有馬在住

有馬温泉の旅館で働くスタッフのブログ。
有馬温泉・神戸・六甲山の自然や文化を紹介します。

有馬富士の雲海

2007-06-10 17:05:41 | 有馬六景

有馬富士の雲海

龍泉閣の屋上から、北摂の山並みを撮影しました。

手前に見える街は、西宮市の北六甲台です。

今朝は、雲海が出ていて、ちょうど、道場・三田のあたりに雲がかかっています。

雲海に浮かぶ島のように見える山々の中央が有馬富士です。標高は374メートルです。

この山は、江戸時代に選ばれた有馬六景の一つでもあります。

 

有馬富士雪有馬富士雪

こちらが、湯泉神社にあった有馬六景の「巻軸・有馬富士雪」を、有馬温泉の郷土史や植物に詳しい藤井さんが写されたものです。

有馬富士雪
尚實(九條左大臣尚實公)
東海芙蓉元等名 三峰千載雪花清
何疑常欲温泉者 好擬南山比寿栄

有馬六景については、ねね橋の袂にある「有馬六景」の説明板に、次のように書かれています。

有明富士の暮雪、功地山秋月(現 射場山)、有明桜春望、鼓滝の松風、 落葉山夕照、温泉寺晩鐘。

明和六年の春、故ありて有馬にての旧家なる余田河上等の六人、京師なる九条殿に召されし事ありけり。此時河上維萋といふもの六景を撰び、其さまを写して奉りしより、閑院宮を初め奉り、高位の方々此六景の詩歌をよませられ、詠ぜられ、又圓満院門跡は是を描きて帖となし有馬三社に納めさせ給ひしにぞ 六景の名世は高くなりぬ、此帖は今に湯泉神社の神庫に在り。

有馬温泉では、1753年、1766年と続けて大火に見舞われたため、湯治客も年々減るばかりで、寂れていました。

そこで、町の旧家の人達が京都の近衛家を訪れ、有馬に湯治に来る人を増やし、賑やかな町にするため、有馬の優れたところを世に広めてもらうよう、お願いしました。

有馬の人々の写生をもとに高僧が絵を描き、それに近衛氏以下の公家が和歌や詩を添えて、1770年、世に言う「有馬六景」ができあがりました。

このような努力の甲斐があって、有馬は再び元の賑やかさを取り戻したと言われています。

 

また、有馬富士は、

「有馬富士ふもとの霧は海に似て なみかと聞けば小野の松風」

とご詠歌にも詠まれています。

昔から、有馬温泉は多くの人たちに愛されてきたんですね。

有馬の風土と歴史のコーナーも、ぜひ、ご覧ください。