石田衣良著『アキハバラ@DEEP』と実社会の関りを発見したので
一つお話させていただきます。
作中で主人公達はクルークというサーチエンジンを開発します。
これはAI型サーチエンジンで、四つ人格
ジャンパー(跳ねるもの)、ラウンダー(ぐるぐる回るもの)、
オポーザー(反対するもの)、ネイバー(となりに住むもの)
から成っています。
これらの働きによって、ユーザーはマンネリに陥ることなく
新たな情報に触れられる、水先案内人のような存在。
ユーザーを育ててくれるサーチエンジンなのです。
これだけ情報が氾濫する現在では、「検索格差」が予想されます。
かつてはパソコン等の技能・情報環境によって、
格差が生じる「情報格差」が問題とされていましたが、
次は、膨大な情報から適切な情報を得る能力の有無によって
格差が生じうる段階がくるかもしれません。
それだけでなく、(クルークのようなサーチエンジンを用い)
新たな検索の展開を得ることにって、
受け取る利益に差が生じうるかもしれません。
ところで毎日新聞に
「検索コンテスト」が開催されていた、という記事がありました。
しかも優勝者が専門エンジニアを差し置き、
一般サラリーマンが優勝したということです。
さらに彼はこの能力生かすため、サイト運営会社に転職したそうです。
つまり、これは検索能力が社会的に有用である技術である
と認知されていることを示しています。
この優勝者はインタヴューで、検索のコツを述べておりました。
例えば「専門学校一覧」という情報が欲しい場合、
「○○専門学校一覧」で検索しても出てこないそうです。
それより、「○○専門学校、池袋、新宿・・・」と具体的な地名を
入れたほうがHITするそうです。
う~んなるほど、検索もひとつの能力なんですね~
歴史に残る書というのは、新しい価値観や生き方を提示するなど
もちろん小説はフィクションですが、実社会にコミットメントしている
点があると思います。
この点でこの作品も意義深い作品といえると思います。
この作品で新たに提示しているのは、インターネットにおける検索が
人生を豊かにするという新たな価値感です。
「よい人生とはよい検索だ。」
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