「いやあやっぱり家族でお風呂はいーですねぇ」
「ミルーンさんに頼んで貸し切りにしてもらってよかったですわね、センセ」
「そうそう、家族水入らず! これが温泉の醍醐味ですよ!」
「……おい」
「うふふ、サギリちゃんに背中を流してもらえるなんて嬉しいわあ」
「背中を流しっこ、なんて素敵なシチュエーションですよねえ」
「……あのな」
「さーシグレ君の背中も流しますよー」
「いいかげんにしろこのバカオヤジ!」
とうとう、シグレは怒鳴った。
怒鳴られて、シグレの背後にいたオボロと、先頭に座っていたフヨウが振り返って目を丸くする。
「どうしたんですか? シグレ君」
「……どうしたもこうしたもないだろうが。なんで、二十歳もすぎた俺が家族貸し切り風呂で四人一列になって背中の流しあいをしなきゃならないんだっ」
「ちょっとしたスキンシップじゃないですか?」
「ちょっとしたじゃないだろう!」
シグレは、ぼさぼさの前髪に手をつっこむと、眉間をぐりぐりともみほぐした。
戦争中のはずなのに、なんだかんだいってのんきなチェブラーシカ城。その名物の一つのひとつである露天風呂は、湯の質がよく水量も豊富で人気が高い。
そんな住民の憩いの場を家族風呂として貸し切りにしてもらったとオボロが言い出したのが話のはじめだった。
大喜びのフヨウと、いつも通り微笑んでいるサギリと、嫌がるシグレを引きずって風呂に行き、湯船につかったまではよかった。
いやそれもよくはないのだが、前に一度やらされたことだ。シグレにだって免疫は一応、できている。これも家族サービス、と不満をフヨウやサギリの笑顔で抑え込んだ。
しかし、湯船につかってしばらくしてからオボロがとんでもないことを言い出し事態は一変した。
「そうだ、背中の流しっこなんてやりませんか?」
探偵事務所において、オボロの発言権は絶大だ。
しかもフヨウまで賛成したのではシグレに勝ち目はない。
かくして、シグレ達はタオル一つ巻いた状態で、洗い場に四人一直線に並ぶこととなった。
よりによって、フヨウ、サギリ、シグレ、オボロの順番で。
「~~~~~~……っ、勘弁してくれよ」
シグレは目の前にあるサギリの背中を見てうなる。
フヨウの背中を流すのはいい。母をねぎらうようなものだ。
オボロの背中を流すのだって平気だ。むしろ全力で力を込めて血が出るまで垢擦りをやってやる。
だが、サギリだけはそうはいかない。
サギリだけは。
「……俺が触っていーのか? ……サギリは」
「……? 別に、いいけど」
苦し紛れにきいてみたら、即答で許可された。
嫌がられるのも傷つくが、即答で許可されるのも、自分は兄であると確認された気分にされて傷つく。
(そんなこと言うんだったら本当に触るぞ)
む、と口をへの字に曲げてシグレは石けんとタオルと握り直した。
改めて目を向けると無防備なサギリの背そこにある。
頭に巻いたタオルからこぼれた後れ毛がわずかに絡まるほっそりとしたうなじ。
クナイを投げる割に華奢で柔らかな肩。
眩しいくらいに白くきめ細やかな背。
タオルにくるまれていてもわかる、腰のくびれとまろいヒップライン。
(………………う)
犯罪的な光景に、シグレは手を止めた。
この背に手が触れられるわけがない。
「シグレ君? どうしたんですかー?」
人の気も知らずに、オボロがとん、とシグレの背中を叩いた。
背中を押されて、前のめりになった瞬間、タオルを持っていたシグレの手がサギリの背に触れる。
(う……わ…………っ)
計らずして手で感じてしまったサギリの肌はしっとりとしていてあたたかく、まるで手に吸い付くようだ。
「シグレ?」
タオルを背にあてたままフリーズしてしまったシグレにサギリが振り向いた。
(……ば、か……っ)
シグレは、心の中で悲鳴をあげた。
サギリは今、タオル一枚巻いただけの格好だ。
そんな姿で振り向かれようものなら。
(やめ……)
くっきりとした胸の谷間がばっちり目にとびこんできた瞬間、シグレの理性は限界に達した。
「いーかげんにしてくれっ!!!」
風呂中どころか城中に響き渡るほどの大声で怒鳴ると、シグレは風呂場から脱衣所へと逃亡した。
そのとき、シグレの走り方が若干前屈みだったのは致し方ないことと言えよう。
「家族ですから」
ってことで家族風呂♪
そして背中の流しあいをさせられてまたキレているシグレちゃんです。
いやあねたにしやすいわ、シグレちゃん♪
おもわずSSSつけちゃったじゃん。
つうかかわいそうすぎな気もします。
個人的にあのお風呂イベントはかなりお気に入りなので、ねたにしやすくて楽しかったです。
がんばれシグレちゃん♪
「ミルーンさんに頼んで貸し切りにしてもらってよかったですわね、センセ」
「そうそう、家族水入らず! これが温泉の醍醐味ですよ!」
「……おい」
「うふふ、サギリちゃんに背中を流してもらえるなんて嬉しいわあ」
「背中を流しっこ、なんて素敵なシチュエーションですよねえ」
「……あのな」
「さーシグレ君の背中も流しますよー」
「いいかげんにしろこのバカオヤジ!」
とうとう、シグレは怒鳴った。
怒鳴られて、シグレの背後にいたオボロと、先頭に座っていたフヨウが振り返って目を丸くする。
「どうしたんですか? シグレ君」
「……どうしたもこうしたもないだろうが。なんで、二十歳もすぎた俺が家族貸し切り風呂で四人一列になって背中の流しあいをしなきゃならないんだっ」
「ちょっとしたスキンシップじゃないですか?」
「ちょっとしたじゃないだろう!」
シグレは、ぼさぼさの前髪に手をつっこむと、眉間をぐりぐりともみほぐした。
戦争中のはずなのに、なんだかんだいってのんきなチェブラーシカ城。その名物の一つのひとつである露天風呂は、湯の質がよく水量も豊富で人気が高い。
そんな住民の憩いの場を家族風呂として貸し切りにしてもらったとオボロが言い出したのが話のはじめだった。
大喜びのフヨウと、いつも通り微笑んでいるサギリと、嫌がるシグレを引きずって風呂に行き、湯船につかったまではよかった。
いやそれもよくはないのだが、前に一度やらされたことだ。シグレにだって免疫は一応、できている。これも家族サービス、と不満をフヨウやサギリの笑顔で抑え込んだ。
しかし、湯船につかってしばらくしてからオボロがとんでもないことを言い出し事態は一変した。
「そうだ、背中の流しっこなんてやりませんか?」
探偵事務所において、オボロの発言権は絶大だ。
しかもフヨウまで賛成したのではシグレに勝ち目はない。
かくして、シグレ達はタオル一つ巻いた状態で、洗い場に四人一直線に並ぶこととなった。
よりによって、フヨウ、サギリ、シグレ、オボロの順番で。
「~~~~~~……っ、勘弁してくれよ」
シグレは目の前にあるサギリの背中を見てうなる。
フヨウの背中を流すのはいい。母をねぎらうようなものだ。
オボロの背中を流すのだって平気だ。むしろ全力で力を込めて血が出るまで垢擦りをやってやる。
だが、サギリだけはそうはいかない。
サギリだけは。
「……俺が触っていーのか? ……サギリは」
「……? 別に、いいけど」
苦し紛れにきいてみたら、即答で許可された。
嫌がられるのも傷つくが、即答で許可されるのも、自分は兄であると確認された気分にされて傷つく。
(そんなこと言うんだったら本当に触るぞ)
む、と口をへの字に曲げてシグレは石けんとタオルと握り直した。
改めて目を向けると無防備なサギリの背そこにある。
頭に巻いたタオルからこぼれた後れ毛がわずかに絡まるほっそりとしたうなじ。
クナイを投げる割に華奢で柔らかな肩。
眩しいくらいに白くきめ細やかな背。
タオルにくるまれていてもわかる、腰のくびれとまろいヒップライン。
(………………う)
犯罪的な光景に、シグレは手を止めた。
この背に手が触れられるわけがない。
「シグレ君? どうしたんですかー?」
人の気も知らずに、オボロがとん、とシグレの背中を叩いた。
背中を押されて、前のめりになった瞬間、タオルを持っていたシグレの手がサギリの背に触れる。
(う……わ…………っ)
計らずして手で感じてしまったサギリの肌はしっとりとしていてあたたかく、まるで手に吸い付くようだ。
「シグレ?」
タオルを背にあてたままフリーズしてしまったシグレにサギリが振り向いた。
(……ば、か……っ)
シグレは、心の中で悲鳴をあげた。
サギリは今、タオル一枚巻いただけの格好だ。
そんな姿で振り向かれようものなら。
(やめ……)
くっきりとした胸の谷間がばっちり目にとびこんできた瞬間、シグレの理性は限界に達した。
「いーかげんにしてくれっ!!!」
風呂中どころか城中に響き渡るほどの大声で怒鳴ると、シグレは風呂場から脱衣所へと逃亡した。
そのとき、シグレの走り方が若干前屈みだったのは致し方ないことと言えよう。
「家族ですから」
ってことで家族風呂♪
そして背中の流しあいをさせられてまたキレているシグレちゃんです。
いやあねたにしやすいわ、シグレちゃん♪
おもわずSSSつけちゃったじゃん。
つうかかわいそうすぎな気もします。
個人的にあのお風呂イベントはかなりお気に入りなので、ねたにしやすくて楽しかったです。
がんばれシグレちゃん♪
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