St.MARYマスターズ通信

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講話録(その3)

2007-01-13 23:34:04 | 必読記事
中高年指導ひとすじ③・・・・平沢文雄

 幸福な一般的な条件は、3つあるといわれております。一つは、健康です。もう一つは、お金です。経済的なある程度のゆとり。それから3番目は趣味です。夢中になれる趣味を持つということです。技術が高まれば夢中になれます。ただ滑るだけでは夢中にはなれません。パチンコだって出るときは毎日行きたくなるらしいじやないですか。反対に出なくなったら嫌になっちやう。ですからスキーはするだけでは駄目なのです。上手になるという思いがあると、そこに希望と自信が湧きます。このことで生きる張り合いとパワーが生まれます。その意味では、その核となる健康もそうですが、私は夢中になれる趣味を持っことだと思います。趣味には文科系と体育系があります。出来れば文科系の趣味、体育系の趣味、両方を持った方がいいと思います。いずれ体力が段々減退してときに絵を描いたり短歌を詠んだり、書道、読書、映画、音楽、スポーツ鑑賞それぞれ文科系の趣味を必ず一つ持った方がいいのです。それだけですと立って歩けなくなりますから体育系の趣味を必ず持つ。夢中になれる趣味、それは皆さんスキーがあるのですからスキーが一番です。ほかのスポーツは殆んどトーナメントスポーツが多いのです。要するに競い合うのです。スキーはそうではありません。自分が競う対象であって、相手と競い合う訳ではないから、その意味ではスキーが一番老人の趣味としては最高だと思っております。第一重力ですから最後は立って歩いて自分の足で移動しなければなりませんのでそれは抗重力筋といって立って重力に対する筋力ですよね。下手であればあるほどスキーは重力筋が養成されるのです。スキーは重力に逆らうスポーツですから立って歩く、いわゆる抗重力筋が育づスポーツです。いろいろな要素がありますけれども今日は細かなことは省きますがそのように素晴らしいスキーを皆様趣味にお持ちですから、今日を境にしてもう一度夢中になって欲しいのです。もう会社に遠慮することはないですし、家族も別に当てにしない。お金の問題だけです。お金を使わず上手になることをおやりになればよろしいのです。

 自分が同世代とともにその時代を生きるということは、例えば40歳になったとき下は大体30歳から上が55歳。今60歳だとしたら下の階層が50歳で上が70歳。ここが大体対象です。自分の年齢が上がるとそのグループの対象をそのグループ年代に絞ってゆく。大変失礼で気に障る方もおいでかもわかりませんが、クラブに所属していますと意外と年を取ると若い人と一緒に行きたくなるのです。これが悪いのです。実は若い人には迷惑なのです。出来れば若い人は若い人同士の方がいいのです。年を取った人は若い人と一緒に居ると自分も若い気でいられるような気になるんです。それは嘘ですよ。それがいけないと私は思っています。ですからある世代で区切って若い人に任せてその人達がやる。そうすると下のグループはまたその人達がやればいいんです、と私は思っています。私が70歳だと上は85歳くらいの方も対象になります。なぜかといいますと自分が育ってきたときの世相があります。スキー技術の指導は勿論滑りを見せることも大切ですが、言葉に介して相手に伝えますよね。例えば、地下水を汲み上げるポンプがありましたよね。浦佐時代の事ですが手こぎポンプで水を汲み上げる要領で上下動のリズムを説明すると、同世代の方であれば伝わります。しかし今の若い人には分からない「は-あ、なんですか」ということでしょう。また歌にしてもリズムにしても、そのときに流行った歌があります、それは若い人には全くわからない。その世代に育った方には理解されるのです。つまり同世代の人たちであれば言葉のイメージを共有出来ますが、世代が違うと通じません。指導は言葉で説明して相手にイメージを与えて滑ってもらう訳ですから同世代の方がよろしいかと思います。

 私がデモに出た頃はジャンプ系の技術、ジャンプ・クリスチャニアと昔いいました。今ではジャンプ・ターンという言葉もなくなりましたよね。今はなんていうのですか、ストレッチング・ターンとかいうのでしょうか。そのような時代だったのです。ジャンプ・ターン技術は1954年から1964年くらいまで続いたのです。ウェーデルンでもジャンプしたのです。つまり立ち上がり抜重です。それから40歳の頃は1974年ピボット系抱え込みり出しの全盛時代です。北海道では藤本進と浦佐では関健太郎、あるいは山口正広とか芳男とか、その方々が活躍した抱え込み送り出し時代です。私が50歳になった1980年はステップ系でステンマルクが86勝した踏み換え技術、この技術は長く続きました。60歳になった1994年はステップ系とベンデンク系とストレッチング系を3つ、いわゆる状況対応技術というのがそのときの一つの目標の技術でした。ですからその世代の方々はそのことを知っています。ですから説明するときに、「それはジャンプ系だよ」「ジャンプ・ターンだよ」といえば分かりますが、今の若い人から習うとしますと「それは違う」といわれるだけです。それがどう違うかというところまではわからないです。若い人には経験がないからです。ですから若い人に習っても上達しません。レッスンでも体力がつづきません。また技術用語等自分の身体の中にある知識と違いまして、もうプログラムされた記憶が入っているのです。ご存知のように記憶にはエピソード記憶と手続き記憶があって、電話番号とかはエピソード記憶、身体で覚えるのは手続き記憶で何回も何回の繰り返し行って覚えるもので、頭でわかっても出来ないのです。でも私ならその世代で一緒ですから、それはピボットターンでは駄目なのだよ」「交互だよ」と言えるのです。そうすれば説得力があり分かってもらえるのです。そのようなことが大事かと思います。

 先程、団塊の世代で手を挙げてもらいました昭和22年~24年生まれの2007年問題があります。3年間に生まれた人は平成19年には679万人が定年になるそうです。全部合わせると1902万人の定年が出て人口の9%になるそうです。ここが私は勝負だと思っています。今その世代の人達を取り込んでもう一度リーダーシップを取っていただきたい。その人達は決して新しい滑りをしていません。古い時代を滑ってきた人達です。その人達を引っ張って指導していただきたいと思っています。繰り返しになりますが、スキーにしても水泳にしてもアウトドアースポーツでは技術がなければ泳ぐことも、技術がなければ滑って止めることも出来ません。楽しいという言葉は大変心地よい言葉ですけれども、技術の習得が楽しさを広げるのです。楽しさだけが全面にでてしまい、最も基礎的な技が抜けてしまいそれが大きな問題だと思います。やはり上達することによって、楽しさは広がる。私自身毎年ビデオ撮影をしていますが、去年より今年の方が上手くなっています。来年はもっと上手くなると思います。間違いないです。ですから楽しいのです。今までは湿雪の深い悪雪の新雪は滑れなかったのですが、これだったら滑れるという技術があるのです。長い経験の中で技は合理的になったのです。そういうものを身に付けてゆけば、皆さんは何時までたっても青春でしょう。だって一生懸命やっているのですから。

つづく

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