森の詞

元ゲームシナリオライター篠森京夜の小説、企画書、制作日記、コラム等

想像力と創造力①

2007年11月25日 | 小説を書く、ということ

 想像力と創造力。
 双方とも、もの作りには欠かせない力です。
 このような書き方をされると、多くの方は次の二つを思い浮かべるのではないでしょうか。

 こんなものを作ろう、と想像する力。
 そして、想像したものを現実に創造する力。

 今回お話しする二つの力は、上記のものとは少し意味が異なります。
 ストーリーを構築するにあたって、必要不可欠な要素を【創造】する力と、それに付随する要素を【想像】する力のことです。

 一番簡単なストーリーの構築方法とは何でしょうか。
 それは勿論、実体験をそのままストーリーにすることです。
 なにしろ事実をそのまま書けばいいのですから、創造力も想像力も必要ありません。必要なのは観察力と記憶力です。
 それでは、架空のストーリーを構築するにはどうすればいいでしょうか。まずは必要不可欠な要素、5W1H1Dを【創造】し、続いてこれらの要素に当然付随する要素を【想像】することになります。
 例えば、次のようなあらすじを考えたとします。

①高校を卒業して十年
②同窓会の席で
③医者として成功した**が
④元恋人に復讐を果たすため
⑤元恋人の★★を
⑥毒を盛って
⑦殺害した

 実際にはこのような適当なあらすじを物語本体の骨格にすることはないでしょうし、せいぜい推理小説における殺人事件の概要として扱う程度かと思いますが、あくまで例えということでご容赦いただければと思います。
 さて、上の要素はすべて【創造】の産物です。これを物語として機能させるためには【想像】が必要になります。具体的には、

①高校を卒業して十年
→高校はどのようなところか、登場人物の年齢、背格好、価値観

②同窓会の席で
→誰が主催したのか、その店はどのようなところか(**が毒を盛れる条件が整うか否か)

③医者として成功した**が
→①から考えれば28歳程度だが、そうすると余程のエリートか、それとも親の七光か

④元恋人に復讐を果たすため
→復讐の動機は何か、いつ頃その動機は成立したのか、何故同窓会まで復讐心が失われなかったのか

⑤元恋人の★★を
→どのような人物か、「元」ということは何故別れたのか

⑥毒を盛って
→どのような毒か、入手経路は、毒を盛れる状況とは、アリバイ工作の有無とその理由

⑦殺害した
→同窓会で死者が出た元クラスメイト達の反応は、同窓会を開いた店は今後どのような状況に陥るか、警察はどのタイミングで動き出すか

 とまあ、どんなに少なく見積もってもこのくらいは想像することが出てくるだろうと思います。

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 この記事は明日に続きます。
 よろしければ皆様には、上のあらすじを【想像】によって肉付けしてみていただきたいと思います。


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