PRINCOの今日のパチパチ
Sidosso Princoちゃんの思わず拍手パチパチ記録
 



昨日は『空気人形』を観ました。パチパチ!
前評判通り、これはよかった!かなりきてます。是枝裕和監督のって『誰も知らない』でもそうだったように、あの下町風景がなんともいい。ペ・ドゥナってもう30なのね。なんなのあのスタイルの良さは。もうじき終わってしまうので観てない方はお早めに!




以下、ネタばれあり






予告編を観て、かなわぬ恋物語、程度のイメージしか持ってませんでした。確かに前半はタルイ時間もあったし、ああ、僕りんはノーマルだ、なんて確認したりしてたのですが、空気人形がポンプを捨てるあたりからが最高!「私、歳をとるのよ」と言ってから(彼と限りある命を過ごすと決心してから)、これまでの灰色の景色が全て輝いて見える!
これまで空気しか入っていなかった身体に愛する人の息が吹き込まれていく、、、、、愛する人にも自分の息を入れたい、しかし叶わない(ここから後のシーンは超ショッキング。さすがR15^^;)。

悲しいけど希望を載せて世界へ散ってゆくあの圧巻のラストシーンはティム・バートンの『コープス・ブライド』より良かったなー。隣にカップルがいたけど、ついうるっときました。
「空気」が自らの心を持って「息」になるんだなあ、なんて帰りの電車でしみじみ思いました。

吉野弘の詞が非常に深い意味を持って作中で使われます。高かったけどパンフ買ってよかった。詞が全文載ってた!






『生命は』

    吉野 弘


生命は
自分自身で完結できないように
つくられているらしい
花も
めしべとおしべが揃っているだけでは
不充分で
虫や風が訪れて
めしべとおしべを仲立ちする

生命はすべて
そのなかに欠如を抱き
それを他者から満たしてもらうのだ

世界は多分
他者の総和
しかし
互いに
欠如を満たすなどとは
知りもせず
知らされもせず
ばらまかれている者同士
無関心でいられる間柄
ときに
うとましく思えることさも許されている間柄
そのように
世界がゆるやかに構成されているのは
なぜ?

花が咲いている
すぐ近くまで
虻の姿をした他者が
光りをまとって飛んできている

私も あるとき
誰かのための虻だったろう

あなたも あるとき
私のための風だったかもしれない


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