人間は、人と人との関わりの中、関連を持ち結び付きを持つことで成り立っている。
それは他との関わりから、自分だけの殻にこもっていてもならず、身勝手であってもならず、こちらの押し付けであってもならない。
こうした自己本位になっていると、人間社会はゴタゴタになる。
普通我々は、「頭角を伸ばしたい」という本能的なものを持っている。
この「頭角を伸ばしたい」という本能から、我々は「進歩や成長拡大発展」を進めようとしてきた。
しかしこの事は、一方では差別を生んでいる。
「頭角を伸ばせない」ものもおり、「進歩や成長拡大発展」に乗り遅れてしまうものが、必然的に存在する事になるからだ。
事に乳幼児や障害者、老齢者ばかりか、社会の落ちこぼれになった人たちなどは、社会の片隅どころか、見捨てられようとさえしている。
「頭角を伸ばす」という「弱肉強食」性の中に、人と人との間の関係が崩壊して崩れていっている。
大体に於いて、「頭角を伸ばす」というような人間関係には、人対人の間に「一歩も二歩」も先に立った状態で対応している事からきている。または同等な立場で対応する、というようなところからきている。
こうした態度は「頭ごなし」するような事になり、角突き合うような事になってしまう。
教師と生徒の間でこんな状態なら、学習がうまく進まないだろう。
私が通所しているディサービスでは、ディを利用している人の中には気難しい方もおられる。
そういう人たちに対して職員さんは、一段も二段も高い位置から「世話をしてやる」という気でやったりはなさらない。
むしろ、一段ばかり下手に出て、ちょっと「へりくだる」ようにしながら、しかし「世話をしなければならない」という基本的態度を忘れずに応対すると、気難しい人もおとなしくなる。
一段も二段も高くなって対応するとこじれるものも、自分の尊厳を保ちながら下手から対応すると、人間関係も滑らかになっていく。
元々こうした「控えめ」さともいうべき特徴は、女が持っていた天性のものであったというべきものなのだが、「男女平等、男女同権」機運が定着するにつれて薄れていく。
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