先日、TV番組でライバル同士のスポーツ選手の光と影にスポットライトを当てる番組をやっていました。二年ほど前にやっていた番組の続編です。その放映に先立って、二年前の番組の再放送をやっていましたが、その中には西本聖と江川卓のプログラムもありました。
二年前にも見ましたが、またしっかり見てしまいました。この二人は、まさにザ・ライバルだなぁ~としみじみ思います。
もちろん、最初は西本の一方的なライバル心で、高校・大学と怪物と騒がれ、「空白の1日」なんて普通の若者なら絶対に潰れるような経験をくぐり抜けた江川の方は、まったく気にもとめていなかったと思います。
それがチームメイトとして、一緒にやるうちにだんだん西本の意識にも影響されたでしょうし、決定的だったのは、絶対に獲れると思っていた沢村賞を西本に奪われたことでしょう。二人ともがいみじくも同じことを言っていました。「エースは二人は要らない」と。そして、相手が投げるときには、「負けろ、負けろ!」と思っていたとも。
そんな二人が数十年ぶりに再会し、語り合った最後に、西本が江川に聞きました。「自分のことをライバルと思っていたか」と。それに対して、江川が答えます。「(ライバルだと)思っていたよ」と。それを聞いた西本のなんと嬉しそうだったことか。
人間は社会的な生き物です。他者とのかかわりの中で、自分の存在を確認します。ドラフト外入団選手としては最高の165勝をあげた西本のプロとしての実績は間違いなく、江川がいればこそのものでした。一方の江川は、最初は西本ほどではなかったかもしれませんが、自分に対して激しく闘志を燃やす西本の存在があればこそ、たった一人のエースの座を明け渡すまいと踏ん張ったのでしょう。
こんな激しいライバル関係をまた見てみたいものだなあと思います。王と長嶋もお互いに認め合う関係でしたが、決して仲良し、友達ではありませんでした。ライバルとは、そんなふうにしか言えない関係なのだと思います。
それが今は、単なる仲良し集団があるかと思えば、それに加わらないと、何となくチームで浮いてしまったり、まるで小中学生のようなこともあるようです。プロとしてどうあるべきか、それを考えてほしいものです。