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ニッポンのゆる~い日常

仙谷長官は、自分の姿を鏡に映したことがあるのか

2010-10-17 21:57:49 | 仙谷由人
仙谷長官は、自分の姿を鏡に映したことがあるのか


http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101017/plc1010172033007-n1.htm


 仙谷由人官房長官は、自分の姿を鏡に映したことがあるのか。15日まで4日間続いた衆参予算委員会で仙谷氏がその場しのぎに繰り返したウソ、強弁、はぐらかし-を拝聴し、「他者の目にどう見えるか、よほど分からない人なのだ」と得心した。その言葉は国民を欺くどころか、自らの過去も裏切っているが、自己矛盾は感じていないようだ。


 論戦で最大の焦点だったのは、沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件への政府対応の是非だった。野党側は、海上保安庁の巡視船が漁船に体当たりされる場面を撮影したビデオテープの公開を強く求めたが、対応を一任される仙谷氏は言を左右にして態度を明確にしなかった。

 「テレビ報道は国民に影響力を持っている。ビデオをどのようにどういう範囲で公開するかは、もう一工夫、一ひねり考えないといけない」


 要は「なるべく公開したくない」ということなのだろうが、これは国民の「知る権利」を踏みにじる発言だ。菅直人首相が8日の代表質問で「最終的に外交の方向性を決めるのは主権者たる国民だ」と答弁したこととも矛盾する。そもそも首相は1日の所信表明演説で「(外交は)国民一人ひとりが自分の問題としてとらえなければいけない」と訴えたではないか。


 もう一つ指摘しよう。仙谷氏は政権交代直後の昨年9月20日の民放番組で何と言ったか、お忘れか。

 「戦後自民党政治は『寄らしむべし、知らしむべからず』でずっと来た。陰でこそこそという部分があるから国民が政府のやっていることを信頼しない」

 中国人船長釈放の判断について、仙谷氏は「政治は関与していない」「判断の主体はあくまで刑事司法の担当者」と繰り返した。

 だが、裁判所と異なり、検察は一行政機関である。

 「政治と行政の関係で政治がとるべき責任をとろうとしない。その辺が現在の政治家不信を生んでいるのではないか」


 こう正論を吐いたのも仙谷氏である。ウソだと思ったら昨年10月9日の報道各社のインタビューを読み返してほしい。

 とにかく仙谷氏の答弁は、真偽・事実関係よりも強弁でその場を乗り切ることを優先させる姿勢が目につく。かつて辣(らつ)腕(わん)弁護士だったそうだが、国会を法廷か何かと勘違いしているのではないか。

 「弱腰外交」と批判されると美人の形容である「柳腰」を持ち出し、「したたかで強い腰の入れ方だ」と誤用してもなお撤回しない。衝突事件を「外交的敗北」と批判されると一部の海外報道を取り出して「中国より日本の方がずっと上手だったと評価されている」と自賛した。


 ちょっと待ってほしい。14日の参院予算委で自民党の山本一太政審会長が新聞報道を元に事実関係を質問すると「新聞記事を確認する質問なんてものは聞いたことがない!」と高圧的に反論したのは誰だったか。

 仙谷氏自身も野党時代に「新聞報道によりますと」「そういう新聞報道を見たような気がした」などと何度も質問している。「語るに落ちた」とはこのことではないか。

 「私は法律家として法廷技術はある程度のところまで到達したのではないかと自負していた」

 仙谷氏は昨年9月18日、行政刷新担当相の就任あいさつで内閣府職員にこう自慢した。裁判に勝つ法廷技術は学んだが、法律家としての良心はとうの昔にどこかに置き忘れてきてしまったようだ。


 あいさつに際し、仙谷氏が職員に配布した「CHANGEのための仙谷ウェイ」と題する一枚紙にはこう記されていた。

 「間違いを認め、率直に謝ることから始めよう」

 「上から目線をやめて国民目線で語ろう」

 まずは自ら肝に銘じるべきではないか。     


2010.10.17 20:32









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ガス田 約束違反に日本は試掘を

2010-10-17 13:51:07 | 日本
ガス田 約束違反に日本は試掘を


http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101017/plc1010170307001-n1.htm



 東シナ海ガス田で、中国側の動きが活発になっている。中国が一方的に単独開発を始めた疑いも濃厚だ。尖閣諸島だけでなく、ガス田付近も警戒が必要である。

 尖閣諸島が日本固有の領土であるのに対し、4カ所のガス田は日中中間線にまたがり、海洋権益をめぐる両国の主張が真っ向から対立する海域にある。

 ガス田の一つ、「白樺(しらかば)」(中国名・春暁(しゅんぎょう))で、中国の作業船が掘削用のドリルとみられる機材を洋上施設に搬入したことが自衛隊の航空写真で確認されたのは、先月中旬だ。尖閣諸島近海で巡視船に衝突した中国漁船の船長を逮捕したことへの対抗措置として、中国がガス田交渉の延期を通告した直後のことである。

 9月24日の自民党外交部会で、資源エネルギー庁は周辺海域が濁っている写真などから、「掘削の可能性は高い」との見方を示した。これに対し、外務省幹部は「掘削が行われているという最終確認は取れていない。中国に新しいことをしないよう申し入れている」と述べるにとどめた。

 外務省はただ中国側に要請するだけでなく、自衛隊の写真などを根拠に、掘削の有無を厳しく問いただすべきだ。

 掘削が事実なら、平成20年6月に日本企業も出資することで合意したことに対する重大な約束違反である。前原誠司外相は「(掘削開始の)何らかの証拠が確認されたら、しかるべく措置をとっていく」と述べている。

 日本政府は17年7月、白樺に鉱業権を申請していた民間会社に試掘権を付与しており、法的には試掘できる状態にある。中国への対抗措置として、いつでも試掘を始められるよう、巡視船などによる万全の警護体制を準備すべきだ。ガス田付近への調査船派遣や国際海洋法裁判所への提訴なども検討する必要がある。

 中国は、那覇地検が「外交上の配慮」を理由に中国人船長を処分保留で釈放した後も、尖閣諸島やガス田付近に10隻以上の海洋調査船を集結させたり、海軍艦艇を展開させたりして、示威と威嚇をさらに強めている。

 中国の狙いが海洋資源獲得に加え、東シナ海での軍事的影響力拡大にあるのは明白である。「中国の海」にさせないため、自衛隊と海上保安庁の連携による監視・警備体制の一層の強化が必要だ。

2010.10.17 03:05












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【尖閣危機】(下)

2010-10-17 09:41:52 | 日本
【尖閣危機】(下) 無策続けば米国からの三下り半


http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101016/plc1010162219017-n1.htm



 《公の場で中国を批判する発言は厳に慎め》


 那覇地検が9月24日、尖閣諸島沖でおきた中国漁船衝突事件で、逮捕した中国人船長の釈放を発表した直後、全国の自衛隊部隊に指示が下った。防衛相、北沢俊美は防衛省幹部らに、年末に策定する「防衛計画の大綱」に盛り込む予定の離島防衛強化について尖閣問題に絡めて議論しないよう伝えてもいる。

 むろん、いたずらに相手を刺激することはないが、民主党政権は現実を直視するのを避けているようにみえる。しかし、現場の自衛官たちは迫り来る中国の姿を肌で感じているのだ。

 今月6日、東シナ海にある平湖(中国名)ガス田付近で、日中中間線をはさんで海上自衛隊の護衛艦と中国海軍のフリゲート艦が対(たい)峙(じ)した。

 「現場」にいたのは2隻だけではなく、米海軍音響測定艦インペッカブルの姿もあった。同艦は潜水艦のスクリュー音を収集することを主な任務にしており、いまでは「対中監視に特化した艦艇」(防衛省幹部)といえる。2009年3月、南シナ海の公海で漁船を含む中国側船舶に包囲されたこともあった。

 先月中旬には青森県三沢基地に米空軍最大の爆撃機B52Hが降り立った。同下旬には神奈川県横須賀基地に米海軍最大級の排水量を誇るオハイオ級原子力潜水艦ミシガンが入港した。


 これらの米軍の行動は、尖閣事件で一段とはっきりした中国の脅威に対して、米国が日本との協力関係を強化しようとしていることの証左である。米国務長官、ヒラリー・クリントンが先月の外相、前原誠司との会談で、日本防衛義務を定めた日米安保条約第5条の尖閣諸島への「適用」を明言したのも同じ理屈だ。

 もっとも、拓殖大大学院教授の森本敏は日本に楽観論が広まるのを戒める。

 「適用範囲と言っただけで、発動するか否かは日本の覚悟次第だ」


   

                  × × ×




 覚悟を示すとは、「体を張る腹づもり」(前原)などと、ただ空手形を切ることではない。

 前防衛政務官、長島昭久は中国が尖閣問題で攻勢を強めている理由について「海洋戦略の一環だ」と指摘する。尖閣を手中に収めれば、沖縄からフィリピンに至る第1列島線を越えて、米空母機動部隊が中国側に進入するのを阻止する「接近阻止(アンチアクセス)」戦略を確かなものにできるからだ。中国の戦略を踏まえれば対抗策は自明だ。日米同盟を基軸にした離島防衛の強化にほかならない。防衛上の空白地域となっている与那国島などの先島諸島への自衛隊配備について検討を加速させる必要がある。

 海上民兵の乗った「漁船」の監視には、大型無人偵察機グローバルホークの導入も有効だ。米空軍は9月、西太平洋地域では初めて同機をグアムに配備した。長島は日米の情報共有強化という点でも導入には効用があると説明する。


 防衛研究所所員の斉藤良は「中国が北米、南米の『市場』にアクセスするために通る必要がある対馬海峡や薩南諸島、琉球諸島に存在する海峡」に注目する。沖縄本島と宮古島の間の「宮古海峡」などでの日米共同演習は、中国に対する「接近阻止」戦略となるわけだ。



   

                   × × ×



 「大統領に何か手みやげはあるのか」

 先月、来日した米元国防副次官、リチャード・ローレスは民主党議員と都内で会った際、11月の米大統領、バラク・オバマの訪日に話が及ぶと、詰問口調になった。ローレスはブッシュ前政権下で在日米軍再編の米側責任者を務め、鳩山由紀夫前政権発足後「同盟関係が脆(ぜい)弱(じゃく)になっている」と警鐘を鳴らしてきた。


 鳩山はインド洋での海上自衛隊による給油活動を中止。代わりに5年で50億ドル(約4千億円)のアフガニスタン復興支援を決めた。カネで済ます「小切手外交」の復活だ。対照的に韓国は7月、約2年半ぶりにアフガンへの再派兵に踏み切った。ローレスには日本が自ら汗を流すことなく、米国に依存しようとしているようにみえる。昨秋、ローレスらがまとめた報告書「同盟が消える日」(邦題)は日本の主体性の欠如を厳しく問うている。


 米軍普天間飛行場(沖縄県宜(ぎ)野(の)湾(わん)市)の移設問題で広げた同盟の傷口を放置し、対中戦略でも無為無策を続ければ、日本は米国から「三くだり半」を突きつけられかねない。(敬称略)

2010.10.16 22:15













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【尖閣危機】中

2010-10-17 09:38:45 | 日本
【尖閣危機】中 「極秘訪中」の裏側で


http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101016/plc1010160122001-n1.htm


「何であの男が…」

 9月29日夜、超党派の日中友好議員連盟に所属する民主党議員はテレビのニュース映像を見て絶句した。

 ニュースは民主党前幹事長代理、細野豪志が訪中していることを伝えていた。細野は沖縄・尖閣諸島沖で発生した中国漁船衝突事件の打開策を探るための「密使」だった。

 先の議員が絶句したのには理由があった。北京市内のホテルで記者団に囲まれる細野の傍らに見覚えのある男が映っていたからだ。

 男は日本企業の中国進出を支援するコンサルタント。自民党政権時代から日中のパイプ役を果たしてきた。この人物の話題は瞬く間に永田町に広まった。官房長官、仙谷由人とは学生時代からの友人だとも伝わってきた。

 話を聞きつけたあるベテラン議員は「民間人に頼るとは首相官邸も相当焦ってたんだな」と語った。

 細野は仙谷とともに外相、前原誠司が率いるグループに属していたが、9月の党代表選では元代表、小沢一郎を支持した。昨年12月、小沢が600人超を率いて訪中した際には事務総長を務め、中国側にも名前を知られていた。選挙後、無役となった細野はかえって動きやすい立場にいた。

 日中外交筋によると、中国側は「政権の意思を反映する人を派遣してほしい」と求めてきた。細野が首相、菅直人の親書を持参すると伝えると、中国側は外交を統括する国務委員、戴(たい)秉(へい)国(こく)との会談を設定した。


 細野訪中は10月4日の首相、菅直人と中国首相、温家宝の会談につながった。首脳会談に向けての一連の動きのなかで、外務省は「蚊帳の外」に置かれた。

 「官邸は外務省ルートを信じず、素人が危ない対中折衝を繰り返している」

 外務省幹部は指摘する。コンサルタント氏の“活躍”はその一端だ。




                   × × ×



 衝突事件で圧力を強めた中国に対し、日本は発生当初から「オール・ジャパンにはほど遠かった」(政府当局者)。

 事件が発生した9月7日午後、国土交通相だった、前原は海上保安庁長官の鈴木久泰に電話で強い口調で指示した。

 「一歩も譲るな!」

 仙谷が「日中関係に影響が出るな」などと穏便に片付けたいそぶりもみせていたためだ。中国人船長の身柄拘束から逮捕に時間がかかっていた。

 「官邸の誰とは言わないがS長官が弱腰だった。逮捕しろと言ったのはおれだ」

 民主党代表時代から中国の軍拡路線に警鐘を鳴らしてきた前原は、周囲にこう漏らした。

 逮捕に中国側が抗議を強めるなか、政府内で各省庁の幹部が集まって対策会議を開き、本格的な対応策が練られることはなかった。外務省幹部は振り返る。

 「以前ならば事務の官房副長官を中心にして、対策を煮詰めてから政治判断を仰ぐというのが常識だったが、民主党政権はそれをやらなかった」

 政府筋も「政治家と官僚が一枚岩でなかった」としたうえで、その理由として(1)政権交代してから間もないため菅や仙谷が対応の仕方に慣れていなかった(2)官僚側も「政治主導」のお手並み拝見のムードが漂って積極的に意見具申しなかった-と指摘した。そのうえでこうつぶやいた。

 「過去の対策会議も小田原評定のように何も決まらないこともあった。それでもさまざまな角度から検討作業をした。今回はそれすらなかった。この差は大きいよな」



                    × × ×



 「日本政府の対応にはがっかりしている。個人的見解だが仲間も同じ考えだ」

 中国人船長が釈放された後、日本政府当局者は韓国政府の友人から失望を伝えられた。

 アジア各国の報道機関も「日本の降伏宣言で幕」(韓国・聯合ニュース)、「中国政府の強い圧力で釈放を決めた」(シンガポールのストレーツ・タイムズ紙)などと報じた。

 日本は中国との“外交戦争”に敗れたのか。12日から始まった予算委員会論戦では、この勝敗論が大きな焦点となった。

 「国際政治のコモンセンス(常識)から見れば、日本のほうがずっと上手だったと評価を受けている。日本はしなやかでしたたかな外交を行う以外、21世紀を生き抜くことはできない」

 仙谷は14日の参院予算委員会でこう強弁した。

 仙谷はこれを「柳腰外交」と表現したが、インターネット上にはさっそく芸者姿でしなを作る仙谷の画像が出回った。(敬称略)

2010.10.16 01:20










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【尖閣危機】(上)

2010-10-17 09:25:29 | 日本
【尖閣危機】(上)前 占領…先兵は「漁民」


http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101014/plc1010142143020-n1.htm


 《A国領土の離島周辺にC国漁船が領海侵犯した。A国政府は抗議したが、島の領有権を主張するC国は対応をエスカレートさせ、島に軍を派遣した。A国は航空優勢を確保する作戦の実施に踏み切った》

 首相、菅直人がブリュッセルで中国首相、温家宝と会談した今月4日、航空自衛隊は日本海でこのようなシナリオに基づく演習を開始した。

 5日間続けられた演習は沖縄・尖閣諸島沖で先月、中国漁船衝突事件が起きた後だっただけに、参加した隊員たちはいつにも増して緊張感を持って臨んだ。

 むろんA国は日本、C国は中国を念頭に置いている。軍による離島上陸前までの想定は、衝突事件をめぐる中国の対応をなぞったようにも映る。

 だが実際には、演習計画は1年かけて練られた。衝突事件にみられるような最近の中国の行動について、自衛隊が「最大の脅威」と認識している証左である。


   × × ×


 すでに「先例」がある。

 南シナ海の南沙諸島(スプラトリー)にあるミスチーフ環礁。1995年に「漁民避難所」との名目で建設された櫓(やぐら)には中国の国旗、五星紅旗が翻る。同諸島周辺では多い日には1千隻もの中国漁船が操業し、それを漁業監視船が護衛する。

水産・石油資源に恵まれた南沙諸島はフィリピンやマレーシアなど他の5カ国・地域も領有権を主張するが、中国の実効支配が進む。6月にはインドネシア海軍が拿(だ)捕(ほ)した中国漁船を、武装した中国艦艇に奪還される事件が起きた。


 ベトナム、台湾が領有権を主張する西沙諸島(パラセル)も事実上中国の支配下にある。

 防衛省の内部文書は東シナ海、南シナ海で活発化している中国海軍などの動きを「溢(あふ)れ出る中国パワー」と称した。


   

                    × × ×



 「中国が南沙諸島で支配権を獲得した経緯をたどると、4段階に区分できる」

 元航空自衛隊空将、織田邦男はそう分析する。(1)領有権の主張と外交交渉(2)調査船による海洋活動(3)海軍艦艇の示威行動(4)漁民の違法操業、上陸した民間人による主権碑設置で領有を既成事実化-の4段階だ。


 中国はこのプロセスを尖閣にも適用し、すでに第4段階に入りつつある、と織田はみている。人民解放軍が前面に出てくるのではない。先兵となるのは「漁民」だ。

 防衛研究所の所員、斉藤良も「中国の狙いは(正規軍同士ではない)非対称戦だ」と断じる。

 《闇夜、尖閣最大の魚釣島に中国軍の潜水艦が接近。乗り込んできたのは「漁民」に偽装した海上民兵で、次々と島に上陸。五星紅旗を掲げたころ、民兵が操縦する「漁船」も大挙して押し寄せる》

 織田は今後、想定されるシナリオを指摘し、警鐘を鳴らす。

 「これが明日にも起こり得る尖閣危機だ」

     

                      ◇


 尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件は、覇権主義的な行動を強める中国に対し、日本の「主権」がいかに脆(ぜい)弱(じゃく)かを浮き彫りにした。日本政府の対応や課題を検証した。(敬称略)

2010.10.14 21:40








【尖閣危機】(上)後 中国民兵上陸、菅内閣即応できず


http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101014/plc1010142147021-n1.htm


「日本の巡視船がいわゆる法の執行活動を行わないよう要求する」

 尖閣諸島沖でおきた中国漁船衝突事件で、船長が逮捕される直前の先月7日、中国外務省の姜瑜報道官が出した声明に、日本政府関係者は驚きの声を上げた。これまで以上に踏み込み、海上保安庁による巡視活動は「違法」と言ったに等しいからだ。

 「無人の尖閣諸島に中国が民兵を送り込むことは、いともたやすい」

 海上自衛隊幹部は日本の警戒監視態勢に危機感を募らせる。現在、尖閣周辺海域では海上保安庁が24時間態勢で巡視船とヘリコプターによる監視活動を続けている。ただ、巡視船は潜水艦を探知できない。海上自衛隊のP3C哨戒機も尖閣上空を飛行するのは1日1回で監視レーダーも置いていない。


   

                   × × ×



 仮に中国側に上陸を許した場合、奪還作戦でも政府は手をこまねくことになる。強制退去のため沖縄県警が出動しても、「自国領での漁民保護」と称して中国が漁業監視船を巡回させれば近づけない。監視船は海軍艦艇を改造した事実上の軍艦だからだ。

 海自の中型護衛艦クラスの艦船もある。海保の巡視船より大口径の機関銃を備え船体も厚い。「撃ち合いになれば、海保はひとたまりもない」(海自幹部)

 海保で対処できないとなると、自衛隊が出動することになる。しかし、法的根拠は海上警備行動か、島という陸地に適用する治安出動か明確でない。民兵が「漁民」として民間人を装っていることは、自衛隊の派遣自体をためらわせる。

 漁船衝突事件で船長の拘束から逮捕まで13時間もかけ、あげくの果て勾(こう)留(りゅう)期限前に処分保留で釈放させた菅内閣が、民兵上陸という事態に即座に対応できるとはとうてい考えられない。日本が「犯罪行為」か「軍事行動」かの見極めにこだわることも中国を利する。


 逡(しゅん)巡(じゅん)する間にも民兵は続々と上陸し、領有を既成事実化していく。尖閣占領シナリオは、日本の守りの欠陥である「時間」と「領域(海と陸)」の空白を突いてくるのだ。

 拓殖大学大学院教授、森本敏は指摘する。

 「領土を守るための実効的措置を講じ、常に海自が海保をバックアップできる法的な仕組みもつくるべきだ」


   

                  × × ×



 「わが国の領土だと実感した。外交は自らの意思を相手に伝えることだ」

 9日、超党派の議員連盟で尖閣諸島を上空から視察した前総務相、原口一博は、中国に対して及び腰の日本政府の姿勢に不満をあらわにした。

 日本の主権を守るには国家としての気概と有効な手段を併せ持ち、それを梃(て)子(こ)に外交努力を進める必要がある。

 待ったなしの課題は警戒監視態勢の強化だ。海保の巡視船の装備拡充はもちろん、潜水艦を探知できる監視装置の設置も欠かせない。

 これらの措置の前提として、私有地である尖閣諸島を国有化し、施設管理のため政府職員を常駐させるなど、実効支配を強めていくことも重要だ。

 法制度上の整備も必要となる。元空将、織田邦男は「『平時』から常に自衛隊が海保、警察を支援できる法体系を整備し、武器使用基準も定めておくことが必要だ」と強調する。

 これが領域警備法の肝であり、海上警備行動や治安・防衛出動に至るまで自衛隊が間断なく対処できるようにする法的根拠となる。

 中国の手の内を読むことが戦略で、次の一手を封じる措置こそ領土を死守する上で最大の抑止力となる。(敬称略)

2010.10.14 21:44












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