古書肆雨柳堂

小説の感想。芥川龍之介、泉鏡花、中島敦、江戸川乱歩、京極夏彦、石田衣良、ブラッドベリ、アシモフ、ディック

恩田陸『光の帝国 常野物語』

2006-03-26 22:05:22 | その他

 常野(とこの)と呼ばれる不思議な能力を持った一族の物語。作品は独立した短編ですが、「常野」という一つの世界観で繋がっています。彼らは本などをすべて暗記できる能力、千里眼、予知能力など不思議な能力もっています。しかしそれ以上に彼らを神秘的に感じるのは、自然の本質を感じとることができるからなのだと思います。

 こう書くとファンタジーかと思うかも知れませんが、作品はごく日常を描いたものです。それは常野の人々が自分の能力を隠して、われわれの社会に散らばって暮らしているからです。この設定がとても見事で、「もし本当に超能力者がいるならこのようにしているんだろうな」と思わせてくれます。

 



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