里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

ノダケ あずき色のつぼみ

2019-08-30 | 日記
大郷町西部の石原地区、丘陵地の狭間の農道を上がっていくと、斜面の裾に溝が続いていま
すから、農道の側溝なのかも知れません。その周りが草地になっていて、様々な植物が茂って
います。そこにあずき色の花序を付けた、大形の植物が点々と生えていて、間近で観察すると
まだ花は開いていませんから「つぼみ」とする方が良いでしょう。
花や葉の形からセリ科の植物と思われますが、あずき色の花は見たことがないので、帰宅後
に調べることになります。




                             二枚とも2019.8.25撮影

植物図鑑等で調べると、大形のセリ科植物で花やつぼみがあずき色なのは「ノダケ」しかない
ようです。ただノダケの分布域が「関東以西の本州~九州」となっているのが気掛かりです。
ネットで調べると分布の北限が東北南部、或いは岩手以南となっているものもあるので、ノダケ
と同定しても問題ないでしょう。

ノダケの根には薬効があり、生薬名を前胡(ぜんこ)と呼び、発汗・解熱・鎮咳・去痰に効果が
あるとされます。秋に地上部の枯れた頃に根を掘り上げ、乾燥させて用います。
薬効成分はフロクマリンのノダケニンやデクルシン、精油成分のエストラゴール、リモネンなど。


                                 2019.8.25撮影

セリ科シシウド属の多年草で、岩手以南の本州〜九州に分布し、草丈は80 〜150cm。
林縁や湿った草地、小川の畔や耕作地周辺等に自生し、日向~半日陰を好む。
根は太く束状。茎は直立し、暗紫色をおび、少数の枝を分ける。全草に独特の香気がある。
葉は互生、3出羽状複葉で、小葉は3~5個。小葉や裂片は長楕円形~長卵形で、葉質は
厚くてかたい。中央脈に沿って翼があり、縁に鋭い鋸歯がある。
下部の葉には長い葉柄があり、基部は幅広い鞘となって茎を抱く。
花期は9〜11月、枝先に直径4~10cmの複散形花序を付ける。総苞片は1個で、花序がつぼみ
の時は球形にふくらんで花序を包む。花弁は小さく暗紫色まれに白色、長くのびた雄蕊がよく
目立つ。雄性先熟。
果実は平たい広楕円形で長さ4〜6mm、分果の背隆条は脈状、側隆条は広い翼状となる。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿