耳を離れない

宮城県で起きた震災で、３人の作業員の方が亡くなった。
自衛隊は夜を徹して懸命に捜索したんだけど、その甲斐もなく。

変わり果てた姿で発見されたその方々の姿を見て、足腰が立たなくなるご家族、『お父さん！起きて！』と声をかけている姿をテレビを通して見ていて、本当に苦しい気持ちになって、思わず涙が滲んで来た。
朝、いつものように元気に出かけて行った大切な家族がそんな目に遭うなんて想像もしていなかった事だろう。

僕は、大学時代に大きな事故に遭った事がある。
意識不明で病院に搬送された。
その知らせを電話で聞いた母は、電話口で腰が抜けたんだそうだ。
生まれて初めて、ショックで足腰が立たなくなると言う感覚を味わった、と元気になってから聞かされて、本当に申し訳ない事をしたと思った。
事故だから、避けられない事もあるんだけど。

そんな体験があるから、震災で亡くなった方のご家族の映像がどうしても重なって見えてしまう。
きっと、僕の両親も意識不明で物を言わぬ息子に『起きて！』と声をかけた事だろうと思う。

あの映像を見てから、もう随分時間が経つんだけど、未だに『お父さん！起きて！』と言う声が耳を離れない。