St.MARYマスターズ通信

シニアのための、シニアによる、シニアのスキークラブ、宮城のスキー仲間集まれ!
(コメントは拒否設定H20.2~)

講話録(その1)

2007-01-13 23:26:18 | 必読記事
中高年指導ひとすじ①・・・・平沢文雄

「無理せず」「頑張らず」「競い合わず」
「中高年のためのスキー術」がテーマだからといって“特別な滑り方”がある訳ではありません。年々スキーの滑り方は進化してきています。私達の一番運動能力が高いのが、17歳といわれています。それからどんどん運動能力が落ちてゆきます。運動能力が落ちるということは、体力が減退するということです。それを補うには新しい用具の性能を利用し、それに合った合理的な滑りをすることで伸ばすことが出来ます。自分で言うのも大変おこがましいのですが、自分の昔の滑りと較べますと今の方が上手いのです。皆さんにレジュメを出した意図は「技術を進歩させる」ということを忘れたら、楽しいだけではスキーは続かないよ(ということを言いたいんです。後程読んでいただければ幸いです。今回、先輩に向かって大変失礼なことを申しあげるかも分かりませんが、私は楽しいスキーとか、楽しくなきやスキーは駄目だ、と言われた時分からスキーは低迷したと思っています。楽しさが先に来てしまいました。そうではなくて、技術がなければ楽しめないのです。技術があれば楽しみが広がるのです。技術を忘れた楽しみは、丁度糖衣錠みたいなもので、ビールで言えば気が抜けたようなライトビールのようなものです。ですから幾つになっても自分の体力の衰えを、技術でカバーすることが大事なのです。アウトドアースポーツの中で、体力よりも技術が凌駕する、つまり技が他は全て体力とともに残念ながら落ちてゆく。ゴルフを例にとれば飛距離は落ちてゆく。スキーはそうではありません。今日はこういう題をいただいたのですが、実は「中高年ひとすじ」ではないのです。「スキーひとすじ」なのです。年を取ったからといって「もういいや」と言って諦めてはいけない。そういうことを申しあげたくて参った次第です。

 今日のテーマ「中高年指導ひとすじ」先程申しあげましたように「スキー技術指導ひとすじ」の人生です。趣味が高じてスキーに関する研究が今の仕事になっています。「NHKの中高年のためのスキー術」という放映がございました。1996年11月から1997年1月まで放送されました。それが翌年また再放送されましたので、その時から「中高年の平沢」という名前が付いてしまいました。そういうことで中高年ということになりましたけれども、決して今日のような「超高齢化社会」を見越す先見性があった訳ではありません。「先取りしてたいしたものだ」という、そうではないのです。ただ単純に私が年を取り中高年の方々を指導しているだけなのです。 ご存知のように、2004年の日本人の平均寿命は女性が85.59歳、男性が,78.64歳です。前期高齢者は65歳以上から74歳まで、後期高齢者は75歳以上となっていますけれども、恐れ入りますが皆様の中で前期高齢者の方、手を挙げていただけますでしょうか。この人達は私と同世代の方々です。それから後期高齢者の方、75歳以上の方はどうでしょうか「おおー大先輩」。いわゆる団塊の世代昭和22年~24年に生まれた方はどれ位いますか。「はい」、それに属さない若い方は「だいたい平均しておられますね。でもやっぱり前期高齢者といいますか、65歳から75歳までの方が一番多いようです。私と同じ世代です。一般的には高齢者というとイメージが悪いので、シニアとか中高年とか熟年とかサードエージとかセカンドエージとか隠しておりますが、結局は高齢者なんです。私が中高年といったのは、平均寿命を80年としてそのマラソンの折り返し地点が40歳です。41歳から60歳までを中年、61歳から高年、あわせて中高年という。この区分けも平均寿命が上がれば、私の中高年の区分けの基準が変わるかもしれません。 

 中高年のスキー指導では、何を一番注意しなければならないかといいますと、まず「体力差」若者と体力が違うということです。つまり体力がそんなに高くないということです。それが一つ。それから、社会体験が豊富ですので知織、教養が非常に高いということです。これが大変なのです。「人のふり見て我がふり直せ」という言葉がありますが、私は「自分のふり見て他人のふりを見る」。中高年者を指導の場合にはいろいろ大変なことがあるのですが、年を取りますと体力が落ちるだけではなく性格も変わるのです。つまり本性が出てくるのです。東京国際大学の詫摩武俊教授の著書「これからの老い」の中で、老人の性格時「好ましい性格の方向」と「好ましくない性格の方向」があるのだそうです。「好ましい性格は、大変物分りが良くなり、淡白になり、温和になり、寛大になるということが好ましい方向に変わった老人だそうです。でも概してそうではない方が圧倒的に多いそうです。まず保守的、頑固、猜疑心が強い、柔軟性の欠如、愚痴っぽい、嫉妬深い、我がまま、短気その上拗ねる、僻む、怨む。体力は自分でも分かりますが、このことを配慮しないで指導したらとんでもないことになります。怨まれる訳です。「あの先生はちっとも褒めてくれない。あの人には褒めたけれども、私には駄目だ、駄目だ、違うと言うだけ」「あの人は先生とばかりリフトに乗っている、私は一回だけ」こういうことは、長く忘れないで覚えているものです。三日間くらいの講習会でも「三日間くらいだから相部屋でもいいじやないか」といっても「先がないのだから嫌いな奴と一緒に居られない」「煙草は吸わない、酒も飲まない、鼾がうるさい、時間が合わない」本音なのです。こういう事が中高年の指導で配慮する一番大切なことです。21年間指導しての実感です。褒め方だって大変なのですよ。こつそり褒めたって駄目なのです。黙っていてくれればいいのですが後で「先生に褒められたわ」とすぐ言ってしまう。「貴女だけだ」と言っているのに。リフトに乗るときも確実に順番を決めて必ずローティションをすることです。平均に乗せてやる。ケガをするというより、精神的な環境つくりの方が大事なのです。人はそれぞれ性格が違いますし、まして生い立ちから変わってきますので、全部が同じではないのです.出来れば若い子供達の方がいいなと思うことがあります。いいところを見つけて褒めてあげたいけれど、それがないのです。青年期、壮年期につくられた性格が徐々に変化するのだそうです。詫摩教授によりますと、好ましい方向への変化は、短気から円満になる。内気から外交的になることは好ましいのだそうです。好ましくない方向への変化は、几帳面が頑固になり、倹約がけちんぼうになり、のんきが鈍感になり、そういうことに変わるそうですので、ゆめゆめ中高年の指導は技術もありますが、そちらの方をどうやって、おもてなしの心で上手くその場を凌ぐかが大事だと思っております。

つづく


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