ゆらゆら荘にて

このごろ読んだ面白い本

プチ・プロフェスール

2021-02-08 | 読書日記
本屋大賞の候補作「八月の銀の雪」の作者・伊予原新の
「プチ・プロフェスール」(伊予原新著 2011年9月 角川書店刊)を読みました。
(プチ・プロフェスールは小さな教授という意味です)




主人公は表紙絵の右手の小学生の女の子・理緒
ともう一人は左にいる大学院生の律
律はデンマークのニールス・ボーア研究所に留学することになっているが
寮費の100万円が用意できないでいた。
律には父も母も、もういない。
そんなある日、律に家庭教師の声がかかる。
理緒の両親はフランス出張中なので
家庭教師兼遊び相手として毎日
そして時給は4000円(!)
これなら100万円が用意できる
と律は引き受けることにした。
理緒は、ばあやのトキノさんと2人暮らしなので
憧れの大学院生の律と過ごせることが嬉しくてたまらない。
理緒は大きくなったらリケジョになりたいと思っているのだ。

第1章から第4章までは
2人が遭遇する「日常の謎」を解く短編が4編

将来は地球の地軸を立て直そうと思っている才田少年
律がアルバイトをしている塾の塾長で
元レディースの総長だったビッグママ
人の声に色が感じられる盲目の老婦人
理緒の家の運転手でガラス作家の恵人
などなど
脇役も魅力的な人たちがそろっている
けど
それだけ?
と思ったらそうではない。

理緒が幼いころから好きだった本「不思議の国のトムキンス」
を律も持っていること
律が子どものころ
入院していた病院で出会ったエクル(ベージュ色)さん
が話してくれた「星の王子さま」のキツネの言葉の記憶
(「しんぼうが大事だよ。
最初は僕から少し離れて座るんだ。
僕はそんな君を横目でチラチラ見る。
何日か経つうちに
だんだん近くに座れるようになる……」)
エクルさんが律に付けたニックネームと
(「律ちゃんは、プチ・プロスフェール(教授)だね」)
理緒が律を呼ぶ「教授」の一致
2人の名前の相似性
……

最終章で謎は一気に解ける。

「足長おじさん」ものは
いつ読んでも心地よいです。



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