょう。

『日本におけるジョルジュ・サンド』

2007年04月29日 | G.サンド研究
『日本におけるジョルジュ・サンド』George Sand au Japon(平井知香子著 Chikako Hirai、いなほ書房 ed. Inaho Shobo、2004)は、著者が長年に渡ってサンド研究に傾けた情熱が直に伝わってくる力作です。著者が中之島図書館で見つけた古い翻訳本 ー明治41年(1908年)刊行の『帝国文学』第8号、第9号に掲載された『せつるい』ーの著者¨ヂョルヂサン¨はサンドのことではないかという仮説に立脚し、この興味深い謎の解明に多くの頁が割かれています。巻末には、貴重な図版や資料も搭載されています。是非、皆さんに一読をお勧めしたい書です。

画像がうまくいかず、おかしくなってしまっています。申し訳ございません。

Sand et l'argent.bis.

2007年03月12日 | G.サンド研究
Jose-Luis Diaz, Michele Hecquet, Nicole Mozet, Michelle Perrot, Christine Planteの各氏が中心となって(ソルボンヌ第七大学/Universite Paris 7 ) 今週末に開催される`Sand et l'argent¨ に関する詳しい情報が、以下のHPにアップされました。

http://www.etudes-romantiques.org/Sand_argent.htm

Fabula -2

2007年03月10日 | G.サンド研究


Sandに関する出版、コロックなどの情報は、以下のサイトに網羅されています。

http://www.fabula.org/rechercher.php?q=sand&ul=&cmd=Lancer+la+recherche

The Univ.of California,September 25-27, 2008

2006年11月01日 | G.サンド研究
少し先の話なので恐縮ですが、2008年9月25-27日、カリフォルニア大学(Santa Barbara)にて、
国際ジョルジュ・サンド学会が開催されます。二年に一度開催され、世界のサンド研究者が集まる
大規模な国際学会です。テーマは、Ecriture, Performance et Theatralite dans l’oeuvre de
George Sand です。皆さんの再来年のAgendaに予定を書き入れておかれてはいかがでしょうか。

   Eighteenth International George Sand Conference

Ecriture, Performance et Theatralite dans l’oeuvre de George Sand

- L’ecrivain(e) au travail
- Conception, affirmation ou denegation de l’etat d’auteur(e)
- Mise en scene du regard - Regard sur la mise en scene
- Le theatre dans le roman - Les romans adaptes au theatre
- Performance et oralite
- Creativite et improvisation
- Rituels, performance publique et changement social
- Recits de voyage et mise en scene du sujet
- Les ¨genres ¨ de la performance - Le ¨ genre¨ comme performance
- Performances publiques et privees - Performances de la vie quotidienne
- Subjectivite et intentionnalite - Creativite et contrainte
- Etudes sandiennes et theorie des actes de parole (Austin)

《Le Meunier d'Angibault》

2006年07月01日 | G.サンド研究
日仏女性研究学会では下記の研究発表会を開催します。サンド学会会員の平井先生が「『アンジボーの粉ひき』における女性像について発表されます。来週の土曜日午後です。お時間がおありの方、是非、ご参加ください。
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♪仏女性資料センター(日仏女性研究学会)より La societe des etudes sur les femmes franco-japonaises
 2006年度研究発表会のお知らせ

第2回 会員研究発表会 Journee d'etudes

日 時 : 2006年7月8日(土)13:30 ~ 16:30 samedi 8 juillet
会 場 : 東京日仏会館 6F601号室 salle 601 Maison franco-japonaise a Ebisu Tokyo
      〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿 3-9-25
会 費 : 会員・非会員ともに500円 frais de participation : 500 yens
司会  佐藤浩子(川村学園女子大学) Presidence : Hiroko Sato

1. ルイ14世時代における結婚と女性の地位
Le mariage et la condition des femmes sous le regne de Louis XIV
佐藤洋子(青山学院大学) Intervenante : Yoko Sato (universite Aoyama gakiun)
コメンテーター 塩川浩子(共立女子大学) Moderatrice : Hiroko Shiokawa (universite Kyoritu)

2. ジョルジュ・サンドの『アンジボーの粉ひき』における女性像 - 娘、妻、母
Les images des femmes dans 《Le Meunier d'Angibault》 de George Sand - Fille, femme, mere
平井知香子(関西外国語大学) Intervenante : Chikako Hirai (Universite de langue etrangere de Kansai)
コメンテーター 西尾治子(慶應義塾大学)Moderatrice : Haruko Nishio

3. フランスのギャルソンヌと日本のモダンガールの比較
La gar?onne et la ¨ modern girl ¨ : Etude comparee
日置久子(多摩美術大学) Intervenante : Hisako Hioki (Universite des Beaux Arts de Tama )
コメンテーター 長谷川イザベル(上智大学)Moderatrice : Isabelle Hasegawa (Universite Sohia)

問合せ : 佐藤浩子(duras @ rose.ocn.ne.jp) Renseignement : duras @ rose.ocn.ne.jp (Hiroko Sato)


¨LIRE HISTOIRE DE MA VIE, DE GEORGE SAND¨

2006年06月15日 | G.サンド研究

すでにこのブロクにアップしたと思っていて、実際はまだでした大変興味深い新刊書のご案内です。
本書は日本の国際シンポに来日してくださったJose Luis DIAZ 氏が編纂されています。

¨LIRE HISTOIRE DE MA VIE, DE GEORGE SAND¨

Etudes reunies et publiees par Simone BERNARD-GRIFFITHS et Jose-Luis DIAZ
Presses universitaires Blaise Pascal

Ces textes entretiennent entre eux des relations dialectiques que l’on retrouve dans les rapports entre Moi et Histoire. Un ¨pacte de solidarite ¨ scriptural relie le moi a une famille, une generation, voire a l’humanite entiere creant ainsi des echanges dont la musique et les digressions sont notamment des vecteurs privilegies. Au ¨ pacte de solidarite ¨ fait contrepoint un ¨ pacte de singularite ¨ : ¨Devenir soi ¨ se place au coeur du projet autobiographique ou' la quete de l’identite s’avere d’autant plus importante qu’elle est rendue problematique par le dialogue ambigu du Je et du Moi.

TABLE DES MATIERES

Preface. Simone Bernard-Griffiths : Histoire de ma vie de George Sand : les opacites dialectiques d’une ecriture autobiographique

I- Dialectique des modeles et des contre-modeles

. Annie Jouan-Westlund : Etude de l’epigraphe d’Histoire de ma vie
. Eric Francalanza : Le XVIIIe siecle dans Histoire de ma vie
. Anna Szabo : Histoire de ma vie ou ce que silence veut dire

II- Histoire et histoire : le pacte de solidarite et d’echange

. Gerard Chalaye : Histoire, R?volution, violence… dans Histoire de ma vie
. Yves Chastagnaret : L’image du pere dans Histoire de ma vie : contribution a l’etude de la formation
du sentiment republicain chez George Sand
. Regina Bochenek-Franczakowa : L’epistolarite dans Histoire de ma vie
. Olivier Bara : J’avais presque oubli? que j’etais n?e musicienne aussi… ? : musique et identite
dans Histoire de ma vie
. Vigor Caillet : Les sept chateaux du roi de Boheme : l’art de la digression dans les deux
premieres parties d’Histoire de ma vie
. Caroline Babulle : Ecoutez ; ma vie c’est la v?tre ? : les lecteurs d’Histoire de ma vie
. Suzan van Dijk : Lectrices nederlandaises d’Histoire de ma vie : une femme de pasteur devouee a ses
enfants, une reine mal-mariee, une future socialiste

III- Le pacte de singularite

. Jose-Luis Diaz : Devenir soi. La construction de l’identite adolescente selon Histoire de ma vie
. Isabel Pannier : Le roman familial de George Sand : enjeux d’une ecriture de la filiation
. Anne McCall : Espaces de lecture dans Histoire de ma vie
. Christine Plante : L’enfance ne passe pas pour tout le monde ? : sur quelques aspects du recit
d’enfance au f?minin
. Damien Zanone : Les scenes de confession dans Histoire de ma vie. Etude d’un motif narratif

IV- Une genericite problematique

. Marie-Cecile Levet : Histoire de ma vie de George Sand : humour et autobiographie
. Shira Malkin : Les meprises du masque dans Histoire de ma vie
. Dominique Laporte : Deux figures emblematiques de l’engagement sandien : Corambe et Gribouille
(Histoire du veritable Gribouille, 1850)
. Pierre Laforgue : Le Je dans Histoire de ma vie
. Michele Hecquet : De Consuelo a Histoire de ma vie
. Postface. Jose-Luis Diaz : La vie comme oeuvre

スリズィCERISY LA SALLE国際学会・3

2006年05月08日 | G.サンド研究
小説のジャンルに関しては、サンドの最高傑作のひとつに挙げられる『コンスエロConsuelo 』を連載小説の側面から捉え、サンドの概念に従えば、作家は「風が奏でる年老いたハープ」のような楽器にすぎず、作家は「一種の通過」であり「主体の不在と自己の忘却を運命づけられている」と分析する、サンド文学における、作家を含む広義な意味での芸術家の役割論を紹介した発表が印象に残った。

一方では、童話に関する発表も比較的多く、プロップWladimir Proppの方法論やベッテルハイムBruno Bettelheimの形態精神分析学を、「集合的記憶から個人の記憶への移行」や相互補完的でもある「二つの記憶の干渉」といったサンドの童話にみられる創作技法に結びつけ、これをサンドの「エクリチュールの戦略」であると論じる発表や『祖母のコント』にみられる、童話の発話を支える母性的なミューズとしての「声」の触媒の役割に注目した発表などがあった。

社会と作家との関わりという視点から、サンドは社会の変革を目指しこれを小説化しようとしたが、ドイツの理想主義哲学者シェリングやシュレーゲルの影響を受け、フランス社会に必要な「多神教とキリスト教とを混淆した新たな神話」を構築しようとしたとする発表、文学創造に大きな影響を及ぼした産業革命の時代に書かれた『フランス一周の修行仲間』について、伝統と創作の狭間にある作家の社会的位置と創作技法を論じた考察など多彩であった。

すべての発表について紹介することはできないが、このほか、ケルト文化の伝統に詳かであった民俗学者ともいえるサンドの知られざる一面やミッシェル・レヴィMichel Levy 出版社のサンド全集の刊行に際し、『人間喜劇Comedie humaine』とは異なる合理的な全集の出版を企図したサンドを照射した発表、音楽をテーマとした「ジョルジュ・サンドと音楽の想像界」「モーツアルトとベートーベンの間で-ジョルジュ・サンドの小説における文体」、書簡、旅、呼称の問題を主題とした発表など、「エクリチュール」という中心的テーマに収斂される、実に多種多様な個別テーマが扱われていたことを付け加えておこう。

            Copyright@Sohie 2005



スリズィCERISY LA SALLE国際学会・2

2006年05月06日 | G.サンド研究
次に、各発表の概要について、筆者が学会参加の際に取ったメモ書きと各発表者のレジュメを参考に以下にまとめてみたい。

【発表の概要】

初期作品に検証される「エクリチュールの二元性」に着目した発表のほか、「『イズィドラIsidora』における誘惑とエクリチュール」は、この作品が男性作家の美学的規範に沿って書かれている点で十九世紀の娼婦文学の一環をなしているとしながら、「誘惑者のテクスト」『イズィドラ』は伝統的な文学創造のメタファーを根底から覆すサンドの現代性を表象する小説であると論じた。また、作品中の地理的表記には集合的な想像力を継承する神話が刻印されているが、こうしたいわば「想像上の現実」を再構築する典型的なサンドの「空間のポエティック」を強調した発表のほか、1850年代以降、劇作家として認められ始めたサンドの「劇作のポエティック」は、作者固有の独創性に富んでいるだけでなく、幻想とフィクションの問題に連結する倫理と美学についての深い考察を礎にしていることを指摘し、創作における演劇と小説との相関性に言及した発表、劇作に関しては、このほか、デュマ・ペールの「あらすじに重点を置く十九世紀の伝統的な劇作法」に対し、「登場人物を中心に作品を構築する」サンドの斬新な劇作詩法に着目した発表もあった。

他方、小説『レリヤ』(33年版・39年版)と「ピグマリオン神話」との比較と分析を通し、小説理論の構造においてバルザックやスタンダールとは論を異にするサンドを、「レアリスト詩学」あるいは「レアリスム文学」のテキストに対する「意義申し立てをおこなった最初の十九世紀女性作者」として捉えた発表、あるいはA.モンタンドンの「社会詩学論sociopo?tique」とバクーチンのラブレーとドストエフスキーのテクストにおける「民衆の祭と笑い」に関する理論に立脚し、語りと意味論をも射程に入れつつ、サンドの「文学空間の旅人」あるいは「都会の散歩者」としての側面と女性作者に固有の「想像と表象のエクリチュール」とを社会的相互作用という観点から照らし出した発表など、ポエティックのテーマについての発表には印象深いものがみられた。

序文については、サンドはほとんどの作品に序文をつけているが、作品そのものの内容についての直接的な記述はみられないとし、サンドの序文の特殊性は、「創作の過程の文脈化」にあり、そこには常に「小説を発明し」(ゾラの言葉)、創造する自己があること、またジェームズ、ドストエフスキー、 プルーストにとってサンドの作品は「驚異とロマネスクの威光への入門書」であったことを序文のディスクールを例に提示した「序文の舞台-ジョルジュ・サンドとインスピレーション」、このほか、当初は他の作品の序文にしようと考えていた断章が、結果的には小説となった作品について、政治的・宗教的題材を扱うことを禁止する出版社との連載小説に関する契約がゆえに、「小説の目的に関する小論文」ともいえる極めて文学的な作品となった小説の存在を明らかにした「『ラ・フィユルLa Filleul』極めて文学的な小説」などが注目された。

画像はCerisy城の全景です。
Mille remerciements a Madame Kyoko Murata pour cette maginifique photo!

         Copyright@Sohie 2005



スリズイCERISY LA SALLE国際学会・1

2006年05月06日 | G.サンド研究

以前のブログでお約束していたスリズィ城でおこなわれたサンド・コロックに関する情報を、二回に分けてアップします。生誕二百年を記念してフランス国内で開催された最も大規模な国際学会であり、現代サンド研究の先端を代表する国際コロックだったといえるでしょう。

スリズィ・ラ・サル CERISY LA SALLE国際学会

文学者を始め、哲学者、数学者、写真家、建築家など様々な学問分野における著名人の国際学会を開催することでよく知られるフランスのスリズイ・ラ・サルCerisy La Salleで、大がかりなサンド学会が開催されたことは、サンド研究史上、画期的なことであった。2004年7月初旬、モン・サン・ミッシェルに程近いノルマンディ地方に位置するスリズイの古城には世界各地から七、八十名近いサンド研究者が参集した。テーマは「エクリチュール:実践と想像力」であった。日本サンド学会からは筆者を含む三名が参加し、最先端のジョルジュ・サンド研究の息吹に触れることができた。
主催者側が発表した、スリズィ・ジョルジュ・サンド国際学会の概要は以下の通りである。

期日:2004年7月1日~8日
テーマ:「サンドのエクリチュール:実践と想像力」
主催者: ブリジット・ディアズBrigitte Diaz
     イザベル・ナジンスキーIsabelle Naginski

【シンポジウムの概要】
 ジョルジュ・サンドはその百編におよぶ膨大な作品を残したことから、しばしばバルザックのように「十九世紀の最も多産な作家」という言葉に収斂されてしまいがちな作家である。この国際シンポジウムでは、このようなサンドのイメージの影となって疎かにされがちな「サンド文学における創作論」を主要テーマとした。テーマの分類と内容は次の通りである。

(1) 作品の成立過程の問題ー自筆原稿を考察する
一部の批評が好んでサンドにつけるレッテル「最も実り豊かな作家のひとりである」というカリカチュア化された作家像ではなく、「仕事をする作家」としてサンドを捉える。創作のために情報収集した資料や作品の創造過程について、また、Leliaや Spiridionのように、同名の題名でありながら異なる二編をもつ作品や、あるいは演劇化された作品を取り上げ、作品の他の形への移行の問題を照射する。 
 
(2) エクリチュールの実験室
作品創造に携わる作家の生涯を通して、サンドはどのようなエクリチュールを目指し、その作品はどのような変遷過程を経て小説として練り上げられ完成をみたのか。サント・ブーヴ、フロベール、バルザック、シャンフルリなどとの往復書簡にその足跡を辿ることができるであろう。小説の推敲、小説創造の過程、出版と読者の反応をも射程に入れた考察を試みる。

(3) 序文のディスクール
サンドは、39本の序文、および後に付け加えた前書きや覚え書き、そしてサンド全集のために付した注目すべき三つの特別な序文を残している。文学の理論化を頑なに拒否しつつ、しかし、そこには自分の作品をどのように読者に読んでもらいたいか、いわば、作家が読者に読んでもらいたい作品の読み方が提示されてるがゆえに、これらの序文を戦略的テクストとして捉えることが可能だ。このほか同時代人の読者に向けて書かれた数多くの序文に準ずるディスクールも見逃すことはできない。

(4) 小説のジャンルの問題
サンドは様々な文学のジャンルに挑戦した。小説はもちろんのこと(私的な小説、叙情的な小説、田園小説、レアリスム小説など)、コント(短編、童話)、中編小説、書簡、日記、自伝、演劇など、詩を除く様々な文学ジャンルにおける創作を試みた。ユゴー、ヴィニー、ゴーチエにも検証される、このような超域的なジャンルの横断あるいは間ジャンル性について考察する。

(5) 文体の問題
当時の批評はサンドには「美しい文体」が欠けていると批判した。サンド自身は、まつり縫い
oulet(縁かがり)をすると同じくらい容易に小説を書けると言ったが、それでは、サンドは「文体をもたない作家」なのだろうか。こうした固定観念とは裏腹に、サンドは言葉についてあるいは語法に関して深い洞察を巡らしている。文体について恒常的に自ら問いかけをおこなうサンドを蘇らせる。

(6) 作家を考える
サンドは、十九紀という「革命された世紀」(二度の革命を経験したという意味で使用される)において、自らの作家の位置、社会的あるいは女性作家としてのステイタスについてどのように考えていたのだろうか。当時の文学空間において、サンドの作家としての場所はどこにあったのか。現前の作家の社会的位置について、恐らくサンドが自ら望み、再構築しようとしたであろうサンドの作家としての位置について考察を試みる。


*写真はスリズィの古城を正面から撮影したものです。

Copyright@Sohie 2005



エリック・ボルダス氏(パリ第3大学助教授)講演会

2006年04月29日 | G.サンド研究

エリック・ボルダス Eric Bordas氏(パリ第3大学助教授)講演会のお知らせです。5月27日はサンドの作品『緑の貴婦人』
についての講演が奈良女女子大学で開催されます。奮ってご参加されますよう、お知らせします。

5月20日(土) 14時20分~15時20分 : 
<Balzac et la question du style >
慶応義塾大学三田キャンパス・西校舎517教室
司会 柏木隆雄 (大阪大学)
日本フランス語フランス文学会春季大会
連絡先:慶応義塾大学文学部フランス文学研究室 e-mail : fr2006-haru@hc.cc.keio.ac.jp

5月 22 日(月)17時15分:
< Etudes stylistiques compar?es: Balzac, Stendhal >
上智大学7号館12階第2会議室
連絡先:フランス文学科事務室 (03-3238-3621)

5月23日(火)16時?18時: < Lire Balzac au XXIe siecle >
名古屋大学文学研究科1F大会議室
連絡先:名古屋大学仏文学研究室 (052-789-2249)

5月26日(金)16時: < Le don du re'cit chez Balzac >
大阪大学豊中キャンパス「待兼山会館」2階会議室
連絡先:阪大文学研究科仏文学研究室 (06-6850-5117)  

5月27日(土)17時:
< Les Dames vertes de George Sand: histoire d'un roman oublie'>
奈良女子大学文学部南棟3階LL2教室 
連絡先:奈良女子大学三野研究室 (0742-20-3293)
または高岡研究室 (0742-20-3294)

-------  参考 --------
Eric Bordas :
http://rh19.revues.org/personne.html?id=480&type=auteur

Litterature

¨LES DAMES VERTES¨ http://www.snark.fr/snark/index.php?sp=liv&livre_id=95

George Sand, ?dition d' Eric Bordas, 16 ?, isbn : 2-914015-23-2, 198 pages
Seconde edition, revue, corrigee et “ignifugee” publiee avec le soutien de l’association HELIKON
“ Viens, gentille dame... ” Tout le monde connait la charmante Dame blanche de Boieldieu & Scribe, creee a l'Opera-Comique le 10 decembre 1825. Ce gentil fantome qui n'en est pas un est tout une image de la culture monarchiste de la Restauration. Seulement, voila ! le temps passe. En 1857, la dame blanche est devenue verte, sans doute par moisissure... Et dans le recit de George Sand, dont l'action se deroule entre Angers et Saumur, ? la veille de la Revolution de 1789, entre deux apparitions spectrales, les riches veulent devenir pauvres, tout comme les nobles aspirent a pouser les robins. Le monde serait-il devenu fou ? Ou plus exactement, puisqu’il s’agit du recit d’un passe, le monde etait-il fou alors ?
La derniere edition des Dames vertes datait de 1883. Il faut lire ce court roman, contemporain de Madame Bovary, pour mieux apprecier la versatile diversite du talent de conteuse de George Sand. Pour savourer, egalement, la douceur ambigue d’une ecriture parodique. Las ! qu’il est triste de ne plus savoir croire aux fantomes !
       


サンド研究会の発表タイトル

2006年04月15日 | G.サンド研究
5月20日(土)、慶應義塾大学・三田キャンパスで開催される日本ジョルジュ・サンド研究会の発表タイトルが次のように決まりました。

「女性サン=シモン主義者の服装にみる象徴性―1830年代のフランスにおける女性解放の思想―」

「La Mare au Diableの和訳について」

「女性サン=シモン主義者の服装にみる象徴性」についての研究発表は、若手の新入会員の新實五穂さん、「魔の沼の和訳」については、坂本千代さんが発表されます。全国の日本ジョルジュ・サンド学会員が集う春のサンド研究会には、今回、同じく若手新会員、藤田敦子さんも参加されることになり、新旧を問わず、すべての会員にとって大いに刺激を与えられる研究会となる予感がします。

<参考まで>
Le saint-simonisme par l'exemple. Les Saint-Simoniens dans leur maison de Menilmontant. Description des travaux des Saint-Simoniens : http://expositions.bnf.fr/utopie/grand/3_44.htm
La mare au diable : http://visualiseur.bnf.fr/Visualiseur?Destination=Gallica&O=NUMM-103320

春のサンド談話会/3月28日

2006年03月28日 | G.サンド研究
前回のブログから、ずいぶん、間が空いてしまいました。
にもかかわらず、定期的にご訪問くださっている皆さま、ありがとうございます!
そしてごめんなさい!

本日、日本ジョルジュ・サンド学会は、新宿の加賀料理レストランで、『黒い町』の翻訳者、石井啓子氏をお招きし、またフレッシュな若さいっぱいの新会員お二人にもご参加頂いて、春のサンド談話会を開催しました。ご子息様からの誕生日プレゼントに頂いたというサンド手書きの貴重な封筒を拝見させていただいたり、『黒い町』のことや様々なサンドの話題に花が咲き、春らしい大変に楽しいひとときを過ごすことができました。春季仏文学会(慶應義塾大学・三田キャンパス)のサンド研究会発表の打ち合わせもいたしました。「女性サン・シモン主義者について」、「『魔の沼』における間テキスト性について」の二点の発表が予定されています。 

ご参加くださいました皆さま、ありがとうございました。


Cecile Pichot /フォラム・サンド

2006年03月01日 | G.サンド研究
前回のブログでは、少し叙情的すぎるHPをご案内してしまいましたが、他のいくつか(全部読んでいると相当時間を取られますが)、サンド研究に役立つ興味深いHPをご紹介します。

サンドと作品について質問がある場合には

http://www.amisdegeorgesand.info/faq.html

セシル・ピショのHP

Auteure du site : Ce'cile PICHOT
http://www.george-sand.info/

フォラム

L'univers Spirituel de George Sand
Discussions autour de la dame du Berry