「惣十郎浮世始末」(木内昇著 2024年6月 中央公論新社 542p)を読みました。
時代ミステリです。
主人公は同心の服部惣十郎。
卓越した推理力とはうらはらに
ものすごい悪筆で
書類仕事が大嫌い。
発端は薬種問屋・興済堂が火事になり
焼け跡から番頭と主人の遺体が見つかったことだった。
どうやら付け火らしい火事
番頭は毒殺されたらしい。
一体誰が?
間に他の事件を差し挟みながら
興済堂事件の捜査は続いていく……
数年前に妻(尊敬する元上司の一人娘)を亡くした惣十郎は
病みついて数日で亡くなった妻の死が
未だに納得できないでいる。
女性の登場人物がいい。
下女のお雅は
小町と言われるほどの美貌だが
子供ができないことで離縁されて
後に奉公に来た。
密かに惣十郎を慕っている。
お雅の作る日々の料理が作品の彩となっている。
惣十郎が密かに想いを寄せているのは
書肆須原屋のおかみ冬羽(とわ)
身なりも構わずに出版事業に集中している。
思ったことを率直に口にする。
母の多津は
惣十郎のものの考え方の根幹をかたち作った人でもある。
後半に認知症を発症し
惣十郎を悩ませる……
木内昇の職人仕事
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