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少し偏った読書日記

エッセイや軽い読み物、ミステリやSFなどエンタメ系、海外もの、科学系教養書、時代小説など、少し趣味の偏った読書日記です。

宇宙(そら)へ

2022-07-02 07:00:00 | 読書ブログ
宇宙(そら)へ(メアリ・ロビネット・コワル/ハヤカワ文庫)

久しぶりのハヤカワ文庫のSF。

1952年。アメリカ合衆国。冒頭、巨大な隕石の落下に遭遇し、夫とともにかろうじて生き延びる女性パイロットが描写される。そういうタイプのSFかなと思っていたら、だんだんと、「アメリカ合衆国が、本気で宇宙開発に取り組んでいたら」という「もしも」の物語だとわかる。宇宙への進出が人類生き残りに必要、という状況を設定するために、隕石が利用されている。

つまりこれは、「歴史改変SF」と呼ばれるもの。

歴史改変ものと呼ばれる作品には、単なるフィクションで、わざわざSFと呼ぶ必要があるのかと思うものもある。この作品は、宇宙開発をテーマとしているので、SFではない、とは言いにくいが、私が期待していた内容とは少し違う。女性蔑視、人種差別があからさまだった時代を舞台にしているから、そうなってしまうのはやむを得ないのかもしれないが、むしろ、戦う女性の物語、という色彩が強い。

と思いながらも、上下2巻、約800ページを、かなりのペースで読み切ってしまった。この感じは、ジャンルは全く違うが、ジョン・アーヴィングの『ガープの世界』に少し似ていると思った。話の筋には違和感があるのに、読むことを止めることができない。

アメリカ主要SF3賞を受賞しているが、むしろSFファンでない人にお勧めかもしれない。地球温暖化や政治の混迷など、今の時代にも響く作品だと思う。