里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

ノビネチドリ 耕作放棄田の溝端

2019-06-02 | 日記
栗原市金成普賢堂地区西部、山間の細い農道をゆるやかに上がって行くと、東側に耕作放棄田
が続いていて、その外周に溝が二重に掘られています。たぶん、ぬかるむ放棄田の排水を図り、
牧草地に作り変えるための工事でしょう。

そんな溝端に淡紅色の花が咲いています。歩み寄って確認すると、ノビネチドリの花ですね。
以前、栗原市花山地区の渓谷で観察しましたが、こんな集落近くの溝端に無造作に咲いている
とは驚きです。他にも咲いていないか周囲を丹念に探してみましたが、この株だけでした。




                             二枚とも2019.5.25撮影

低地~亜高山帯の樹林下に生えることが多いようですが、湿り気があれば草地とか林道法面
などにも生えるようです。それと、群生せずに点在する傾向があるとのことなので、この溝端
に1株だけ生えていたのも頷けます。

ノビネチドリを漢字表記すると「延根千鳥」で、これはひも状の根が横に伸びており、花の形
が千鳥の飛ぶ姿に似ていることに由来するようです。


                                 2019.5.25撮影

ラン科テガタチドリ属の多年草で、草丈は30~60cm。北海道~九州に分布する。
低地~亜高山帯の、湿り気のある樹林下や草地などに自生する。
少数の白いひも状の根が横に這い、かつ1本の直下した多肉根がある。
茎は太い円柱形で直立、4~10枚の葉が互生する。
葉身は長楕円形で長さは10cm以下、3脈が目立ち、縁が波打つように縮れている。
下部の葉は幅広で、上部では細くなる。葉の基部は茎を抱く。
花期は5~6月、茎頂の穂状花序に直径1cmほどの淡紅紫色の花を多数付け、下から順に
咲き上がっていく。萼片は3つ、唇弁は倒卵形で先端はごく浅く3裂し、長さ2mmほどの短い
距がある。果実は蒴果。





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