「絶望名言」(頭木弘樹著 川野一宇 根田知世己 NHKラジオ深夜便製作班 飛鳥新社 2023.6.14 第4刷 475ページ)
「将来にむかって歩くことは、ぼくにはできません。将来にむかってつまずくことは、これはできます。いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです」(カフカ『城』)
著者の頭木は20歳の時に難病(潰瘍性大腸炎)になり、13年間闘病した。アナウンサーの川野は脳梗塞に倒れ、闘病した。
その2人がNHKラジオ深夜便で語り合ったのを本になった。
絶望した時の気持ちをぴたりと言い表した言葉が「絶望名言」である。病気、事故、災害、死別、失業、失恋などの挫折で「生きていく」ことがつらくなる。生きづらさを感じているいる人がいかに多いことか。「いくら生きたいと思っていても、死が救いに思われるほど辛い現実がある」。死が救いに思われるほどの絶望をすくいとって言葉にしていく。
手がかりは文豪たちが遺した名言と、自分たちの絶望体験。言葉で表現できない絶望もある。絶望の中にあっても、あと1回くらい息を吸ってもいいかな、が本書だ。
紹介する文豪らは、カフカ、ドストエフスキー、ゲーテ、太宰治、芥川龍之介、シェークスピア、中島敦、ベートーヴェン、向田邦子、川端康成、ゴッホである。その章ごとにブックガイドがついている。
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