KAORU♪の「気ままなダイアリー」

KAORU♪が見つけたステキな風景、出会ったおもしろいできごと、おいしい料理などを“気が向いた時”にご紹介します。

★垂れ桜と梅ヶ枝餅

2011年04月17日 | 
北九州での2日間の個人セッションを終えて、
博多から福岡空港へ。

久々に関東を出たら、
やっぱりちょっと、ほっとした。


毎日、地震の揺れを感じ、
放射能のニュースや風向きに
振り回されていたわけではないけれど、
それでも知らず知らずのうちに
不安をかかえている毎日なのだ、と改めて実感する。

ちょっとの時間、いつもの大好きな
スーパーマーケットめぐりでは
野菜コーナーに行くとほとんどが九州産。

東京では、風評に負けない!大丈夫!と言い聞かせるようにして
関東産の野菜を買う。

ペルー産やらメキシコ産のお野菜と
どっちが一体安全なんだろう?


そんなことを考えていると
答えは出ないので、
買いたいものを、ひとまず買うしかない。

だけど、ここはそんな究極の選択めいたことなど
考えなくたっていいのだ、という気分になる。


あたり前と思い込んでいたことが
あたり前でなくなった現実に
今、直面しているのだなって
つくづく思う。



それでもやっぱり帰ろう。
私の住む場所に。

コロだって待ってるし。


今だからこそできること、今じゃなきゃできないこと、
しっかりやろう。


***********************


移動の合間に連れていってもらった
神社の境内に咲く、満開の垂れ桜。


春の伸びやかな日差しと、ソメイヨシノの花吹雪。


そして、太宰府名物「梅ヶ枝餅」屋台。

桜の咲く季節に並ぶのだという。


遠い昔、中学生の頃の話。
当時、深夜ラジオ全盛時代だった。

テニス部のハードな練習の後
勉強しながら、交換日記を書きながら、
ラジオに耳を傾け、ヒットソングに心躍らせていた
かれこれ30年ほど前のこと。

九州のアーティストが、
太宰府の「梅ヶ枝餅」は本当においしいと言っていたので
いつか食べたいと思っていた。


一体どんな味がするんだろう?

想像を膨らませつつ、遥か遠い地へ思いをはせていた。


父が出張で、九州に行くことになったとき、
お土産に何がほしい?とたずねてきたので、
迷わず「梅ヶ枝餅!」と答えた。

「梅ヶ枝餅???なんだそりゃ?」

ひとまず、わかった!と言って出かけた父。


数日経って、
「いや~!大変だったよ。タクシーの運転手さんに聞いて
探し回って、ようやく手に入れたよ!」と

満面の笑みで四角い箱を差し出した。


ドキドキしながら、未知なる「梅ヶ枝餅」のフタをあけたら、
なんと青いカビがはえていた。

でも、子ども心に
父が探し回ってくれた、という事実の方が嬉しくて
そのカビのはえた、カチカチになった
少しイメージとは違うお餅を口にした。

さすがに全部は食べれなかったけど・・・。


長い時を経て、九州の土地を訪れるようになり
土産店を通り過ぎながら、懐かしい文字を見ると
あの時のカビだらけの硬い「梅ヶ枝餅」を思い出す。

それは、やわらかな両親の愛に包まれていた
幸せな少女時代の記憶。

その同時期、
もうひとつ私は父にリクエストしたのが
北海道の「ラベンダーの香水」


これもまた探しに探し回ったそうだ。

「薫のリクエストはいつも大変なんだよ。」と
苦笑いしていた父の笑顔。

九州と北海道を訪れるたび、思い出す
大切な大切な私の一コマ。


今も、ラベンダーの香水は
捨てることができずにいる。



***********************




「(お店の開店は)いつまでなんですか?」

地元、ゆかりさんならではの質問。
期間限定なんて知る由もない
よそ者はそんな会話は思いもつかない。


だけど、今思い出した。
父が奔走したのは、そういえば季節じゃないから
売っていなかった、とかって言っていた。



「桜が終わるあと数日間です。」
梅ヶ枝餅を焼きながら、
店の娘さんが答える。


「桜のおかげでお仕事させてもらってます。」
しなやかな優しい手つきでくるみながらお母さんが答えてくれる。


  




日本の心を感じる美しい言葉。


そして、

焼きたて、できたて。
ふわふわ。モチモチ。
甘さ控えめのつぶあん。

本当においしい憧れの「梅ヶ枝餅」。






わたしたちの美しい日本。

わたしたち自身で守り、
たくさんの人々と心合わせて
元気にしていく時がやってきた。


では、これからまた再び羽田まで
短い空の旅へ。


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