池田氏の逝去後、週刊文春では池田氏と創価学会に関する特集を組みましたが、d-マガジンでは、そういう目玉の記事は載せないようです。
しょうがないのでコンビニで立ち読みしました。
そして興味深い内容を含んでいたため、購入しました。
池田氏と創価学会のあゆみが、良くまとまっているので、記録に残したいと思います。
週刊文春 11月30日号
特集:池田大作創価学会名誉会長“怪物”の正体
どうなる創価学会
東大闘エリート vs 創価大叩き上げ
骨肉の内部抗争が始まった!
「鉄桶(てっとう)の団結を一段と強め日々前進してまいりたい
11月18日、「広宣流布大誓堂」にて池田大作名誉会長(享年95)の死去を伝える席上、創価学会の原田稔第六代会長(82)は濃紺のネクタイに決意を滲ませた。だが、池田氏というカリスマを失った今、その「団結」には綻びの気配が漂っている――。
現在、学会を率いる執行部は、「集団指導体制」と言われる。その中心である原田氏は、池田氏逝去の発表の場で、
「広宣流布の松明のバトンを受けた私どもは悲しみを乗り越え、『月々日々』の新たな歩みを進めていかなければなりません」
と独特の言葉遣いで会員を鼓舞した。
じつは、原田氏をはじめとする創価学会本部の幹部は、「東大卒」のエリートで固められている。
東京出身の原田氏は都立小石川高から東京大学経済学部に進学。在学中には学生運動に熱を上げ、「安保闘争で国会に突入した」などと後に語っている。「創価学会では池田氏に師事し、『学生部長』から『第一庶務室長』『事務総長』などの役職を務めた。第一庶務は会長の身の回りの世話をする側近部隊です。池田氏への忠誠心は強いとされ、若いころに頭のコブを池田氏に『切れ』と言われ、すぐさま病院で取ったとの逸話があります」(学会関係者) 06年に会長に就任し、今年11月18日に5期目 (1期4年)に突入した原田氏。それを支えるのが「主任副会長」の6人だ。
なかでも原田氏後継の「最有力」とされるのが、1956年生まれで、壮年部長の谷川佳樹氏。創価中・高を経て東大経済学部の出身で、三菱商事を経て学会職員に採用された。
そして、やはり東大卒の総東京長で聖教新聞社代表理事の萩本直樹氏(53年生まれ)の名前も挙がっている。
両者とも、長谷川重夫理事長(82)を差し置いて「ポスト原田」に名前が挙がる。現在の学会は、彼ら「東大閥」が支配しているのだ。
「谷川氏は脱会者との訴訟などで、学会の顧問弁護士八尋頼雄氏と連携して成果を上げた切れ者です。原田会長と同じ第一庶務畑出身。現在は、出世レースの本命争いに調整型の萩本氏も加わったという状況です。彼らは学業優秀で、約2500人の職員を抱える学会本部を束ねるための、官僚的な実務に長けています」(同前)
10年頃から池田氏が表舞台に立たなくなると、原田執行部は池田氏までの三代の会長を「永遠の師匠」と位置づけ神格化させる。その一方で、実務的な改革を加速させてきた。
「原田氏は、実務官僚タイプで宗教的なカリスマ性があるわけではないが、そつなく組織をまとめた。最大の実績は、創価学会の会則や規則を大幅に改定したことです。教義や日頃の読経の内容が大きく変わった。なかでも、1991年に破門された日蓮正宗の本尊と学会を、『無関係』と位置付けたことは象徴的でした」(『宗教問題』編集長の小川寛大氏)
「池田氏の直弟子」「正統派」の自負
破門後の混乱を整理し、宗教的な独立性を高めたのだ。さらに原田体制では「政権との距離も近づいた」(政治部記者)とされる。
「その一例が、長らく選挙を担当してきた副会長の佐藤浩氏が、公明党を飛び越え、菅義偉氏ら自民党政治家と太いパイプを構築したことです。池田氏が強調していた平和主義と距離を置くようになり、さらに第二次安倍政権では安保法制を容認するなど、徐々に学会のカラーが変わってきました」(同前)
学会で覇権を握る「東大閥」。だが、彼らと対立する勢力も存在する――。
それが、創価学会傘下の「創価大学」を卒業した職員たちだ。創価大OBは新卒職員の過半数を占めると言われており、学会内部で「創価大閥」は歴然とした影響力をもっている。
21年発刊「創価大学50年の歴史」にも、池田氏の名前で次のような檄文が寄せられている。
「さあ、創価の学友よ! 不二の同窓よ!」「永遠に私と一緒に!」
71年に創価大を創立したのは池田氏に他ならない。
「かつて創価高校では、学業優秀な生徒はそのうちひとクラスに集められていた。彼らエリートは東大・京大などへ進学し学会の幹部や議員、官僚を目指します。
対して、残りの多くの『二世』の若者たちが創価大に入学する。池田氏は創立者として頻繁に学校を訪れ、学生たちと直接交流していた。そのため出身者は『池田氏の直弟子』という強烈な自負をもつ。自分たちこそ『正統派』との意識があるのです」(同前)
つまり、東大閥で現実主義路線の原田会長たちに対して、学会の巨大なグループ内で学業と仕事をこなしてきた“叩き上げ”勢力が反発する構図となっている。この対立を決定的に深めた象徴的な“事件”が2015年に起きた。
「創価大閥」の中心人物で、有力な後継者候補だった正木正明理事長(69)が突如、退任したのだ。
〈体調不良を理由に辞任の申し出があった〉と伝えられたが、真相は「原田氏らによるパージ」だというのが学会関係者の共通認識だ。当時の雑誌では、〈粛清〉〈更迭〉など、穏やかではない見出しが躍っている。
大阪府出身の正木氏は、52歳の若さで理事長に就いた。
「創価大時代から自治会で学生を率いてきた。29歳で早世した池田氏の次男・城久氏とは同窓にもあたる“ご学友”で、池田家と近かった。城久氏は池田家の『ロイヤルファミリー』の中でも特に人望があり、活躍が期待されていた。正木氏は、城久氏の人脈と遺志を継ぐ存在と目され、青年部長や総東京長を経てスピ―ド出世。原田氏ら官僚タイプに比べると演説やアジテーションもうまく、創価大OBを中心に、組織内のあちこちに今も“シンパ”がいます」(古参の学会員)
その正木氏が唱えたとされるのが、「衆院選撤退論」だ。
「小選挙区の選挙運動は、婦人部をはじめ学会員への負担が大きい。そこで公明党参院と地方議員だけの政党と位置付け、本来の宗教活動に回帰すべきだと主張しました。こうした正木氏の意見に対して、執行部を支配する東大閥が猛反発。『政治との関係性を維持した方が学会の実利となる』と考える原田会長や谷川氏らが、正木氏を排除したと言われています」(同前)
正木氏は、理事長退任後、一切口を開かず、理事長の退任理由などについては諸説ある。だが、原田会長との確執については、学会関係者は口をそろえるところだ。
現在、正木氏は会長の諮問機関である参議会副議長だ。「閑職であり、学会の中枢から縁遠い存在」(前出・学会関係者)というが、ジャーナリスト・乙骨正生氏が分析する。
「正木氏のパージと時期を前後して、正木氏らの派閥の人間が左遷除名の憂き目に遭っている。ただ創価大OBはもちろん、末端の会員には、『池田氏の理念と異なる』として原田執行部の路線に違和感を抱く人も少なくない。池田氏が存命の間は『それも先生がお認めになっている』とされてきたが、亡くなった今後は不満も噴出しやすい。そこで、正木氏や周辺がクーデターを起こすのではないかとの見方もあります」
「我らこそが池田先生の後継者」と、池田氏の逝去を境に、内部抗争が始まっているのだ。
不穏な憶測が飛び交う中、学会関係者の注目を集めているのが、正木氏の長男である正木伸城氏(42)の言動だ。
「伸城氏は35歳で創価学会本部を退職し、学会の実状についてSNSやメディアで発信している」(前出・古参の学会員)
小誌も昨年、伸城氏へのインタビュー記事を掲載。その後、著書「宗教2世サバイバルガイド」(ダイヤモンド社)も刊行している。
池田氏の長男を担ぐ可能性は
改めて内紛の可能性などについて正木伸城氏に取材を申し込むと、次のように回答した。
「(学会に関して)詳らかな情報をおさえていないので、不確実なことを言うわけにはいきません。仮に考え方が違う人が同じ組織内にいたとしても、創価学会は『対話』を大切にする団体なので、組織内の対話をしっかりやっていくことで、集団指導体制を構築してほしいと思っています」
さらに――。「火種」になりうる重要人物がもう一人存在する。主任副会長の一人、池田博正氏(70)。池田大作氏の長男である。今回、「大誓堂」で原田会長の隣に臨席し、「池田先生のご逝去についてお伝えさせていただきます」と、自ら父の死を切り出していた。
現在は執行部の一員である博正氏。「組織の仕事には実績が乏しく、リーダーは難しいのでは」(前出・古参の学会員)との人物評だ。
池田氏も生前、世襲を否定していたとされる一方、「象徴的に担がれる存在だ」(同前)との見方もある。
「創価学会秘史」を著したジャーナリストの高橋篤史氏が分析する。
「『池田先生』への圧倒的な支持がある一方で、現在の幹部たちは人柄すらあまり認知されておらず、池田大作氏の『伝言』をする立場と見られてきた。しばらくは新たに求心力のある指導者を生まず、池田氏の言葉を伝承して延命していく可能性が高い。そこで説得力を持たせるために、いっそ長男・博正氏を『形だけでも会長に担ぎ上げたほうがいいのでは』との声も上がっています」
たとえ分裂や内部抗争のシナリオを当面回避できたとしても、執行部そのものの高齢化が進むばかりだ。4年後の任期満了時には、原田氏は86歳となる。
「原田氏の退任時に、若返りが叫ばれる可能性も高い。その時点で谷川氏や萩本氏も70代になっており、そこから『ポスト原田』を選ぶことが難しくなるでしょう」(前出・乙骨氏)この事態をにらんでか、もう一人の「ジュニア」が頭角をあらわしている。原田会長の長男、原田星一郎氏だ。父と同じく、創価高校から東大に進学。学会本部では聖教新聞などに勤務し、現在は教学部長という要職に就いている。
「教義に関する中心的な役職を担っており、まだ50代と若い。ただ実際、会長就任が現実味を帯びれば、『なぜ世襲なのか』と反対する声も大きくなる。結局、これからの創価学会はどこへ向かっても茨の道です」(同前)
いまなお公称827万世帯の会員を抱え、かつて国会では「資産十兆円」とも指摘された創価学会。池田氏の逝去に伴い、その巨大利権をめぐる骨肉の争いはすでに始まっている。
【解説】
創価学会執行部内のゴタゴタや抗争は、末端の創価学会に知ることはできません。
週刊誌の記事が唯一の情報源と言えるでしょう。
その意味で、貴重な資料です。
獅子風蓮