伝統文化★資料室

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博物館実習報告

2016-09-16 06:59:21 | 博物館実習

 私の学芸員実習をさせて貰った市立市川市立歴史博物館は大学とはかなりの付き合いがある博物館だと先生から聞いていました。しかしいざ実習の事を想像すると、周りに知っている人がいない事や、失敗のへの恐れで不安が一杯でした。とはいえ私は歴史博物館へは、数度見学や実習で訪れた事があったので、それが実習に赴く私の数少ない心の支えになりました。

 実習を始める一週間前にオリエンテーションと言う形で館の方々や、共に活動する他の実習生が初めて揃って顔を合わせてる事になりました。その際今回の実習の最大の目的として企画展を作ると言う課題が与えられました。そして課題のテーマとして「レコード」を考えていると加えて説明されました。

 オリエンテーションが終了しても不安は残り、それどころかより大きくなっていました。パネル作成を上手く出来るかどうか、それが不安の大部分でした。

 オリエンテーションから一週間が経ち、初日が館内の見学から始まりました。見学箇所は作業用の控室や所蔵庫類等の裏方が主でした。時にはトイレ等一見すれば博物館に関係無い所迄、担当の方が丁寧に解説しながら見学をしました。

 所蔵庫類等へ訪れるとどこも物で溢れていました。その為、収蔵庫の整理の人手がいる作業は、地方の博物館等の場所では実習の様な一時的でも館の人手が増える機会でないと労力がとても多くあまり出来ないと言う事でした。それに加えこの博物館でも物の増加が絶えず、特に唐箕や脱穀機等が収蔵庫の空間を圧迫している為、それらの比較的大型の農具は受け取りを断るしかない状況に陥っていました。

 見学終了後は実習の担当の方々から資料を配布され、様々な話を聞きました。内容は今回の実習で必要とされる古文書の整理の概要や、この地域の小学校の博物館教育、この地域の館の事業、そしてこの地域と館について等でした。この地域が小学校から博物館教育に力を入れている事を配布された資料からとても強く感じました。

 その後はすぐ近くの市川市立考古博物館を見学しました。考古博物館も午前中に見学した歴史博物館の見学と同様に裏方を主に見学しました。

 実習が二日目を迎え、本格的な博物館実習が始まりました。作業内容は先日配布された実習初日に配布された資料に基づき、周辺の旧家から調査依頼をされた資料を整理する事でした。この作業は午前と午後に分けられ、二件分の資料を整理しました。しかし、私は授業で学んだ事を思い出しながら何とか作業をこなす事で精一杯でした。このまま無事に実習をこなせるか不安になってきたところで昼休みになりました。私はこの不安をどうにかしようと、とりあえず近くにいた他の実習生の方に話し掛けてみました。すると他の実習生の方々も作業に少し苦労していた様で、話しているうちに、いつの間に他の実習生の方々と気を好くして話せる間柄になっていました。そして実習二日目の終了間際に担当の方から、今日整理した資料の中からキャプションを作ると話がありました。不安はあるものの、オリエンテーションの時よりそれは小さくなっていました。

 三日目の午後は収蔵庫の整理を行いました。収蔵庫はとにかく物が多く、狭い為動き難く、尚且つ大きな物が数多く収蔵されている等の理由で、体力を大きく奪われる作業になりました。また収蔵庫の蛍光灯が一部切れていた為、実習生が交代して交換を行いました。薄暗い中脚立の上に立つ等の危険が隣合わせの作業だったので、声の掛け合いが非常に支えになりました。

 実習後半の四日間は企画展に向けて様々な作業を行いました。展示に使う物の清掃、展示物の位置調整、本格的なキャプションの作成等、それらの作業の大体は大学で経験しているとはいえ大変な作業の連続でした。担当の方に何度もアドバイスや注意をもらいながらも企画展を完成へと近付けていきました。時には実習の終了間際に修正点が発見されて、慌てて修整した事もありました。

 そうして苦労の連続を経験しながらも最終日である七日目の午前中に企画展は何とか完成を迎える事が出来ました。実習担当の方は、私達実習生の企画展は約半年もの間展示されると話しました。実習生の展示が博物館の一角にここまで長期間に亘り展示されるとは思いもしませんでした。私はこの実習で経験した事は近いうちに必ず生かされると確信しています。