ゆらゆら荘にて

このごろ読んだ面白い本

マルジナリアでつかまえて

2020-11-10 | 読書日記
NHKの「趣味どきっ・本の道しるべ」で紹介されていた
「マルジナリアでつかまえて」(山本貴光著 2020年7月 本の雑誌社刊)を読みました。




マルジナリア?
語源はマージン(余白)
本の余白に書き込みをすることらしい。
余白に書き込みをしながら読むことの歴史は
けっこう古い。
例としてあげられているのは
モンテーニュ
フェルマー
日本では
夏目漱石
石井桃子

フェルマーが「算術」という本に書き込んだ
「これについて私はまことに驚くべき証明を発見した。
この余白はそれをとらえるには狭過ぎる」は
後の数学者たちに「フェルマー予想」という課題を遺した。

夏目漱石などは
原書の「ジェイン・エア」を読んで
登場人物に怒って
「bad ,bad ,bad ,bad man!」と書き込んでいる。

石井桃子は自分の翻訳した児童書の余白に
びっしりと改稿を書き込んでいる。

研究者や作家はさておき
単なる読者である者が
マルジナリアをする意味は何だろう?

筆者は言う。
「文章とは
読者の脳と記憶に探りを入れて
そこにあるものを意識にのぼらせてしまう
一種のハッキングみたいなものだ」
から
読み手は何かが意識にのぼった瞬間をとらえて
(それは、一生に一度しかない邂逅なので)
「観察記録」を書くのがいいのだ」
これが「攻めの読書だ」

問題は
マルジナリアをした本は古本屋が有難がらない
ということだが
書いた人が有名になれば
「〜が書き込みをした本」
ということで高値がつく(筆者のジョーク)


自分がのめり込んでいることがらを
情報量の少ないであろう読者に
紹介するには
かなり自分を抑えなくてはならないと思うけど
そのあたりの抑え加減がちょうど良くて
さらりと読めました。













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