切なくも儚くも

本田美奈子さんが急性骨髄性白血病のため亡くなった。
とりわけファンだったというのではないが、その若さにショックを受けた。
なんていうか、子供の頃、周りの人が亡くなったのとは違い、「死」への実感が近くなってきている。
病床につき、死への秒読みが始まったら、わたしは何を思うだろう。
確実に死ぬことを自分で予期できるというのは、どんな気分だろうか。
……さすがに、そこまでは、想像がつかない。

テレビを見ていたら、本田さんの若い頃の映像が流れていた。
ちょうど彼女がアイドルからアーティストへと成り代わろうとしている時で、初の全国ツアーのリハーサル中のインタビューだった。

レポーター「アイドルじゃなくてアーティストになりたいっておっしゃっているけど、その違いは？」
本田「自分の意見が言える人。その意見をスタッフが取り上げてくれて、表に出せること」
レポーター「目指すアーティストは？」
本田「将来の本田美奈子」

目指すのが未来の自分と言えること。
彼女はあの頃思い描いていた「将来の本田美奈子」に近づけただろうか。
彼女の生き方を見ていると、無念だなぁと思う。



ラジオから流れてくる小泉今日子「木枯らしに抱かれて」を聴きながら。
切なくも儚くも、燃え尽きる秋を思う。