サモワールを囲んで

日本ユーラシア協会愛知県連ブログ

第85回ロシア語サロン報告

2012年05月22日 | ロシア語サロン
5月20日(日)午後2時から第85回ロシア語サロンが開催されました。先回が1月でしたので4カ月ぶりのことでした。ゲストはロシア語講座でおなじみのアリビーナ・ブレンコーワ先生。先生はロシア語教室だけでなく、ユーラシア協会のお料理サークル「ペーチカ」の指導者としても活躍しておられます。またいろんなイヴェントでロシア人の先生方が上演されている人形劇のお人形や舞台装置を作ってくださったのも彼女です。そんな多才なアリビーナ先生はサハリンのご出身で来日前は南サハリンのユジノサハリンスクの中学校で理科の先生をしておられました。サハリンで日本人との思いがけない出会いがあり、彼と結婚して、まったく予想もしてなかった日本での生活が始まってからもう20年にもなるそうです。

そのアリビーナ先生は去年の8月と今年の4月にサハリンに行って来られました。いずれも短期間の滞在だったそうですが、彼女の見たサハリンの変化について(途中お茶とお菓子でくつろぎながら)17名がお話を聞きました。



4月のお里帰りの時はちょうど非常に強い嵐と吹雪の後で、サハリン全体が大混乱になった時でした。夏のサハリンは涼しくて快適ですが、昔と比べて除雪の設備などがよくなったはずの今回でも雪には勝てず公共サービスが麻痺状態に。「やっぱり自然にはかなわない」と実感されたとのことです。

ユジノサハリンスクでは以前と比べて車の数が激増したことが目立ちます。もともと町を作った時には多くの自家用車が出現することがまったく想定外だったので 駐車場用のスペースがまったくありません。特に中心部では ところかまわず車を駐車するのでこれが歩行者にも運転する人にも邪魔になっています。
町の中心の風景はあまり変化がありません。中央広場には今でもレーニン像が立っています。しかしちょっと外れたところでは 新しい建物が増えて見違えるようになっています。広くて高級なタイプのマンションが住宅地にどんどん建てられています。「こんなマンションに住める人がそんなにいるかしら?」と疑問でしたが「サハリン1」「サハリン2」(油田や天然ガス田開発プロジェクト)関連の会社で働く人や海産物ビジネス関連の人はかなり裕福なのだそうです。
古くからあった店が改装されて たくさんの商店ができ、商品は目移りするほど種類も多く、棚からあふれるほど量もたっぷりになりました。

と変化したこともたくさんありましたが 変わらないことも。あんまり愛想良くはないけれど 道を尋ねれば驚くほどみんな親切に教えてくれて、「声をかければちゃんと対応してくれる」というロシア人のいいところは健在を実感、またサハリンの友人や知人たちも 仕事が変わったり、服装がよくなったり、外国旅行が手軽にできるようになったりと大きな変化はあったけれども、中身は少しも変わらず、暖かく親切なままなのがうれしいというお話も聞きました。

参加者からは「サハリンに行ってみたいけれど名古屋から行くツアーはありますか?」という質問がありました。実際に名古屋からは直行便がなく、アリビーナ先生も韓国のインチョン空港経由で行かれたそうです。パック旅行も札幌出発ならあるので それに参加して行くのもひとつの選択肢でしょう。お話の後で先生が見せてくださったDVDでは 冬に湖の氷に穴を開けて「キュウリウオ」を釣る様子が紹介されていましたが、餌もなしでどんどん釣れていました。氷の上には小さなテントが張られて、時々この中で暖まるのだそうです。子供たちはスケートしていました。釣れた魚は持ち帰ってソテーにしていました。この「釣り」を楽しむために日本人もたくさんサハリンに来ているそうでした。

キュリウオというのはこんな魚です。名古屋ではあまり見かけませんが 北海道ではよく食べられているそうでした。会場ではアリビーナ先生がお土産に持って帰られたキュウリウオの干物を見せていただきました。ビールのおつまみに最高だそうです。


最後に「ソ連からロシアになって大きな変化がいろいろありましたが 今、先生がロシア人として誇りに思うことは何ですか?」と言う質問がありました。
「バレエ、ロシア文学、音楽、フィギュアスケート、、などという答えを予想されているんでしょうけれど、、私が誇りに思うことはロシアの教育のありかたです。学校の制度のことではなくて、たとえばある子供に科学的な才能があることがわかり、子供自身もその方面に進んで研究者になりたいと思っている場合には先生も学校も、その希望を活かし、才能を伸ばすことができるように親身になってありとあらゆることで応援し援助するということです。こういうことは革命前にもすでにあって、その伝統がソ連時代もそして今のロシアでも続いていることがすばらしいと思います。今では全世界の会社や研究所でロシアで教育された優れた学者が働いています。それがこのロシアの教育の伝統がすぐれているという証拠です。」というお返事でした。

このお話の原稿(ロシア語と和訳)はこちらで読めます。

アリビーナ先生を囲んでなごやかなティータイム。


ロシア語サロンは ロシア人やユーラシア諸国の方をゲストに小さなロシア語教室で開かれている気軽な集まりです。ロシア語を学ぶ方はもちろん、ロシアやユーラシア諸国に興味をお持ちの方の参加は大歓迎です!