【壁一面のブルーボトル】
ロイヤルカスタマーは顧客の中でも
特に上得意客をさしてそう呼んでいるらしい。
顧客中の顧客であり、特別大切にされる。
色々なサービスや情報をいち早く教えてくれたり、
プレゼントの内容が少し普通の客よりも違っている場合もある。
**********************
我が母は通販の達人である。
先日のある日も宅配業者から電話があった。
「これから、○○通販会社にご依頼いただいた商品を
お届けに伺います。」という。
出張中で不在だったため、代金を立て替えて商品を
引き取った。こんどは何を頼んだのだろう?と
NAOKOと二人で箱を覗き込んだ。
この間、カタログを見ながら
「そうそう、こういうのが欲しかったのよね!」と
言っていた“卓上電気ひとり鍋”である。
やっぱり買ったんだ。さすが、そんな手間はいとわない。
忙しい合間を縫ってとにかく、小まめに注文をする。
**********************
時々、送り主がわからない商品が届く。
どなたからかしら?聞いたことないわ?と
いぶかしげな表情で包みを開けると
「あらやだ、私が注文した商品だったわ!」なんてこともある。
ヘビーユーザーなため、どの品物を頼んだか
わからなくなってしまうようである。
もしかして、あの有名な実演販売のおじさんが
紹介していた商品?TVショッピングなの?と
聞くとまるっきり普通に「そうよ。」と答えたりもする。
そんな通販慣れした彼女の守備範囲は実に広い。
TVショッピング、カタログ、新聞広告などから
色々なモノを見つけ、購入するものは
サプリメント、食料品、洋服や靴、家具類まで
あらゆるジャンルだ。
以前、イタリア旅行に行ったとき、
私が自分のために買ったグッチのサイフを見て
「いくらだったの?」と聞くので答えると、
「えっ~?私が持ってる通販の
“お金が貯まる黄色いサイフ”のほうが
よっぽど高いじゃないの!!!」と驚かれてしまった。
母はたまに、気が向くと風水のような縁起モノを
買い求めているようだ。
黄色い色の絵や黄色の造花のアレンジメントだったり
いかにも「運気アップ!」「ご利益いっぱい!」の
幸運グッズである。
そして時折、彼女のもとに販促のDMが舞い込んで来る。
「このチャンスを特別なあなた様だけに!!!」とか
「見逃さないで!大金を手にするチャンス!」などなど、
驚くような言葉が並んだ封筒には、華やかというより
毒々しい色が添えられている。
中にはなにやら、ゴツゴツとした手の感触に
思わず封を切ると入っていたのは小さな
プラスチック製の「金の延べ棒」。
「本物を手に入れて下さい!」という意味のようである。
そして面白かったのは、送られてきた半分だけのコイン。
もちろんプラスチックである。
「数日後、残りの半分が届きます。1万円以上をお買い上げの
方はふたつを合わせてお送りください。もれなく景品がもらえます。
景品の中味は、次回の時に発表します!お楽しみに!」
のような、”おまけの予告の予告”みたいな戦略である。
プラスチックの“金の延べ棒”も、半分ずつの“コイン”も
まるでおもちゃ銀行のような、子どもの“付録”のような
シロモノで思わず笑ってしまいそうだが、いたって大マジメ。
きっと、金型代だってそれなりの投資をしているだろう。
本人はどう思っているのかたずねたところ、
「そんな、たいしたものをもらえるわけないわ!と
思いつつ、一応取っておいてしまうのよ。
でも肝心な2通目が来たときには、その半分のコインは
どっかいっちゃってるのよね…。」と
“残念”とも“アホらしい”ともつかないため息をついていた。
その心境はまるで、韓流ドラマにハマっている主婦に
似ているのではないだろうか。
「結末わかっているのに、つい見ちゃうのよ。
イライラしながら、ドキドキするの。
もぅ~、KAORUちゃんも一度見たらゼッタイわかるわよ!
この気持ち!」などと、よく勧められたものだ。
結局、一度も見るチャンスがなくその本当の心境はわからないが、
なんかこう、根っこにワクワクするような気持ちがベースに
なっているような気がする。
**********************
…一人暮らしにうってつけの「電気ひとり鍋」は
なんと同じものが2コも入っていた。
一人だから必要なのになんでまた同じモノ???と
頭に疑問符が浮かぶが、なんでも説明書には
『食卓の上に「焼く」ためのお鍋と「蒸す」ための機能を
使って、おひとりでも十分に2つの鍋を活用できます。』
などと、ちょっぴり強引な内容(?)で
消費者を妙に納得させてしまう。
「きっと、特別な名簿に載っちゃてるんじゃないかと
思うのよ。もうカタログもDMも送ってこないでほしいのよね。
買っちゃうから」と通販のロイヤルカスタマーは
ひとりつぶやいている。
ロイヤルカスタマーは顧客の中でも
特に上得意客をさしてそう呼んでいるらしい。
顧客中の顧客であり、特別大切にされる。
色々なサービスや情報をいち早く教えてくれたり、
プレゼントの内容が少し普通の客よりも違っている場合もある。
**********************
我が母は通販の達人である。
先日のある日も宅配業者から電話があった。
「これから、○○通販会社にご依頼いただいた商品を
お届けに伺います。」という。
出張中で不在だったため、代金を立て替えて商品を
引き取った。こんどは何を頼んだのだろう?と
NAOKOと二人で箱を覗き込んだ。
この間、カタログを見ながら
「そうそう、こういうのが欲しかったのよね!」と
言っていた“卓上電気ひとり鍋”である。
やっぱり買ったんだ。さすが、そんな手間はいとわない。
忙しい合間を縫ってとにかく、小まめに注文をする。
**********************
時々、送り主がわからない商品が届く。
どなたからかしら?聞いたことないわ?と
いぶかしげな表情で包みを開けると
「あらやだ、私が注文した商品だったわ!」なんてこともある。
ヘビーユーザーなため、どの品物を頼んだか
わからなくなってしまうようである。
もしかして、あの有名な実演販売のおじさんが
紹介していた商品?TVショッピングなの?と
聞くとまるっきり普通に「そうよ。」と答えたりもする。
そんな通販慣れした彼女の守備範囲は実に広い。
TVショッピング、カタログ、新聞広告などから
色々なモノを見つけ、購入するものは
サプリメント、食料品、洋服や靴、家具類まで
あらゆるジャンルだ。
以前、イタリア旅行に行ったとき、
私が自分のために買ったグッチのサイフを見て
「いくらだったの?」と聞くので答えると、
「えっ~?私が持ってる通販の
“お金が貯まる黄色いサイフ”のほうが
よっぽど高いじゃないの!!!」と驚かれてしまった。
母はたまに、気が向くと風水のような縁起モノを
買い求めているようだ。
黄色い色の絵や黄色の造花のアレンジメントだったり
いかにも「運気アップ!」「ご利益いっぱい!」の
幸運グッズである。
そして時折、彼女のもとに販促のDMが舞い込んで来る。
「このチャンスを特別なあなた様だけに!!!」とか
「見逃さないで!大金を手にするチャンス!」などなど、
驚くような言葉が並んだ封筒には、華やかというより
毒々しい色が添えられている。
中にはなにやら、ゴツゴツとした手の感触に
思わず封を切ると入っていたのは小さな
プラスチック製の「金の延べ棒」。
「本物を手に入れて下さい!」という意味のようである。
そして面白かったのは、送られてきた半分だけのコイン。
もちろんプラスチックである。
「数日後、残りの半分が届きます。1万円以上をお買い上げの
方はふたつを合わせてお送りください。もれなく景品がもらえます。
景品の中味は、次回の時に発表します!お楽しみに!」
のような、”おまけの予告の予告”みたいな戦略である。
プラスチックの“金の延べ棒”も、半分ずつの“コイン”も
まるでおもちゃ銀行のような、子どもの“付録”のような
シロモノで思わず笑ってしまいそうだが、いたって大マジメ。
きっと、金型代だってそれなりの投資をしているだろう。
本人はどう思っているのかたずねたところ、
「そんな、たいしたものをもらえるわけないわ!と
思いつつ、一応取っておいてしまうのよ。
でも肝心な2通目が来たときには、その半分のコインは
どっかいっちゃってるのよね…。」と
“残念”とも“アホらしい”ともつかないため息をついていた。
その心境はまるで、韓流ドラマにハマっている主婦に
似ているのではないだろうか。
「結末わかっているのに、つい見ちゃうのよ。
イライラしながら、ドキドキするの。
もぅ~、KAORUちゃんも一度見たらゼッタイわかるわよ!
この気持ち!」などと、よく勧められたものだ。
結局、一度も見るチャンスがなくその本当の心境はわからないが、
なんかこう、根っこにワクワクするような気持ちがベースに
なっているような気がする。
**********************
…一人暮らしにうってつけの「電気ひとり鍋」は
なんと同じものが2コも入っていた。
一人だから必要なのになんでまた同じモノ???と
頭に疑問符が浮かぶが、なんでも説明書には
『食卓の上に「焼く」ためのお鍋と「蒸す」ための機能を
使って、おひとりでも十分に2つの鍋を活用できます。』
などと、ちょっぴり強引な内容(?)で
消費者を妙に納得させてしまう。
「きっと、特別な名簿に載っちゃてるんじゃないかと
思うのよ。もうカタログもDMも送ってこないでほしいのよね。
買っちゃうから」と通販のロイヤルカスタマーは
ひとりつぶやいている。