拝啓 陸の孤島から

いいことがあってこその 笑顔じゃなくて
笑顔でいりゃいいこと あると思えたら それがいいことの 序章です

沈黙

2006年06月13日 19時54分44秒 | 日々の話
サッカー、負けちゃいましたね。


おそらく日本全国が悔しさや哀しさに充ちていた頃、
もちろんつくももそれらの感情を有していたのですが、
それとは別に妙なことに感心しておりました。


それは、日本が3点目を取られてしまったシーンでのこと。

ロスタイムに於ける痛恨の3失点目。
ピッチに立つ者、ベンチにいる者、そして多くの日本人が絶望した瞬間。


その時、実況アナウンサーは何を伝えたか。




「何も伝えなかった」んです。




正確に計ったわけではないのですが、
おそらくボールがゴールネットを揺らしてから15秒くらい沈黙が不意に訪れました。
その15秒は2分にも3分にも感じられるほど長いものでした。

そして、しばしの沈黙のあと、アナウンサーが絞り出した言葉は、

「---ニッポン、3点目を失いましたっ!……」


誰が見てもわかる事実をかなり遅れて実況したんです。

この時、アナウンサーが、
何もしゃべなかったのか、それとも何もしゃべなかったのか。
それはわかりません。
しかし、この沈黙はどんな実況よりも雄弁に全てを語っていたと思いました。
悔しさ、絶望、悲しさ……、
言葉にならない(できない)感情を沈黙によって伝える。
さすが、NHKのアナウンサーだなって思いました。

日頃、我々は自分の気持ちを伝えるのに言葉に頼ります。
ましてや、一応は言葉を扱う仕事をしているつくもは尚更です。
もちろん、それは悪いことではないのですが、
言葉を発せば発すほど気持ちは伝わると錯覚することも多いです。


何も伝えないからこそ伝わる気持ち。


そういうものの存在に気付かされた気がします。