永遠の歌を求めて

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美術展 その1  (追記あり)

2014-07-20 | 表現・ココロ・カラダ・コトバ
  優れた芸術、優れた文学、優れた音楽…これに触れて、触れて、触れぬくことによって
  「質」の知覚が生まれます。「質」と「質」との微妙な差異を感じ分ける力も、
  人間の中に目覚めさせ、磨き上げることができます。 『エンデと語る』


先日ちらと触れましたが。
美術館に時折行きながら、全く書いていませんでした。私は感覚過多(過敏)ではあっても
評論的な文章を書くことは不得手なこともあり、書く気にならなかったのかも(^^;
美しすぎるものは、言葉を越えてしまうし、ね。(Twitterに同じ感覚のひとが♪)

ここ数か月で最もすてきだったのは、先日まで開催していた
「超絶技巧!明治工芸の粋」(三井記念美術館)。

もともと工芸は大好き。
実際に使える道具や器に、これでもかというほどの技術の粋を凝らして装飾を施した品々。
どうしたらこんな細かい柄が…という七宝や、陶磁器、漆器、
細かいパーツを組み合わせて、まるで本物の伊勢海老や鯉のように動く鉄器。
一つの美術展で、いつまでも眺めていたい作品にひとつ出会えれば儲けものではと思うのですが
許されるなら手元に置いてみたいと思ったものがいくつも。
なかでも今回初めて知った、牙彫家の石川光明という方の作品が本当に素晴らしかった。

画家で私が最も好きというか、作品が心に残るのはアンドリュー・ワイエスなのですが
魅かれる美術作家に必ず共通するのは、対象の内面性までも表現してしまう才能。
人物の彫像は卓越した技量さえあればそれも可能でしょうけれど
象牙を彫って彩色した、一部葉の朽ちた蓮根に、植物の内面性というか
内面から輝く「自然」の本質とでも言えるものが表現されていて。
対象は植物なのに、まるでミケランジェロの「サン・ピエトロのピエタ」に通じるような。
おみごとでした。

書いてみて、この方の人となりを知りたくて。ちょっと探したらありました。
高村光雲の文章なんですね。「石川光明氏と心安くなったはなし」
なるほど。作品から感じる通り、人品よく偉ぶらず。謙虚な方だったようです。


既に長いので、続きはまた。


追記:ご存じのように、象牙はワシントン条約で現在は国際取引が禁止されています。
   当時は象の命を奪って手に入れるものが普通だったことを考えると
   褒めてよいのかとは思います。象たち、人間のためにごめんなさい。

   現在は現地で流通される象牙は自然死した象からいただいていて
   基本、輸出するほどの量はないそうですね。それでも残念ながら密猟は今も。
   死んだ象からいただく象牙は逆にアフリカゾウの保護に使われるとか。

   歴史的には、象牙細工は日本が外貨を得るための大切な産業のひとつだったのですね。
   今石川光明氏がご存命でお若くていらしたら、是非石の彫刻をしていただきたい。
   それこそミケランジェロのように。
   
   また、ここで書いている美術館は財閥系…書いていて少々複雑な気持ちに。
   眠かったのでそのままUPしてしまいましたが。
   何も考えずにいられた頃が、ある意味なつかしいです。
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2 Comments

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買うつもり?で見るのがコツ? (おたま)
2014-07-22 07:50:32
私も展覧会は時々行きますが、不思議と工芸より絵画が多いですね。だから「超絶技巧!明治工芸の粋」は
見ていません。

「許されるなら手元に置いてみたいと思ったものがいくつも」
「手に入れるならどれか」という気持ちで見るのが楽しむコツだと以前にテレビ番組で言ってました。マスコミに傑作としてよく露出している作品でも実際に眼にすると「うちにはなくていいわ」と思うこともありますし、逆にダビンチやミケランジェロのように誰でも知っている芸術家の作ではないのに非常に気に入って忘れられなくなる作品もありますし―そういうのに限って絵葉書になっていないからついつい図録を買ってしまって予定外の出費!?

象牙について―人間の動植物への向き合い方は時代によって変化します。本来、狩猟や採集を生業としている人々は自然と対話しながら仕事をしているはずです。そういう行為を経験しない人が大半になったせいで環境破壊が進むという考え方をする人もいますね。
毛皮にしても寒冷な地方の人々にとっては自らが生存するための必需品だった時期もありますから一概に
善悪は言えないかもしれません。でも今後はつつしむ
べきですよね。


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おたまさん♪ (TOMOKO)
2014-07-22 22:00:45
なるほど。 
私もマイナー好みですが、図録は買わなくなりました。最近は結構Web上にありますし。その点ではいい時代になりましたね。
感動に知名度は関係ありませんね。審美眼が養われるほど、他者に惑わされなくなりますし。

絵を見ないわけではないのですが、西洋絵画にはあまり惹かれなくなりました。昨年晩夏の日本画(技法はさまざま)の竹内栖鳳展は本当に素晴らしかったです。


>本来、狩猟や採集を生業としている人々は自然と対話しながら仕事をしているはずです。
そういう行為を経験しない人が大半になったせいで環境破壊が進むという考え方をする人もいますね。

よいことをお書きいただきました。ありがとうございます。
そうでしたね、マタギの人々などは、常に動物と同じ感覚と山の神への畏敬の念を抱きつつ自然に相対しているそうですし、イヌイットはアザラシを本当に無駄なく利用してきましたが決して獲りすぎはしませんね。
生態系から命を考えないことが、様々なひずみを生むのですね。
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