ウズベキスタンの風

ここはウズベキスタン。首都から約1000km北西に位置するウルゲンチで活動する看護師の日記。            

久々の一戦

2011年10月13日 | 活動
朝、出勤そうそうマフリヨーに

「私のとこの患者さん血圧測って~」とお願いされた。

今日も人が少なくてセミナー出来そうもなかったから引き受けた。

ひとしきりバイタル測り終わって記録見たら今測ったのと呼吸回数が全然違う。

つい30分くらい前までは呼吸20回/1分していたことになっている。昨日夜来院時から。

今は9回/1分

2度目の脳梗塞で来た患者さんだった。

でも呂律回ってないけど話してるし麻痺ないし、そんなに重症ではなさそう。

急変のにおいはしない。

きっと測ってなかったな。って思った。(よくあることだから)

でも本当だったら悪い変化だし医者に知らせる必要があるよってマフリヨーに言った。

夜勤だったセヴァラに聞く。

今は9回/1分だけどほんとに今まで20回/1分も呼吸してたのか。

そして目の前で呼吸をはかってるのを見て疑いが確信に。

患者見てない。じ~っと時計見て呼吸の音だけ聞いて測ってる。

いびきみたいに声出して呼吸してるから呼気も吸気も音が出ていてそれを両方呼吸として数えてたもよう。

他の看護師もそこで一緒に測ったけどセヴァラだけ16回/1分って言った。

うちらは9回とか8回/1分。

でもこういう状況、まぁまず間違いは認めないよね。

「もう私(日勤に)ひきついだでしょ~!」

とかわけのわからんいいわけを始めた。

なんか今日は譲れなかった。逃げさせん。

今患者を見て、夜から比べてほんとに呼吸が減ったと思うなら医者に報告してきてって言った。

ヤフシ~。

と言って出て行って医者を呼んできた。

でも医者もことのばかさかげんが分かってない。

患者の状態が良ければいいといって帰っていく。君たちがそんなだからダメなのよ。

まぁ、でもそうだよね、医者も病態わかってない。呼吸減少=??なのだ。

このあとセヴァラがどや顔で

ブルデム~?(もういぃ~??)

と聞いてきた。

いらっ

しょうもなっ!君はそれでも看護師か!?

でもそれよりおかしいって思ったことがもう一つ。

担当のマフリヨー、呼吸回数をなかなか書かない。

医者に聞いてから書くっていうんだよね。

9回って書いていいか聞くらしい。

・・・・・・・・・・もんもんもんもん・・・・いや、だめだ。

「今9回呼吸してんだから9回って書かなきゃだめだよね。ッて言うか書きなさい。」

と半ば強引に書いてもらった。

医者が来た時もマフリヨーは「セトラが書かなきゃいけないって言った」ってなんか医者の様子うかがってるし。

別にそう言われるのはいいんだけどね、そうじゃなくてなんで今の値を書くのに医者の様子窺うの?

ウズでは急に血圧が下がったり、急に呼吸回数が減ったりしてはいけません。

いけませんったって人間は病気の時そういう状況になりえます。

というかなります。だから病気って言うのよ。

それを彼らは知りません。

だから急に血圧低下した時とかは医者に「いくつって書く?」

って聞いて記録上徐々に下がったことにしています。

呼吸もしかり。

帰り、マフリヨーに私のポストにいてって言われたからまたその部屋に行った。

ふと記録を見ると

呼吸回数が朝の9回から1時間おきに徐々に増えて、帰る時間14時には16回まで増えてました。

こういう調整ほんとうまいんだから・・・

正常値範囲に数字がないと不安なんだな。きっと。

もちろん今測ったって9回~10回の呼吸。(多分最初から呼吸はそんなもんだったんでしょう。)

いったいウズの医療者はなにを見てんでしょうね?見るべきは患者さんでしょう。

記録上もんだいなければいいなんて、私たちの対象は生きてる人間なんじゃないんですか。ねぇ奥さん。

おかしいよねぇ。

ずれてるよ。

本末転倒なんだよね。

記録に気をとられて患者のアセスメントできないなんて、だったら記録なくしちゃえばいいよ。

記録は患者を表すものだから。改ざんしたら使ったティッシュより価値ないから。

こういうねじ曲がった習慣だけは好きになれません。

間違いをかばいあう(隠しあう)、記録なんかを改ざんする、うそをつく、臭いものにふた等々・・・・

医者も看護師もいばるならもっと勉強しろー!

あぁ、久しぶりに一戦交えたわ。

このあと院長の回診で久々に声かけられてさ

「ホレズムの中でここが一番いい病院だ!」って熱弁されたんだよね

だとしたらホレズムの医療ってさ・・・ってね。


ウズは決められたことちゃんとやってればJOCVいらないレベルで医療できるはずなんだけど、

建物が外観だけ綺麗にしてなかぼろぼろなのと同じで

法律だけちゃんとあるけど知識のところではみんな知ったかぶって働いてる。

根本的な医療の概念、一番の土台を持っていないんだよね。

医療ってさ、看護ってさ、っていうような。根本的なところ。

だからこういうおかしな方向に進むし正す人もいない。

知らないことを伝えるっていうより知ったかしてるところをいやいやいやって言うところからだからなかなかのもんですよ。




はぁ、疲れた。。。_| ̄|○il|li

正直ねウズの医療者が何やってもこの国の人が患者さんだし、医者たちもいつかは患者さんだし。

お互いに自業自得なところあるでしょ、文化とか習慣って。

だから外人がうるさく言うことじゃないと思ってさ、いろんなことを求めずにきたんだよね。

でもやっぱ自分が関わっちゃったからね。黙ってらんなかったよ今日は。

こういうことあると早く帰りたいって思います。



ニュースで見た?

良く知らなかったけど亡くなったジョブズさんて方の習慣。

毎日鏡の前に立ってね、

「今日死ぬとしても今やろうとしてることをしたいと思うか。」

というような問いかけを自分にするんだって。

毎朝、ですよ。

答えがNOの時がしばらく続くようなら方向転換するようにしていたとか。

今日死ぬかもしれないと思って大切に生きてきたからこその偉業。

もうねぇ、私のようなしょぼい隊員にはぴりっとしびれる質問ですよ。

残りの実質活動期間2カ月!


帰り、ダマスで同僚に誕生会に拉致られて、勢いで行ってきました。

お腹一杯になったし、喜んでくれたから、まぁ今日はヤフシってことで!

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6 コメント

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今日もお疲れさまでした (なかがわ)
2011-10-14 20:41:19
どうしても譲れない大切なことって、確かにありますよね。
ジョブズさんは「なにより大事なのは、自分の心と直感に従う勇気を持つことだ」とも言ってます。
あと2ヵ月、この国の文化や習慣などに遠慮する必要はもう無くて、Сетораさんのやりたいようにやるのが一番だと思いますよ!
私も、ウズベキスタンさんの本末転倒っぷりに対して、最後まであきらめず頑張ります。
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Unknown (cetopa)
2011-10-14 21:48:10
なかがわさん

コメントありがとうございます。

行動変容までは求めていないんですけど、日本人看護師が感じたことは今まで通り正直に伝えていこうと思っています。
でも私はこの国の本末転倒っぷり、もうあきらめてますけどね(笑)

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重ねて重ねて (しょうじ)
2011-10-16 00:27:03
私はずいぶん前の隊員ですが、看護士隊員の報告は、同じ悩み、苛立ち、諦め、そして愛情に満ちていると思います。長い長い積み重ねですよ。其々の国、人々が培ってきたものは、良きにつけ、悪しきにつけ、それなりの意味はあるし、外から来た人間が変えていくのは大変だと思います。でも外から来た人間だからこそ気がつくこと、改善出来ることがあるでしょう。2年間で出来ることは限られているでしょうが、(あと任期も残り少ないと余計でしょうが、)あせらず、すべてを楽しんでください。生意気な事を言いますが、きっとこの2年間は、何物にも代えがたい大切な記憶になると思います。
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Unknown (Cetopa)
2011-10-16 02:04:10
しょうじさん

コメントありがとうございます!
そうですね、私も赴任当初はすべてを変えたいと思っていたんですが、今は随分考えが変わりました。
でも日本人だからこそ感じたことはきっと良くも悪くも刺激になってくれると信じています。
だから伝えることは終わりまで続けて行こうと思っています。
残り2カ月、しょうじさんの言うとおり楽しんで過ごしたいと思います。いつか行って本当によかったと振り返る日のためにも。
励ましの言葉ありがとうございます!
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運動会 (しょうじ)
2011-10-16 21:21:01
今日町内の運動会がありました。小学生短距離走に我先にと手を挙げて参加する子、話も聞かず騒いでいる子、障害物競争にも、二人三脚にも参加せず、友達に「参加しないよね」と呼びかける子、呼びかけられて「うん」と答える子、ただじっと座って見ている子、そして、そのどれかに、遠いむかし属していたおとうさん、おかんさん、私は準備係で、どれにも参加しませんでした。なんかぜんぜん関係ない話でごめんなさい。
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Unknown (Cetopa)
2011-10-17 20:12:48
しょうじさん

私の地元でも昨日町内の運動会だったそうです。いい季節ですね。
日本もウズベクもいろんな人がいてそれでうまく回ってるんだな~って思うときがあります。
一人ひとり愛おしく思えるようなそんな瞬間です。
コメントしてくださった運動会の光景を思い浮かべてまたそんな風に思いました。
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