業務&ITコンサルタントのひとり言

コンサルティング活動を通じて感じることを勝手気ままに記載

壊れたニッポンを治す為の処方箋#3:H3ロケットの失敗から見える問題点

2023年04月01日 07時35分07秒 | 社会全般
 3月7日に打ち上げられたH3ロケットの失敗は大変残念であった。第2段エンジンが着火しなかったことにより、ロケットに指令破壊信号を送出したとの事である。因みに、数日前にも行われた打ち上げ時にも類似の問題が発生し、発射を中止していた。自分はロケットの専門家ではないが、電気信号をコントロールする制御系の元専門家として、この失敗についてひとこと言いたい。

 3月3日の打ち上げの際に、リフトオフ直前に制御系の問題が発覚して、リフトオフを中止している。その後の分析では、電気的なノイズが発生した為に、点火信号が自動的に停止されたとの事である。この問題の対応として、「地上設備からの通信・電源ラインをこれまで一括で遮断していたところを、一定の時間差で遮断するよう変更し、遮断時の過渡的な電位変動を抑制」したとの事である。

 この対応策は、単なる対処療法であって、根本的な原因の対応を取っていない事に大きな問題がある。報告書には「電気的な挙動」とあるが、これは制御系の言葉ではノイズが乗っかったと云う事である。本来であればこのノイズが発生した原因を調査し、そのノイズの発生を無くす事を行うべきであったが、それを怠った事が問題である。ノイズの発生源を特定せず、またノイズを抑制する仕組みを追加せずに、対応策としてスイッチの切り方を変える事で対応した事に大きな問題がある。これほど大事で高価なロケットと云うシステムを、対処療法で対応しようとした事が問題なのである。

 あくまで推測ではあるが、結果として実際の7日の打ち上げ時には類似の問題が発生して、ノイズが発生した事によって2段目のロケットに点火しなかったと思われる。

 これも想像だが、現場に制御系のプロが居なかったのだろう。また、問題点を追及する熱意、意気込みのあるプロが、現場に居なかったのだろう。専門家とは云えない幼稚な集団が、大事な仕事を任され、そして安易な判断で失敗した様に見えている。

 この様な問題は、日本の多くの組織で発生している。企業内のみならず、政治や行政の世界でも同じである。H3ロケットの開発に携わっている人を批判する事は簡単ではあるが、彼等を批判する前に、自分自身及び自分の周りの状況を見つめ直し、悪い点を治していく姿勢が、今必要ではないだろうか。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 壊れたニッポンを治す為の処... | トップ | 壊れたニッポンを治す為の処... »

コメントを投稿

社会全般」カテゴリの最新記事