長期滞米研究者ネットワーク

管理人たちの日記

オーストラリアへ行く話しその23 めすのおとしご 

2006年04月04日 | ばみら日記
たつのおとしごはメスがオスに卵を産みつけ、卵が孵化するまでオスが面倒をみる。しかるに、たつのおとしごの場合はオスが「出産」するシーンを見る事になる。たつのおとしごならぬ、めすのおとしごである。オスが子宮のような器官をもっているためである。ほ乳動物では、単孔類には子宮はないが(だから卵を生むのであるが)、有袋類と真獣類はXX個体すなわちメスに子宮がある(とわざわざもったいぶっていうほどのことでもない)。オスらしさを代表する器官といえば、金色の卵、略して精巣だが、メスを代表する器官となると、対応する卵巣よりも子宮がなぜか挙げられる。経験的にも遺伝子発現パターンとしても、精巣はオスにとって第二の脳と言われているようだが、そうなると子宮はメスにとって第二の脳ということになるだろうか。まあ、あまりこういうことを言うとしかるべき筋から反発が来るんだろうな。

さてその大変象徴的な子宮であるが、これは前にのべた通りミュラー管から発生してくる。そして、オスにもミュラー管そのものは胎児期に存在するのである。ではなぜオスはたつのおとしごのように子宮を持って生まれてくることがないのであろうか。その謎に挑んだのが20世紀初頭の発生生殖学者あーのるどしゅわるつ、、じゃなくてあるふれっどじょすとであった。彼はオスとメスの胎児から精巣や卵巣を除去したり、交換移植をしたりして、XY個体でも精巣を除くと子宮が発生してくること、精巣を移植されたXX個体は(卵巣があってもなくても)子宮がなくなってしまうことを見つけ、これは精巣が子宮を消してしまうホルモンを出すためと考えた。ウーマンリブ華やかりし時代であれば袋だたきにされそうな学説であった。

この「ホルモン」は抗ミュラー管ホルモン(AMH)、あるいはミュラー管阻害因子(MIS)と名付けられている。ヨーロッパ、オセアニアではAMHと呼ぶグループがほとんどであるが、ばみらは個人的な理由も含めてMISとよぶことにしている。ばみらの書いた論文では「MISまたはAMH」と順番にこだわることにしている。えむあいえすと読むのが正しいが、みすと読む人が東北地方に少なくとも一人いる事を確認している。それではこのえむあいえすの正体とは?なかなかワラビー牧場に戻れない。

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1 コメント

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Unknown (SE)
2006-04-16 02:48:05
私なら MIS でなく MR (repression) にしたかも。

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