伝統文化★資料室

東京成徳大学・日本伝統文化学科の学生と教員が「伝統文化資料室」から、情報発信します!

「百人一首に遊ぶ」披講付物申し合わせ

2012-12-10 13:20:41 | 青柳隆志先生

来年1月12日に青山スパイラルホールで行われる「百人一首に遊ぶ」で披露される、和歌披講と笙のコラボレーション。現在では無伴奏で行われる和歌の披講ですが、室町時代には、箏や笙などの楽器を「付物(つけもの)」として伴奏する例が見られます。今般、このありようを現代に甦らせるべく、笙奏者の石川高さんをお迎えして、初めての申し合わせを行いました。笙には、「合竹」奏法の他に、単音で吹奏する「一竹」奏法があり、ほとんどの音をカバーできますが、和歌披講の節は、純粋な雅楽旋律ではなく、俗楽旋律が混用されているため、断金(E♭)などのように、笙にはない音も使われています。その空白部分をどのようにすればよいか、石川さんとご相談しながら稽古を繰り返し、満足のゆく仕上がりとなりました。ふだん、自由な高さで歌っている披講を、笙のピッチに合わせるのは大変かなぁ、と思っておりましたが、句ごとに笙が先行してリードしてくれると、実は大変に歌いやすい、ということがわかりました。当日をどうぞお楽しみに。

(「百人一首に遊ぶ」)

http://www2u.biglobe.ne.jp/~BDN/100nin1syu.pdf


Dreaming....

2012-11-18 20:54:45 | 青柳隆志先生

夢物語とお笑いあれ。
装束のメニュープレートがずらりと並んでいるのを見ると、
こういうのを着てみたいと思う人がふらりと現れて、いろいろ着てみては、合間に茶道部員が立てたお薄などを上がって、
マターリと楽しむという、「装束喫茶」なんかができるんじゃないかなあと思います。
店員さんはみんな伝統文化マイスター資格を持っていて、日々着付けの腕をあげていく。
ときおり、専門家の方に来ていただいて、ブラッシュアップもばっちり。
需要はけっこうあるんじゃないかと思うんですがね。商売にはならないでしょうけれども・・・


『平家物語』と雅楽~敗者の系譜~

2012-11-16 02:16:39 | 青柳隆志先生

日本大学の関幸彦先生のコーディネートで、12月8日(土)に、鶴見大学生涯学習センターの記念企画として「『平家物語』と雅楽~敗者の系譜~」と題する公演が行われます。特に、平重衡と千手前の逸話を中心に、雅楽と朗詠のお話しを、朗読や披講を交えながらさせていただきます。装束も本学のものを使って演出したいと思います。


多年求不得

2012-11-01 02:01:31 | 青柳隆志先生

研究者であれば誰しも、専門分野の本は網羅したいと思うものですが、どうしたものか、全くもって手に入らない、古書店やネットの上でも、これだけは全然見かけない、というめぐりあわせの本がいくつかできるものです。確かに、稀覯本ではあるものの、皆がほしがるといった体のものではなく、本人以外にとってはさほど価値があるわけではありませんが、それだけに余計もどかしく、悶々として年月を送ることになります。もちろんコピーは持っていて、内容は隅から隅まで知ってるけれども、どうしても手元に置きたい。私にはそういう本が三冊あって、うち一冊(『歌会の作法』)は、だいぶん前に入手していましたが、なんとまあ、ハロウィンの昨日、残る二冊を立て続けに得ることができました。盲亀の浮木優曇華の、無慮二十年にも及ぶ博捜がこんなにもあっけなく終わるとは思いもよらず、少々呆然としているところですが、「本気で探していれば本は必ず出てくるものだよ」と、先輩に教わったことが今更のように蘇ります。ささやかな僥倖を喜びたいと思います。

坊城俊民氏『ふるさとの青春 王朝文学管見』表現社

宮中歌会始の講師を務められた坊城氏には『歌會始』(昭和54年、五月書房)という名著があり、歌会始のことを知るための基本書として評価が定まっていますが、本書は昭和35年に出された氏のデビュー・エッセーで、久松潜一氏の序文があります。披講に関するまとまった発言として貴重なもので、当事者ならではの体験に基づく知見が随所に見られます。限定五百部と奥付にあります。

恒川平一氏『御歌所の研究』還暦記念出版会

御歌所に関するほとんど唯一といってよい本格的研究書で、昭和14年、筆者の還暦記念として編まれたものですが、現在に至るまでこれを凌ぐ業績は見られません。最近、御歌所歌人の方面から、宮本誉士氏『御歌所と国学者』(弘文堂、平成22年)、書道の方面から、高橋利郎氏『近代日本における書への眼差し:日本書道史形成の軌跡』 (思文閣出版、平成23年)の二冊が相次いで刊行されましたが、いずれも、本書を基底にしています。著者署名入です。


夏痩せに・・

2012-08-17 18:43:50 | 青柳隆志先生

石麻呂尓 吾物申 夏痩尓 吉跡云物曽 武奈伎取喫(『万葉集』巻十六)

いくら食べても太らなかったイワマロ(吉田連老)さんじゃありませんが、夏はムナギ(鰻)取りめす季節です。 

誕生日のお祝いに、新富町「つきじ 宮川本廛」の中入丼(ご飯のなかに鰻が隠れている)をいただきました。

「宮川本廛」の若女将さんは、東京成徳大学の後援会である翠樟会の役員をなさっておいでです。

また、お兄さんは歌舞伎衣裳の模様絵師で、「カブキッズ」で知られております。