「プチット・マドレーヌ」は越えたので許してほしい

読んだ本の感想を主に書きますが、日記のようでもある。

琵琶湖のほうへ(最終)

2023年08月20日 | 日記
 琵琶湖をめぐりながら万葉集の精神を追い求める小旅行も、今夏はこの投稿でいったん終了する。滋賀県は時間が取れるときは散策をしていて、だいぶん土地勘がついてきたように思う。平安京としての京都を中心とすれば、そこから「ずれた」地点に本来の「京」の痕跡がある。「神々」が去った後の「痕跡」にこそポエジーは宿るものだということを再確認する旅でもあった。

竹生島には学生の時以来の上陸となる。彦根港、長浜港、今津港から船が出ているが、今回は長浜港から船に乗った。約30分の船旅である。


竹生島の大部分を占める宝厳寺は、聖武天皇の枕元に立った天照大神の神勅によって建立されたという。急な階段が続く。ここは学生時代、西国三十三か所をめぐった時に参詣した。


この「唐門」は美しかったが、豊国廟の唐門または極楽門を移築したものという。そしてそれらは、豊臣時代の大坂城から移築されている可能性が高いそうで、大坂の陣で焼失する前の大坂城を伝える唯一の建物とされている。時代劇や歴史番組で、豊臣時代の大坂城は黒塗りの風貌をしているが、それを彷彿とさせるものである。黒塗りの板や柱に色彩豊かな装飾がしてあり、秀吉は粋な人であったんだなというのがわかる気がする。琵琶湖周辺には、長浜城もそうだが、日吉大社など、秀吉ゆかりの場所が点在している。


琵琶湖は緑と水が多いので、暑さも東京ほど厳しくなく、大変過ごしやすかった。


万葉集の精神を巡る旅であったので、歌を一つ挙げておこう。
近江の海 泊り八十あり 八十島の 島の崎々 あり立てる 花橘を ほつ枝に もち引き懸け 中つ枝に 斑鳩懸け 下枝に 比米を懸け 汝が母を 取らくを知らに 汝が父を 取らくを知らに いそばひ居るよ 斑鳩と比米と