里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

クズ 耕作放棄地に繫茂

2017-02-26 | 日記
秋の七草の一つであるクズ、山野の至るところで木々や電柱に絡み付いています。
大崎市南東部の丘陵地奥の耕作放棄地では、放棄後に生えた柳を被い尽くし、杉の
高木の半ばまで絡み付き、支柱になった木を枯らしてしまうような勢いです。
暑い盛りを過ぎた、お盆の頃からはたくさんの花房を付け、房の元から先へと順に
咲いていきます。近くで見ると濃い赤紫色の花で、とてもきれいです。

ついでなので「秋の七草」について。
万葉集で山上憶良が詠んだ歌に「秋の野に咲きたる花を指折りかき数ふれば七草
の花。萩の花、尾花、葛花、撫子の花、女郎花また藤袴、朝貌の花」があります。
これらは秋の野に咲く花で、「春の七草」と違って食べることはできません。
ちなみに「尾花」はススキ、 「女郎花」はオミナエシ、「朝貌の花」はキキョウ
と言われています。




                             二枚とも2016.8.21撮影

あんかけ料理などに用いるでんぷん粉を、片栗粉とかくず粉と言いますね。
「くず粉」のくずはこの植物のことで、かつては葛(くず)の根茎を精製してでんぷんを
得た名残です。因みに、今の片栗粉・くず粉の殆どが、ジャガイモから精製した
でんぷんです。本物のくず粉の主産地は奈良県吉野地方で、現在では和漢薬や高級
和菓子の原料として利用されています。
和漢薬では葛根湯が有名で、風邪・頭痛・肩こりなどに効果があると言われています。

県南の城下町白石、かつての名産品を白石三白と言ったようで、その一つがくずですね。
十年くらい前の話でしょうか、市西部の小原地区の有志が「くず粉」精製を復活させた、
と新聞で読んだ記憶がありますが、今も続けられているのでしょうか。


                                 2016.8.21撮影

マメ科クズ属のつる性多年草で、日本全土に分布する。
伐採跡地や耕作放棄地、道路端など至る所に自生し、他物に絡みついて繫茂する。
年数を経たクズの根は四方に這って、主根は木のように硬くなり、直径10cmほど、
長さ2~4mにもなる。、肥大した根からは葛粉がとれる。
若いつるは柔らかく褐色毛が密生し、成長が早く1年に10m以上も伸び、樹木に
絡むと 高さ20mまでも上っていく。つるが地面に触れると発根し子株を生じるため、
非常に繫殖力が旺盛で、近年は雑草を通り越して害草として扱われる。
葉は3小葉で長柄があり、小葉は両面、特に裏面に白毛を密生する。
小葉は広卵形で長さ10~15cm、浅く2~3裂するものが多く、先端は小さく尖る。
花期は8~9月で、葉腋から総状花序を出し、長さ2cmほどの紅紫色の蝶形花を
密に付ける。旗弁は基部付近から外側にほぼ直角に折れて立ち、内面中央付近に
1対の黄色斑が目立つ。萼片は長く、萼筒の2倍ほど。
果実は豆果で褐色の毛が密生、長さ5~8cm、幅は1cmほど、3~8個の種子が入る。
種子は小さく長さ3.5mmほど。


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