宝島のチュー太郎

酒屋なのだが、迷バーテンダーでもある、
燗酒大好きオヤジの妄想的随想録

2019年仕込み [酉与]右衛門(よえもん)直汲み山廃純米無濾過生原酒 亀の尾60% 1.8L

2022年03月04日 12時55分35秒 | 酒のこと








2019年仕込み、岩手・川村酒造 [酉与]右衛門(よえもん) 直汲み山廃純米無濾過生原酒 亀の尾60% 1.8L 税別3600円

大正11年(1922)年、川村[酉与]右衛門(よえもん) により合資会社川村酒造店創業。
[酉与]右衛門は、16歳で酒造出稼ぎに赴き、24歳で杜氏に就任、第二回東北六県清酒品評会では優秀賞、全国清酒品評会でも壱等賞金牌を受賞。
南部杜氏組合の創立にも寄与したという資料が残っています。

初代に続き、自らの意思で蔵に入った、四代目当主川村直孝さんが酒造りに関わった当時「人生修行のために全力で酒造りをしたい」と考えていた創業者の意志を継承するために平成12年に立ち上げた銘柄が、この[酉与]右衛門(よえもん)です。
酉(とりへん)に与を加えた一字は現在変換できません。
なので、[酉与]右衛門とした表示は苦肉の策です。




亀の尾は、昔は東北で広く栽培されておりましたが、害虫に弱いなどの欠点の上に、化学肥料で育てると極端に米がもろくなるので現代の農法には向かないといったこともあり、次第にその子孫品種などに取って代わられ、「幻の米」となってしまいました。
それが、1980年に、『昔、亀の尾で作った酒が素晴らしかった』とのことで、数粒の種籾から復活させた話は、尾瀬あきらさんの漫画「夏子の酒」のモデルとして広く知られる様になりました。


その岩手で契約栽培した亀の尾で醸したのが、[酉与]右衛門(よえもん) 直汲み山廃純米無濾過生原酒 亀の尾60%です。

タンクから搾ったばかりのお酒をそのまま瓶詰する、直汲みならではの微発泡性を有します。
それは、2年経った今でも衰えていません。
そこに、酒質の高さが伺えます。
香りは穏やかで、今流行りの『フルーティー』なそれとは一線を画します。
そして、個性的な酸味と亀の尾の持つ米本来の滋味が広がる、骨格のしっかりとしたお酒です。


原料米 亀の尾 精米度 60%
酵母 協会7号 アルコール度 16-17%
日本酒度 +6 酸度 1.8


*新居浜市内のお宅には配達いたします。
(税別5000円以上は無料、未満は税別500円の配達料が必要です)
ご注文は、メール takarajima@shikoku.ne.jp か、お電話 080-4038-3717 へどうぞ。
*その他のエリアの方は、トレジャーアイランドへおいでください。
全国発送できます。











川村酒造さんは、岩手県花巻市石鳥谷にあります。
石鳥谷は、日本酒を造る杜氏集団の中でも現在最大勢力である「南部杜氏」発祥の地です。
この地から毎年南部杜氏や蔵人が全国の酒蔵へ散らばっていき、一冬酒造りをして春に帰ってくるのです。
[酉与]右衛門(よえもん)の川村酒造さんの近所にも名立たる杜氏さんが暮らしています。
そんなメッカですら酒蔵はどんどん減り、現在地元資本の酒蔵はこの川村酒造さんだけという状態です。

500石ほどの小さな蔵ながら、純米酒しか造らないという矜持を持った酒造りを貫いています。
使用米は自家田の山田錦や契約栽培の亀の尾など、地元の米が中心で、旨口でキレのある食中酒を醸します。

水も空気も旨い大自然の中で、「ボディのあるキレの良い酒」を醸す「味系&熟成系」の蔵元です。
主な使用米「阿波山田錦」「備前雄町」「自家田美山錦」「岩手吟ぎんが」の特徴を最大限引き出すことを念頭に置き、丁寧な仕込みを心がけています。
香り穏やかな、酸味が旨みをリードする酒質ですので、地元の和牛、豚、地鶏、三陸の魚介類、山菜、蕎麦、雑穀等を用いた料理と相性が良く、和食に限らず洋食中華とも幅広く合う食中酒です。

華やかな香りは要らない!
食中酒としてじっくり飲んで欲しい[酉与]右衛門(よえもん)は、しっかりした造りをしていることで、熟成の効くお酒に仕上がっています。


実は、私と石鳥谷には浅からぬ縁がありまして、そこから繋がった経緯があります。
そしてようやく、彼の地から最初に届いたのがこのお酒です。

これからは、このお蔵元とお酒をどんどん仕入れて、ご紹介して参ります。
今後とも、[酉与]右衛門(よえもん)にご注目ください。




 それでは、私なりの所感を。


入荷するなり、夜を待ちかねてすすってみました。

















抜栓時に、軽くポンと音がします。
生原酒ですので、瓶内発酵が続いています。
そこで、少しずつながら、炭酸が瓶内に溜まっているのです。

香りは穏やかです。
いわゆる果実系のそれではなく、穀物系とでも言いましょうか。
口に含んで最初に感じるのはキレの良い酸味です。
生原酒にありがちな、甘さやレアな感じはありません。
そして、しっかりとした滋味があります。

『これ、燗つけたら化けるんやないか?』
という思いが脳内に広がります。
酒呑み歴50年のワタクシメ、所謂、固定概念を持ちます。
即ち、生原酒は燗には向かない、くどくなるだけ、という思いです。
でも、『もしかしたら、例外がここにあるのか?』と感じたのです。
ならば、やってみない手はありません。






仮説は大正解でした。
米の旨味が膨らみ、面影を残す酸味がそれを引き締めます。
正しく食中酒としてうってつけの燗上がりのする山廃純米無濾過生原酒です。





 次は数日後。




一体何日経ったでしょう。
一週間くらいでしょうか。
まだ抜栓時に音がします。
もしかすると、初回より大きかったかも知れません。
そして、初回にはなかったミストが瓶口から立ち上がりました。
空気に触れることで、発酵が活発化したのでしょうか。



すすってみます。






やはり、味わいが変わりました。
より華やかになった感じ、とでも言えばいいでしょうか。

ワインではよく、デカンタージュすることで蕾が開くという表現をされますが、まさしく[酉与]右衛門(よえもん)の花が開きました。
なんという酒でしょう。


さて、次に入荷予定なのは、2021年仕込み [酉与]右衛門(よえもん)直汲み生もと純米無濾過生原酒 亀の尾です。
今度は、所謂新酒を仕入れてみます。
どんな違いがあるでしょう。
愉しみです。

今月の下旬に入荷する予定です・・・


*新居浜市内のお宅には配達いたします。
(税別5000円以上は無料、未満は税別500円の配達料が必要です)
ご注文は、メール takarajima@shikoku.ne.jp か、お電話 080-4038-3717 へどうぞ。
*その他のエリアの方は、トレジャーアイランドへおいでください。
全国発送できます。












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