有馬在住

有馬温泉の旅館で働くスタッフのブログ。
有馬温泉・神戸・六甲山の自然や文化を紹介します。

くまとやまねこ

2009-01-21 07:00:00 | 絵本紹介

くまとやまねこ

 

“ある朝、くまはないていました。なかよしのことりが、しんでしまったのです。”

 

この絵本を開いてすぐ、この1行が目に飛び込んできました

絵本が大好きな私は、今までたくさんの絵本と出会いましたが、「くまとやまねこ」は、とても考えさせられ、深く心に響く物語でした

 

くまにとってことりは、最愛のともだちでした。

いつも傍にいたことり・・・何をするのも一緒に過ごしてきました。

死んでしまったことりを想い、悲しくて悲しくて・・・。

大粒のなみだをこぼすくまを心配して、森の動物たちが言った、

「ことりはもうかえってこないんだ。・・・」

のことばに、くまは悲しみを隠せません。

そんなある日、やまねこと出会う、くま・・・。

くまは、やまねこと出会って

「きみは、ことりと、ほんとうになかがよかったんだね。
ことりがしんでずいぶんさびしい思いをしてるんだろうね。」

と、いわれた一言に驚きました。

こんなことをいわれたのは、はじめてでした。

・・・自分にしか解らないとてつもなく深い悲しみ。

この悲しみと寂しさを救うのは、優しい励ましではなく、静かな共感なのかもしれないと感じました。

死を目の当たりにして、ぎゅっとつかまれたくまの胸の苦しみが、やまねこと出会い、柔らでいくことが伝わってきます

悲しみから抜け出すことは、悲しみに背を向けるのではなく、その悲しみに立ち向かうことからはじまるのだと感じました。

挿絵をモノクロの世界に仕上げたことによって、さらに読む人の心をつかむ雰囲気に仕上がっていると思います

『絵本屋さん大賞第1位』に輝いたこの作品を、ぜひ、たくさんの方に読んで欲しいと思います

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