★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

いといたうなよびて

2019-03-16 23:44:42 | 文学


されど、いと急に、のどめたるところおはせぬ大臣の、思しもまはさずなりて、畳紙を取りたまふままに、几帳より見入れたまへるに、いといたうなよびて、慎ましからず添ひ臥したる男もあり。


朧月夜の君と密会していたら、右大臣に踏み込まれてしまう源氏であった。すぐかっかと来てしまう右大臣に対して、源氏が「いといたうなよびて」いるのが、いやあ酷く腹立つわいな……源氏のことである、いい体をしているのであろう。

今ぞ、やをら顔ひき隠して、とかう紛らはす。

顔を隠しているからよけいいい体が目立つじゃないかっ

先日、うすた京介の『フードファイタータベル』というのを少し読んだが、『すごいよマサルさん』が、島本和彦のど直球(ただし暴投)をカーブにしたような感じの球を投げているとすると、――これはもう少しエロティックな感じがした。食べることの身体性を表現しているマンガはそう多くないだろう。シランけど。食事のマンガはなんかうんちくがすごくてどっちかというと、オタク的な気がする。しかし食べることはもっと苦行に近い。うすた氏は、あいかわらず、笑えるのか笑えないのかみたいな所ばかり狙っている。

女郎花盛りの色を見るからに露の分きける身こそ知らるれ


紫式部は、もう少し身をずらせば笑いに移行できる……かもしれない。


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