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刑事裁判のIT化 法務委員会(参議院第17号)

2018-07-19 17:17:05 | つぶやき
参議院会議録情報 第196回国会 法務委員会 第17号

刑事裁判のIT化についても、今後議論がなされるところでしょう。

○山口和之君 ITによる生産性向上をうたうのであれば、国の姿勢として、パソコンについてはあらゆるシーンで原則使用可能にすることは最低ラインではないでしょうか。社会通念上、弁護人が接見室でパソコンを使うことによって問題が発生する具体的なおそれなどは想定できませんので、一々事前の申告しなくても使用できるようにしていただければと思います。
 最後に、裁判所に関するIT化についてお伺いします。
 現在、民事事件のIT化においては、主張、証拠を電子情報として活用することが検討されていますが、刑事裁判において主張、証拠を電子情報として活用することについてはどのような議論状況にあるのでしょうか。議論が行われていないとすれば、それはなぜなのか。民事裁判の主張、証拠と、刑事裁判の主張、証拠に関して、扱いに差異を設けなくてはならない理由があるのかなどについて、法務省に御説明願います。
 また、上川大臣に御見解を伺いたいのですが、刑事裁判において検察官から弁護人に証拠開示が行われますが、その証拠を謄写するために、弁護士やその職員がわざわざ検察庁まで行って、半日、場合によっては一日以上使って備付けのコピー機等で謄写しなければならないそうです。これは余りにも非生産的と言わざるを得ません。特に、国選弁護事件においては経済面で弁護士に大きな負担を掛けていると言われているようですので、国の側でこういった非生産的な労力を掛けさせないようにしていくことが重要ではないでしょうか。
 日本全体の生産性向上を考えれば、少なくとも、検察官から弁護人に対する証拠開示は、民事裁判のIT化で検討されているように電子情報として行えるようにして、弁護士の無駄な労力を掛けないようにすべきと考えますが、上川大臣の御見解はいかがでしょうか。
 そもそも、法務、司法の分野は時間が掛かり過ぎるとも言われております。そういう文化なのでしょうか。
○政府参考人(辻裕教君) まず、刑事訴訟手続と民事訴訟手続の違いといいますか差異でございますけれども、民事訴訟法におきましては、書証の証拠能力を制限する旨の規定がございませんで、また、文書を提出する方法により書証の申出をする当事者は、裁判所に対し申出をする予定の文書の写しを事前に提出しなければならないと、こういうふうにされているところでございます。これに対しまして、刑事訴訟法においては、証拠能力が厳格に制限されておりまして、証拠能力が認められると判断された証拠書類だけが公判廷での証拠調べ手続を経た上で裁判所に提出されると、こういう手続になってございます。
 このように、民事訴訟手続と刑事訴訟手続とでは裁判所に対する証拠の提出の仕組みが大きく異なっているところでございます。
 また、刑事事件における当事者の主張が記載された書面や証拠の内容でございますけれども、刑事事件に関わるという性質上、一般的に申し上げますと、少なくとも民事事件のそれと比べますと、被告人だけではなく被害者等を含む第三者のプライバシーに深く関わる情報を多く含む内容となっていることが多いということでありまして、万一その内容が外部に流出した場合には、関係者のプライバシーが大きく侵害され、取り返しの付かない事態となりかねないところでございます。
 そのような書面や証拠を電子情報化してやり取りするということになりますと、電子情報の性質上、複製が極めて容易であることが多いということでございますので、これが外部に流出した場合、インターネット等を通じて短期間に広く拡散し、その削除等も事実上不可能となる危険が大きいというふうに考えてございます。
 したがいまして、御指摘のような仕組みにつきましては、民事訴訟手続についての検討状況を踏まえつつ、刑事訴訟手続との相違点、今申し上げたような取り扱う証拠の内容等に留意して検討することが必要であるというふうに考えてございます。
○国務大臣(上川陽子君) 今、刑事局長から御質問について答弁したとおりでございまして、証拠を電子情報化して弁護人に開示する仕組みにつきましては、とりわけ関係者のプライバシーの問題、また外部に流出した際の様々な危険性、こういったことを総合的に考えてみますと、極めて慎重に検討する必要があるというふうに考えております。
 また、検察官の弁護人に対する証拠開示につきましては、刑事手続におきまして、証拠が収集し、作成され、保管され、利用されていくという一連の過程における一場面になるわけでございますが、そもそも刑事手続全体を通じて証拠をどのような形で保管、利用する仕組みとするのかという基本的な課題もございます。こうした検討も必要であるというふうに考えております。

民事裁判のIT化についてはこちら 裁判手続等のIT化検討会- 日本経済再生本部

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