塩哲の空即是色

日々の徒然日記

ミュージアム巡り 歴史資料の宝庫へ 嵯峨本_伊勢物語

2014-12-28 03:54:40 | ミュージアム巡り_2014
 次の資料書は、慶長13年(1608)に出版された“嵯峨本”と呼ば
れる「伊勢物語」(内務省旧蔵、全2冊)。

 嵯峨本とは、角倉素庵や本阿弥光悦によって製作され、美術的な
意匠を施した木活字印刷の豪華版。美しい色替わり料紙を用い、表
紙には雲母で草花の模様が印刷されている。豪華すぎて、出版当時
は関係者のみに配られたようだ。

 この嵯峨本・伊勢物語は、国内で初めて挿絵入りで出版された古
典文学作品で、それまでは全て写本で伝わってきたのが、版本とし
て出版されたことも文学史上、画期的な本といえる。
 角倉素庵は水運業で財を成し、琵琶湖から京の都までの疎水を成
功させた“水運の父”了以の子。幼少時から藤原惺窩に儒学を学び、
光悦や俵屋宗達の協力のもと嵯峨本を世に出している。

 奥書には、校訂に参加した中院通勝の自筆の花押がある。通勝は
公家で歌人、また日本の古典文学研究に尽力した和学者。細川幽斎
に和歌と古典を習い、「源氏物語」の注釈書「岷江入楚」を完成。
国立公文書館(千代田区北の丸公園3-2)

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