(産経新聞) 福島原発 炉心の冷却期待
東日本大震災で被災した東京電力福島第1原子力発電所の事故で、経済産業省原子力安全・
保安院は19日、原発の機器を動かすため進めていた外部からの電力供給の復旧について
1、2号機は同日中に電気が届く見通しとなったことを明らかにした。 外部電源の回復で
冷却機能を取り戻すことが期待されるが、まとまった系統で炉心を安定的に冷やせるように
なるには、時間がかかりそうだという。 一方、3号機への地上からの放水は、東京消防庁が
同日午後に2回目を行う予定。
外部電源の確保により、過熱が懸念される使用済み核燃料貯蔵プールに水を送るためのポンプの
ほか、原子炉のホウ酸水注入や制御棒の駆動などにかかわる装置を動かして燃料が入った炉心に
水を入れることが可能になり、冷却ペースを速めることにつながる。
保安院は、5、6号機も19日中に、3、4号機は20日をめどに作業を完了させたいとして
いる。 ただ、電源が確保できても、ポンプなどの設備自体が故障している可能性もある。
また、6号機では19日早朝、3台ある非常用発電機のうち1台が復旧。もともと1台が無事
だったため2台態勢になった。 電力を共有している5号機とともに、貯蔵プールの水を循環
させて燃料を冷ましたり、水を補給したりできるようになった。 18日までに5、6号機の
プールは水温が70度近くまで上がり、水位低下が懸念されたが、その恐れはほぼなくなった。
一方、東京消防庁のハイパーレスキュー隊による再放水は、当初は19日正午から実施する
予定だったが、東電の電源復旧作業を優先させるため、開始時間を遅らせた。 再放水では給水に
かかる時間も合わせ、連続7時間を予定。開始後に隊員が車両から離れ、無人で行うという。
保安院は、同日未明の地上放水の前後で、第1原発周辺の放射線量が一時低下したが、その後
一進一退を繰り返していることを明らかにした。 また、防衛省は同日早朝、今後の対策の判断
材料にするため、上空から赤外線を利用して、1~4号機の原子炉や貯蔵プールの温度を測定した。