昨日のTVタックルでは、珍しく外国人参政権がテーマだった。これでも放送予定日が遅れたのこと。
興味津々で見ていたが、見終わって一番強く思い出したことは、不思議なことに、「差別利権がなくならない限り、差別はなくならない」というフレーズであった。以前、人権擁護法案反対ホームページ(今はなくなったもよう)のトップにあったキャッチフレーズである。
そこに出ていた「外国人参政権付与推進派」の4名は、議論で自分たちが不利になると、「それは差別だ!」発言を連呼していた。あとで詳しく論じるが、「日本の選挙権がほしければ日本国籍を取れば?」の発言のどこが「差別」なのか、私にはさっぱり理解できなかった。もし私が中国で永住外国人と認定されたら、日本国籍のまま中国の選挙権が得られるのか?そのときに、「私に選挙権がもらえないのは差別だ!」と言ったら、中国政府は選挙権くれるのか?(笑)
外国人参政権付与反対派は、概ね私がブログで論じてきた通りの路線で主張していたが、自称ジャーナリストの山際澄夫がいつものように、スイッチが入ると大声でがなり立てるモード(暴走モード)に突入してしまい、反対派の一般的な印象を悪くしていた。静かにしゃべればまともなことを言っていることも大変多い人なだけに、山際氏においては、元産経新聞記者だったのであるから、しゃべり方や雰囲気が聴衆に与える印象を今の10倍くらいは意識していただきたいものだ。
さて、ビデオを見ながら発言を書き起こすのも大変だなぁと思っていたら、以下の二つのブログ様が、それぞれ、大変わかりやすい書き起こしをして下さっていた。適宜、このリンク先を参照しながら以下の文章をお読み頂けるとありがたい。
TVタックル◆外国人参政権◆まとめ(一部)。 (政権交代 あれ? 様)
「TVタックル」外国人地方参政権と強制連行の真偽 (ぼやきくっくり 様)
ラッキーなことに、youtubeにもまだアップされている。なくなるかも知れないので早めにご覧あれ。
http://www.youtube.com/watch?v=5xj4q4szSuE
改めて、出演者を紹介しておく。(いやはや、リンク作りに手間がかかる・・・)
<外国人参政権付与推進派>
金慶珠(東海大学教養学部国際学科準教授 社会言語学、韓国籍)
張景子(東アジア評論家、中国出身)
小川敏夫(民主党 参議院東京選挙区、今年改選である)
穀田恵二(日本共産党 衆議院京都1区、比例近畿ブロック)
※張氏は日本に帰化している。金氏は帰化していない。
<外国人参政権付与反対派>
長島昭久(民主党 衆議院東京21区)
高市早苗(自民党 衆議院奈良2区)
三宅久之(政治評論家)
山際澄夫(ジャーナリスト、元産経新聞記者)
次に番組内でのハイライトを。適宜、上の二つのサイト様から引用させていただく。心から感謝であるm(_ _)m 以下敬称略。
(序盤で、ビートたけしがオウム真理教の住民登録問題を切り出す)
<テロップ>
【1990年、熊本県阿蘇郡波野村が地域住民の反対により、教団信者の転居届を不受理とし、住民と認めなかった。熊本地裁の不受理は違法との判決を受け、1994年、「波野村が9億円を払い、教団が村を出る」ことで和解。住民らは「有権者500人程度で100票とれば村議になれ、このままでは村が乗っ取られる」と訴えていた】
穀田恵二
「やっぱりああいう荒唐無稽で、しかも住民に被害を与えるやり方がいいのかという、住民運動が起こる。そういう意味でも住民自治というのは、やっぱりそういうところに力があるのは日本の良さ」
金慶珠
「オウム真理教の話と今日のテーマは違う。一種の妄想みたいなもので、参政権与えたら住民票を対馬に移すとか、オウムと一緒に見る、あるいは、あいつら危険だという在日や永住外国人に対する偏見以外の何ものでもない」
長島昭久
「いや、たけしさんが提起した問題は、移転の自由があるから、制限する法律はない」
金の、「オウムと今日のテーマは違う」だけでは説明になっていない。どう違うのかを具体的に展開しなければ、違うという発言自体が、根拠がないという意味で「妄想」に過ぎない。と、東京大学で博士号を取った人につっこむのもばからしい。。。東大の博士号って、こんなにバカでも取れるの?(笑)序盤からこんなに頭の悪い発言をすると、「学者」の肩書きがどんどん軽くなり、他の「学者様」にどれだけ不利益となるか、このヒトはわからないらしい。
しかも、どう違うかを説明もせずに「在日がオウムと同じように動くと思うこと自体が『偏見』」って・・・。
ハイ、都合が悪くなって「偏見」という言葉に逃げ、レッテル貼りした瞬間「その1」である。しかもこれ、序盤だよ?
ちなみに、どう同じであるかは長島が的確に指摘している。「移転の自由がある」点は、オウム真理教の信者であろうが、永住外国人であろうが同じだ。「外国人はそんなことはしないよ」は、何ら論理的な反論にならない。それこそ、「外国人に悪意を持つ人などいない」などという無根拠な前提をいつも持っている、頭がお花畑な妄想癖を持つ病人くらいなものであろう。在日外国人の犯罪発生率は日本のそれより高いのだから。
在日外国人に選挙権がなくても、基本的人権としての転居の自由は保障されているのに、「いや、在日外国人は転居しませんよ」と根拠もなく言い張ることの方がはるかに「偏見」であるということを、この学者先生は理解していないかとぼけているかのどちらかである。
また、穀田恵二のこのすっとぼけ方は、小池晃などと同様に、日本共産党のお家芸と言ってもいい。私は「日本一とぼけ方がうまい党、共産党」といつも心の中で思っているくらいだ。
穀田は、地方議会レベルであれば、かなり少ない人数の移転でも、政治権力を掌握できる可能性から完全に論点をずらし、「いやあ、住民運動ができるって、日本はいい国だねぇ~」と、反対運動をした住民たちをただ賞賛しただけである。外国人が日本国籍を持たないまま、日本の政治権力の一部を掌握することに対する危機感を完全に無視したとぼけ方で、素でわかっていないより悪質性が高いと言えよう。(素でわかっていないのなら、それこそ立法者としての国会議員の資質がない。立法に際し、予期される危険というのを想像する力が危機的に足りないのだから。)
次。
阿川佐和子
「張さんは実は帰化してらっしゃる」
張景子
「日本国籍を取ってます。でも日本人かどうかは微妙。国籍の考え方は根本的に違うんですよね、中国の人たちは。華僑は中国の国籍を持った人たち。華人は中国籍じゃない居住地の国籍を持っている。私は華人。なのにこの人たちに対しても、日本籍の中国人、あるいはアメリカ籍の中国人ていうような言い方をする。なので国籍に対する考え方が緩い。あと中国人に対する包容範囲がすごく広い。なので私に、あなた日本国籍を取ったから日本人って言われると、私はドキッとするわけですよ」
三宅久之
「あなたは中国共産党が調査のために日本に置いたんじゃないの?」
穀田恵二
「それはスパイって意味ですよ。そういうことを普通の人に対して。帰化した人はみんなスパイ?」
三宅久之
「だって日本国籍を取っても日本に忠誠心を持たないなんて。彼女は便宜主義で取ったっていう。便宜主義で取ったんじゃ困る」
張景子
「便宜主義でもいいじゃないですか」(一同ざわざわ)
山際澄夫
「議論の核心は忠誠心。外国人と日本人の違いは、外国人は外国に忠誠を誓い、そこで権利や義務を持っている。中国の方も共産党に忠誠を誓っているから、だから外国人。韓国も、民団の綱領というのがある。民団の運営資金の7割から8割は韓国からもらって活動資金にしてる」
金慶珠
「違うよ」
山際澄夫
「その綱領にはこう書いてある。韓国の憲法を守ると」
金慶珠
「それで言うと、私みたいな人は何?自分の生まれた国に愛情を持って、日本に来て、日本に愛情を持って暮らしてる私はスパイなわけ?」(一同勝手に喋ってざわざわ……)
ここでは、穀田が「スパイ」の定義もしないまま、「スパイスパイ」と連呼することで、反対派に感情的なネガティブレッテルを貼ろうとしている。
「(利益共同体としての)日本という国家」の利益、すなわち日本の国益を最優先に考えて投票する人が日本に帰化するのはかまわないが、日本以外の国の利益を最優先に考える前提で日本に帰化するのは、日本の国益を損なうという意味では当然「他国のスパイ」と呼んでかまわないと私は考える。
スパイ・・・他国の利益のために、ある国に潜んでいる者。
と定義すればね。
そういう定義の上で、上のやりとりを改めて読み直してみると、「便宜主義で日本に帰化した」という張の発言自体が、「そりゃあんたスパイでしょ」と言われてもしかたがないものであることがわかる。「便宜主義」の意味が「忠誠心とかかわりなく日本国籍を取得した」というものであるならば、であるが。
山際の発言も、忠誠心という言葉を「その国(日本)の利益を最優先にするよう行動する姿勢」という意味でとらえれば、ごく当たり前の指摘をしているに過ぎず、
「民団の綱領では、構成員に対し、韓国の憲法を守る(しかも、韓国憲法では、国民に国防の義務を課している)よう定めている」
という指摘は、少なくとも韓国人は、民団の組織に入っている以上は日本の国益の最優先化を期待できないという意味で、極めて重要なものである。
参考 大韓民国憲法
第39条① すベて国民は、法律が定めるところにより、国防の義務を負う。
② 何人も、兵役義務の履行により、不利益な処遇を受けない。
で、ここまで来て金が
「自分の生まれた国に愛情を持って、日本に来て、日本に愛情を持って暮らしてる私はスパイなわけ?」
と発言することで、民団の問題を思い切り流してしまった。釈迦に説法で誠に恐縮だが、この流れで、脈絡のある議論とは、例えば
・金が知っている範囲で、民団構成員は、三宅や山際が提起した問題をどう解決しようとしているかを説明すること
であろうに。私がこの場にいたら、
「民団のメンバーは韓国憲法を守れって民団の綱領に書いてあるんでしょ?だったらそりゃ民団のメンバーは韓国のスパイだよ」
とハッキリ言うであろうが。
スパイ発言を連呼することで、「反対派は在日外国人にネガティブレッテル貼りをしようとしている」、というネガティブレッテル貼りをしている。これが金のレッテル貼り「その2」である。
ここまで考えると、外国人参政権を得るには単に帰化すれば良いというわけではないと私も結論づけざるを得ない。山際が指摘したような「忠誠心」、もっとマイルドな言葉で言えば、「日本の国益を最優先にするという信用」が得られるかどうかが重要になるであろう。
もちろん、その大前提としての帰化は、必要条件として不可欠なのは言うまでもないが。
ずいぶん長くなったので、ここまでを「その1」としてアップしておく。続きはいつになるか・・・お待ちいただきたいm(_ _)m
その2はこちら。
コメント有難うございました。
白河さんこそお疲れ様です。
こちらの記事を拝読して、頭の中でもやもやしていたものがスッキリ整理されました。
有難うございます┌○
はなこさんの仕事の速さに脱帽!でございます・・・すごいですね。あんな画像(顔写真の切り貼りとかイラストとか)とかすぐ作れちゃうのは・・・・
この番組についてのその2,その3を順次書いていきたいと思います。またお読みに来て頂けるとありがたいです!よろしくお願いしますm(_ _)m