前回のブログに『黒い町』の翻訳者との談話会について書きましたが、翻訳者をお招きしてお話を聞く会は、昨年末に開いた『モープラ』(小倉和子氏)に続く二回目の試みでした。いずれも翻訳の苦労話や翻訳されてみて、サンドについてどのような感想をもたれたか、など興味深い感想を伺うことができました。ベリ地方の方言については、どちらの場合も頻度はそれほど多くなく、ほとんど苦労されることはなかったとのこと。『黒い町』の場合には、その前に翻訳されたゾラ・セレクションの『愛の一ページ』に比べ、翻訳上、困難なことは特別には感じられなかったそうです。
藤原書店のサンド・セレクションシリーズは、各書に登場人物を紹介する栞が挟んでありますが、栞の裏側には「サンドの言葉」が書かれています。編集者の細やかな配慮が感じ取られます。その中からいくつかを書き留めておきましょう。
「愛は理性よりもすぐれた教師であり、あらゆる知識は愛に由来する。」
「心の奥底から、人間は愛するために作られているのだと理解した。」