北海道の四季登山と読了記

週末の休みを利用して登山しています。ときどき本も読みます。

(006-0106)心の傷を癒すということ

2023年01月19日 | 四季の山登り(2023.1.1~2023.12.31)

「心の傷を癒すということ」(安克昌著 作品社 1996.4.10 第1刷 265ページ)
阪神淡路大震災発生後、被災者の多くが不眠や緊張感でストレスを持つようになった。この本は避難所に集まったボランティアの人たちと被災者の心の傷のケアにあたった著者(精神科医)の記録である。気になった箇所を記す。
「心のケア」の見地から自分の体験を整理し、感情を表現することが気持ちの立て直しにはとても重要である。(109ページ)手記を書くことも有効な手段である。書くことが癒しになる。
家族、友人、仲間で自分の感情、恐怖、フラストレーション、そして手柄話をことばにする(=トーキング・スルーという)
自助グループで思いっきり泣ける場、悲嘆を分かち合える場が有効だ。死別を十分に悲しむという作業(ブリーフワーク)が必要である。
ボランティアの役割は「存在することである」(中井久夫氏)=被災者は見捨てられていないという安心感を感じるのだ。
ヨコの関係を意識し、大切にすることが患者の心的外傷の治療には必要。
「愛する人を亡くして時」(春秋社刊)「死別の悲しみを癒すための10の指針」(120ページ)は参考になる。
1 どのような感情もすべて受け入れよう 2 感情を外に表そう 3 悲しみが一夜にして癒えるなどとは思わないように 4 わが子とともに悲しみを癒そう
5 孤独の世界へ逃げ込むのは悲しみを癒す間違った方法 6 友人は大切な存在 7 自助グループの力を借りて自分や他の人を助けよう 8 カウンセリングを受けることも悲しみを癒すに役に立つ 9 自分を大切に 10 愛する人との死別という苦しみの体験を意味ある体験に変えるよう努力しよう

今年1月17日の北海道新聞「卓上四季」(1面記事)で精神科医安さんのことが紹介されていた。最後まで読むと震災から5年後、39歳でがんで亡くなっていたことを知った。冥福を祈りたい。

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