勧誘

久しぶりに会った友人からご飯のお誘いがあったので、仕事終わりにガストへ行きました。

なぜかその友人の友人の後輩という男の人が同席してましたけど。

今の仕事だとか、今までは何をしてたとか、懐かしい人に会ったら誰でもするであろう話をしてました。

そしたら彼らはおもむろに『夢をかなえる人の共通点』とか『不思議な話』を始めて、知り合いからナンミョー何とかって言うのを朝晩毎回15分唱えるってのを3ヶ月したらいい事があるって聞いてすっげー馬鹿にしてたって話を始めました。

始めは客観的な感じで、うそ臭いって自分でも言ってたからまだどっぷりな人じゃないのかなって思ってたんですけど、話を聞いてるうちに『先生』とか『絶対』とか『○○って方』なんて言い出してこれはもう本格的だなって思いました。
同席していた後輩は囲みをかけるためのものだとその時に気付きました。

人の趣味を聞いてあげてるような気持ちで流してたんですけど、やっぱりそうは行かないですよね。

近くにご本尊があるから見に行こうとか言い出しました。

そこでナンミョーなんたらを教えるからとか言い出して。


いや。

素でいらん。


さすがに困ったなぁと思って、いい加減口を開くことにしました。

一応ね、宗教ってそんな悪いものじゃないと思うんですよ。

そういうもので救われる人は少なからずいるわけだし、他人に危害を加えるようなこととか過激な勧誘をしないならいいものだと思うんです。

ただ、勧誘されたからってしたり顔で揚げ足を取るように攻め立てて自分をかっこいいと思ってる人間も品がないなって思うから、とりあえず誰かを傷つけたりしない限りは否定するつもりはありません。

そういう考えはすごいと思うけど私には他人事にしか思えないんで遠慮しますとはっきり言いました。

そしたら言うんですよ。

『でも、』

何を言っても『でも、』なんですよ。

世界的不況も豚インフルエンザも日蓮なんとか様のバチなんだ。

日本は全員この宗教をやらないと『絶対』ダメなんだ。

尊敬する『先生』が言うんだから。

人は地獄に落ちるから死んだ後腐っていくんであって、浄土うんたらに行くと白く透き通っていくらしくて、僕は見たことないけど『先生』の『先生』は見たことがある。

入信すれば幸せが絶対訪れる。誰にでも『絶対』悩みがある。あなたにも『絶対』悩みがあって、『絶対』救いを求めてる部分がある。
だから『絶対』今日、入信しましょう。

やたらと同じ言葉が多いんですよね。しかもものすごい自信満々で。

宗教全体は分かりませんけど、少なくとも目の前にいる二人には悪意はなくて、むしろ相手も幸せになってほしいって本気で思ってるからどんなに私がそっちに揺らがなくても怒ったりしません。

完全にこれこそが正しい意味での確信犯だなって思いました。

これは冗談抜きでちょっと気の弱い人とか主体性の欠ける人は本当に拒めないかもしれないです。

こういう説法から開放されたくて適当に合わせたりすると大変なことになります。

ご本尊を保管している場所なんて相手の本拠地ですからね。数で押されたら敵いませんよ。

こういう人たちは否定すればするほどムキになってきますから流しつつ興味がないことを主張し続けるしかないですね。

私は別段ひどい悩みは持ってないし、悩みがあっても自分で考えて自分で解決していくし、苦しいことも経験しないと成長しないから誰かに頼るのは性に合わないと言いましたけどもやっぱり『でも』ですよ。

自身の意志なんてものは彼らには伝わりません。

宗教って言うのは本当に真面目な人が入るんだなって思いました。

だって、彼らの入信のきっかけが毎日朝晩15分のナンミョーなんたらですよ？私みたいな不真面目な人間が半信半疑でそんなもん続くわけがないですよ。

それに話し方も絶妙なんですよ。

人に話を聞いてもらうのって口調やアクセントがすごく重要で、同じ話でも話す人によって面白く感じたりすることは結構身近でも多いです。

そういうネタさえ分かってれば考えて喋ってんだなって思うだけだけど、気付かなければ『話が面白かった』って思うかもしれません。

『ラーメン好きで毎日ラーメンばっかり食べてたら体に悪いじゃないですか。でも体を壊したときにラーメンが原因だって分からなければずっと同じことの繰り返しです。これは気付かないやつは馬鹿だって思うような話ですけど、僕らにとってはみんなの考えがそういうことなんですよ。それは損だと思うんです。それを教えてくれるのが○○会(団体名)なんです。』

文章にすると何てことないんですけど、実際にそういう口調でそういう風に話されたらなんとなく納得してしまうと思います。

私としてはそういう宗教って言うのは、本当はラーメン食べ食べタバコ吸って酒飲んでたから悪くなったのに酒とタバコの存在を隠してラーメンのせいにしているようなもんだと思うからさっぱり興味はなかったですけど。

損を損だと思わなければそんなに悲観的になるほど人生はつまらないものでもないと思うんですけどね。

それから１時間くらいずっと本尊を見に行きましょうって言われたんですけど、断り続けました。

怖いのは分かりますけど『絶対』良い結果になりますからって言われました。

そんなんすぐに立って逃げれば良いじゃんって思うかも知れませんけど、男性二人が通路側に座ってて、一人は身長１９４センチですよ？

逃げて恨まれるのはごめんです。

解放されたのは夜の１１時半。

たぶんまた連絡が来るんだろうなぁ。